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温泉での会話 ③

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 このとき、スレイは本日二度目となる入浴タイムを楽しんで………いられる訳はない!

 ぐるぐると目を回しながら水面を見ていたスレイはこのとき、内心はかなり混乱していた。頭の中ではぐるぐると何個か同じような言葉がめぐっては消えて、そしてまた現れることが何度も繰り返されていた。

 いったい何をどうればこんなことになったのか、そもそもたった数分の間にいったい何があった!?、と言うかこれは夢か?、夢かなにかなのか?、明日がこの世の終わりかなにかなのか?っと自分でも何を考えてそんなことを思っているのかわからないことが頭の中で巡っていた。


 現実逃避をしていると言われればそうなのかもしれない、だってそうしてないとこの状況について全く説明がつかないからだ。と言うか誰でもいいからこの状況について説明してください!わりと切実な願いです!!っと最終的には心の中でそう叫ぶほどにスレイは混乱をしていた。

 そんな混乱した内心のままスレイはうつむいた顔をあげると、そこには美しい肢体を露にした四人の美女、美少女たちが目に映った。四人がスレイの視線に気が付くと、温泉の熱で顔を赤くしているのか、はたまた別の理由でかはわからないが、全員顔を真っ赤にしているのを見ていつもは見れないような色気があり、これではいつ理性が決壊してもおかしくはなかった。

 そして、スレイはもう一度強く思った。いったい何がどうなってこうなったんだ!?っと。


 ことの始まりは父と母の喧嘩が終わるのを確認し、屋敷にでも戻ろうかなっと個室風呂の部屋から一歩踏み出したと同時に、ユフィが入り口が置いていったと思われるゲートシェルによって、天井から落下したあげくどこかへと転移させられたスレイは、そこで一糸纏わぬ姿で唯一大事なところだけをタオルで隠したユフィ、ノクト、リーフ、ライアの四人の姿と目があっていた。


「はい!スレイくんご到着~」

「ごめんなさいお兄さん、こんな手荒な真似をしてしまいまして」

「お怪我などはありませんかスレイ殿?」

「……ん。スレイも竜人、怪我をしてもすぐに治るから平気のはず」


 全く理解できない、ユフィはなんでかはわからないがとっても嬉しそうおり、リーフとノクトは恥ずかしそうにはしていたが口元は完全の笑っていた。

 そしてライアに限っては完全に獲物を見つけた野獣のような顔をしており怖かった。ついでに言っておけばスレイは元々人間で竜人かどうかと言われれば怪しいラインだった。

 なんだか良くわからないが身の危険を感じたスレイは腰を浮かせながら後ろに下がったが、どうやら落とされた場所は壁に近い場所だったらしくすぐに行き止まりだった。

 壁に手を付きながらスレイは顔を真っ青にしてユフィたちに問いかける。


「いっ、いったい何をする気なんだよ!?」

「……ん。なにもする気はない………訳じゃない。大丈夫、痛いのは初めだけ、後は気持ちいから」

「ちょっとライアさん!?それってあなたの方の話しじゃ……ってそうじゃない!えっ、なにまさかマジでなの!?そう言うことする気なの!?」


 スレイが一気にツッコミを入れている横で、ギラギラした眼差しを浮かべていたライアの横にユフィたちが集まってくると、器用にもタオル一枚で大事なところを隠し──隠してはいるものの見えそうで見えないと言うのは、中々にそそるなっと一瞬でも考えた自分のことを殴りたくなった──目の前にしゃがんだユフィはスレイの耳元で小さな声でこう告げた。


「あのね大事なお話しがあるから、私たちもお風呂の中でゆっくりとお話ししましょ?」


 そう言ったユフィたちは先に温泉の方へ入っていってしまった。


 場所は戻り最初の場面、あの時逃げなかったのかと言うと、逃げれなかった。

 扉には空間固定の術式に加え、ギアス使って適切な手順を踏まずに解除したりすると、強制的に風呂場の方に転移させられる旨が書かれた張り紙が貼られており、それを見たスレイは素直に服を脱いで温泉に入ったというわけなのだが、それから一向にユフィたちからの説明が一向になく、前記の通り悶々とした気持ちを味わうこととなった。

 唯一幸いなことなことが、先ほど入っていた温泉と違ってお湯が濁り湯だと言うことだが、それを差し引いてもいったいこれがいつまで続くのかっと思っていると、ふにゅっと両腕に柔らかいなにかが当たった。


「ちょちょちょちょ、なにしてんっすか!?ノクトさん!?ライアさん!?」

「そんな狼狽えないでくださいよ」

「……ん、心配しなくていい。スレイは天井のシミでも数えていればすぐ終わるから」

「さっきからずっと思ってたんだけど、ライアさんの目が野獣になってるんだけど!?」

「……ん、失礼。私は竜人、この目は竜眼だから野獣じゃない」

「揶揄を真面目にツッコまないでくださいませんかねぇ!?」


 スレイがマジでツッコミを入れていると、さっき飲んだものと同じ酒を持ってきたお酒の入ったビンとグラスをもって近づいていきたユフィとリーフがそれを持ってスレイの近くによってくる。


「はいこれ、ここの地酒なんだって~」

「知ってるよ。さっき父さんと一緒に飲んでたから」

「あの、スレイ殿……さっきからどこを見ているんですか?」

「ごめん、男としてどうしても抗いきれない本能が刺激されるものがそこあると言うだけです」


 一応は見ないようにしていたがやっぱり目が行ってしまう。だってしょうがないじゃないか、いつもならば服の下に隠れている瑞々しく実った二つの双眸が否応なく目に入ってしまう。ここは紳士としてあえて目にいれないようにしていたが、ユフィとリーフ動く度に形を変える胸がここまで理性という防波堤に揺さぶりをかけてくる