招待状と夕食
メリークリスマス!
と言うわけで、今日はクリスマスです!予告していた特別編なのですが、少し書き直しているため先に書き上がっていた本編の方を投稿させていただきます。
クリスマス編は、昼の十二時頃に投稿させていただきます。
祖父と名乗る人物たちとの邂逅で時間を食ったため、もう終わっているだろうと考えたスレイは予定通りカフェに行ったが、ユフィたちの姿はなかったので予定通り近くのカフェに入った。
「いらっしゃいませ、一名様でよろしいでしょうか?」
「後で四人来ます」
「それでは外のテラス席へどうぞ」
指定された席についたスレイは注文を取りに来た店員にコーヒーを頼む。
注文したコーヒーが来て、それを飲んで一息ついたスレイは懐から先ほど受け取った手紙を取り出した。この手のものは以前嫌な思い出があるが、あんなことをする理由もないと思い封を切る。
中には特に変な術式は刻まれておらず、とりあえずは安全そうなので中を確認すると二つ折りにされた手紙が入っていた。
一通り目を通したスレイはなにもなかったように手紙を閉じると、業火の炎で一瞬にして手紙を灰にした。
「はぁ、なんか面倒な事になりそうだな」
大きく息を吐いたスレイはそのまま耳に手を当ててコールを唱えると、しばらくしてコールの相手に繋がった。
『はい。何かありましたかスレイ?』
「すみません先生、ちょっとお聞きしたいことがありまして、母さんの父親って国遣えの魔法使いかかにかですか?」
『えぇ、たしかそのはずでしたが……今の口振りですと会ったのですか?』
「はい。いましがた」
『なにか、されましたか?』
「部下か同僚かはわかりませんけど同じ灰色のローブを着て、ボクの後を追ってきたので逆に背後を取って声をかけたら杖を抜かれたのでこっちも剣を抜いて答えました」
今しがたあったことを簡単に説明したスレイ、するとコール先のクレイアルラの方からハァ~ッと大きくため息を一つついているのが聞こえてきた。
『………スレイ、あなた最近物騒過ぎです。少しで良いので自分の行いを考え見ることをおすすめしますよ』
「ご忠告ありがとうございますが、先に手を出そうとしたのはあっちです」
『その考え方、ルクレイツアそっくりですね』
「グフッ!?───いっ、一応………あの人の、弟子……ですから」
ルクレイツアに似てきたと言われたスレイは心身に多大なダメージを受けた。
ここが外で、カフェテラス出なかったら吐血する息を入れ倒れていただろうが、どうにか踏ん張って耐えているとクレイアルラから質問が投げかけられた。
『それであなたに祖父は、いったいなんのようだったのですか?』
「えっと、なんか王城への招待状なんて怪しい手紙もらいましたよ。追跡用の魔法みたいなのが仕掛けられてたのでさっき焼き払いましたけど」
『良い判断ですねスレイ、この国の王は友好的な人物と聞いていますが、ただでさえあなたは問題を引き寄せます。あまり関わり合いならないようにしましょう』
かなりの言われようだと思ったが、どんな目的化もわからない以上危険な場所に自ら飛び込むような真似はしたくない。
『何かあればまたこちらに連絡をしなさい』
「ありがとうございます。あっ、そうだ。こっちので新居が見つかりましたのでまた落ち着いたら招待しますね」
『わかりました。それではまた』
コールを切ったスレイは少し冷めてしまったコーヒーを一口くちにしていると、見慣れた人たちがこちらにやってくるの気がついた。
「あっ、スレイくん!お待たせぇ~」
「いいの買えた?」
「もうバッチリ!」
「それは良かった。さて、少しお茶したら残りの買い物済ましちゃおう」
「……ん。ねぇケーキ食べていい?」
「いいけどもうすぐ夕飯だから一個にしなよ」
「……ん。了解」
本当にわかっているのか心配になったが、大丈夫だろうと思ったスレイ。それから注文したものが届いたところで、先程あったことをみんなに説明した。
過度な接触があった場合はクレイアルラに相談することを話したところ、今回ばかりは許してもらえる事になった。
⚔⚔⚔
お茶を済ませたスレイたちが次に買う物は食器だった。
旅の間に使っていた木の食器ではなく、陶器や銀食器を見に来たのだがこれにまたユフィたちがおおはしゃぎした。
「やっぱりみんなでコップとかお皿とか揃えれないかな?」
「それじゃあこっちのが良いんじゃないですか?」
「それでしたらこっちはどうでしょうか?絵柄もかわいいですし」
「……ん。リーフ、意外と乙女チック。でもそれかわいいからそれがいいかも」
そんな会話が聞こえてくる横で、スレイは来客があったとき用のカップや料理を乗せるための使う大皿などを選んでいたので、ああいうのはユフィたちに任せておいた方が利口だろうなっと思っている。
いくつかよさそうな食器を見繕ったスレイは会計を済ませようと思いユフィたちの方を見ると、みんながそれぞれ違う色をしたカップを手にしてこっちにやってきた。
「はいこれ、スレイくんのね」
ユフィが黒い絵柄のカップをスレイの方に差し出してきた。
カップを受け取ったスレイは、自分の手に収まっている黒いカップには黒と白の交差した剣が描かれた物だった。
スレイはもう一度それを見てから、今度はユフィたちの持っているカップを一瞥する。
「いいでしょ、みんなでおそろいにしてみました」
「うん?おそろい?」
みんなカップを手に持ってニコニコとしているが、どうもユフィの言っている意味がわからない。
たしかに形は似ているが、絵柄などは全てバラバラだ。
ユフィのカップは薄い黄色、ノクトのカップは薄い紫色、リーフのカップは若草色、ライアのカップは薄い赤色っといった具合だ。
いったいどういう理由でこれがお揃いなのだろうと思ったスレイは、その答えを聞いてみることにした。
「なぁこれって、色も柄も違うけどなにがお揃いなの?」
「えぇ~鈍いなぁ~そんなのこれに決まってるじゃん」
ユフィが腕輪のは待っている腕を掲げていると、それに同調するかのようにノクトたちも腕輪を見せた。
それによってスレイはユフィがどうしてお揃いといったのかが理解できた。
「それって、ボクがみんなに上げた魔石の色に近い色を選んだってわけね」
「本当は柄のすべて揃えたかったのですが、いいのがなかったので諦めました」
「それじゃあボクのカップがこの色はいつものボクのカラーって訳ね」
「二本の剣も描かれていましたから、お兄さんのは即決でしたね」
確かに白と黒の剣はまさにスレイを表すものだと自負しているため、小さく済をこぼしたスレイは一応zあれについても聞いておこうと思った。
先程からユフィたちの手に自分の色のものとは違う、別の色のカップを持っていることがずっと気になっていたのだ。
「えっと、聞かなくても何となくは察しがついてしまうけど、一応聞いておくよ。君たちが持っているそのもう一つのカップはいったい誰が使うんですかね?」
「もちろん、わたしたちの新しいお嫁さん仲間のためですよ」
「……ん。まだ居ないけど、お揃いじゃないとかわいそうだから今のうちから買っておく」
「そう言うことですから、スレイ殿、ご容赦願いますね」
どうやら彼女たちの頭の中では第五から第八婦人までは確定事項らしく、こうなったらみんなを止めることなど出来るはずもないので、そのまま購入を決めたのだった。
⚔⚔⚔
買い物を終えて家に帰ったスレイたちは、まずは自分の部屋を決めて家具屋で選んだ家具をそも部屋に運ぶことにした。
購入した家具は全て組み上った状態で空間収納の中に収めれており、後は部屋の主が気に入った場所を指定して取り出すだけだ。
唯一の懸念事項だった大きいベッドだが、二階の一室にかなり広い部屋があったので少し無理矢理ではあったがいれることができた。
これで一通りの作業も終わり、スレイは最後に来た大きなベッドのある部屋の中で腕を組ながらうねっていた。
「買ったはいいけど、こんなでかいベッド本当に必要だったのかねぇ?」
何をするか、っというよりもナニをすりためのベッドかは理解しているスレイだが、まさかみんなでするとかはないよなっと、そう思いながら部屋を出る。
部屋を出ると誰かを探してキョロキョロしながら歩いているユフィのことを見つけた。
「ユフィ、誰か探してるのか?」
「あっ、スレイくん。よかった、火の魔石と水の魔石、あと雷の魔石って買ってきたよね」
「あぁ、うん。買ったよ」
「お料理しようと思ったんだけど、まだ明かりも付かないしコンロも水道も使えないの」
「あっ、ごめん。そう言えばまだ取り付けてなかったっけ、そろそろ日も落ちるし速く取り付けてくるよ」
「うん。それじゃあ、お願いね~」
ユフィとも約束してしまったので、早急に取り付けなければ、そう思い魔石を取り付けると暗かった家の中が明るくなった。
この家に使われている明かりはすべて、雷の魔石の力を使っているため、普通の魔石灯とは少し違った明るさであった。
魔石も取り付け終わったスレイは、夕食を作ると言っていたユフィのことを手伝いに行くことにした。
ユフィとも話し合った結果、引っ越し最初の日に食べる夕食は豪勢にいこうと言うことに決まった。
調理担当と言うことでスレイとユフィは張り切って料理をしていた。
まずはメインとして、前に狩ったワイバーンの肉がまだ残っていたので、それを豪勢に切り分け厚切りのステーキにし、中央大陸で買えるだけ買っておいた米を使った海鮮たっぷりのトマトリゾットに、サラダ、オニオンスープ、デザートにはプリンを作りました。
作ったはいいがかなりの量になってしまったな、っと思ったが最近ライアもけっこう食べるしスレイ自身も竜人に近い存在になったためかかなり食べるようになった。
「よし、それじゃあ料理も出来たしみんな、食べるか!」
「みんな~できたお料理、運ぶの手伝ってね~」
スレイがそう言うと今度はユフィも席に付いていたノクトたちに声をかけ、運ぶのを手伝ってもらい手元に自分の料理が渡ったところで、ユフィが空間収納からワインと少しお高いジュースのボトルを取り出し、スレイとユフィ、それにリーフのグラスにはワインを、ノクトとライアのグラスにはジュースを注いだ。
「それじゃあ、大人組はワインでノクトちゃんとライアちゃんはジュースで乾杯ね」
「それではスレイ殿の乾杯の声をよろしくお願いしますね!」
「お兄さんお願いします!」
「……ん。スレイ頑張れ」
みんなからそう言われグラスを手に立ち上がったスレイは、特になにかを言うなどと言われていなかったため、少し困った顔をしながら一度咳払いをしたスレイは、今頭の中で思い付いた言葉を告げることした。
「えぇっと……特になにかを言うつもりはなかったから簡単にすませるよ。えぇ、ボクたちの新たなる生活の船出を祝して、乾杯!」
「「「「かんぱぁ~い!」」」」
カチンっとグラス同士が重なりあう音が響い、リビングにはとても楽しい声が響いたのだった。
食事も終盤に差し掛かったころ、ライアがスレイたちの飲んでいるワインを物欲しそうな顔で見ているのに気がついた。
「ライア殿、もしかして飲んで見たいのですか?」
「……ん。どんな味なのか興味がある」
ライアの年齢は十三、本人が言うには産まれたばっかりの時に親に捨てられ、孤児院では拾われたその日が誕生日になっていたそうで、九の月の三日がライアの誕生日らしい。
ついでに他のみんなの誕生日も記載しておくと、スレイが十二の月の十八日、ユフィが十二の二十二日、ノクトが六の月の十四日、リーフが一の月の三十一日だったので、スレイとユフィが十六歳、ノクトとライアが十三歳、リーフが十九歳だ。
話はずれたが、ライアはまだ十三歳、成人前に酒を飲ませる訳にも行かないなっと思ったが、国によっては飲酒の年齢に対しての規制はまちまちだ。スレイとユフィの国の場合は十五才から、リーフの国では十四からっと国によって違っている。
それにどうせもうすぐ誕生日だ、少しくらいならば問題はないだろう。
「少しくらいなら飲んでもいいよ。ノクトも興味があるなら飲んで良いよ」
「ちょっ、スレイくん!?ダメだよ飲ましたりしたら」
「少しだけなら大丈夫だよ。どうせもうすぐ飲めるようになるんだし、ちょっとだけだから良いって」
そう言ってスレイは空になっていたライアのグラスに、ほんのちょっぴりだけワインを注ぎ、つぎにノクトの方にワインのボトルを差し出したが、ノクトには断られてしまった。
「実は昔、父が飲んでいたのを舐めさせてもらったんですが、たった一口で倒れたことありまして、それ以来ちょっとトラウマで」
「いったいノクトのお父さんは何度の酒を飲んでたの!?」
一口なめただけで倒れるなど、ノクトが異様に弱いのか、まぁ、真実が分かるまでは無理に飲酒をさせるのはよくないなっと思い、ライアにだけ飲ましてみることにした。
「……ん。意外と美味しいかも」
「初めてでそう言うとは、ライア殿は意外と酒豪かもしれませんね」
「そう言えば、昔話とか物語に出てくる竜ってお酒好きが多い気がするな~」
スレイたちの楽しいひとときはこうして過ぎていった。
⚔⚔⚔
この日はこれで終わる、そのときスレイはそう思っていたのだが
「それじゃあスレイくん、覚悟は良いかな?」
今スレイの目の前には、かなり際どいネグリジェを着ている美女、美少女が昼間にみんなで選んだ特大サイズのベッドの上に座っていた。
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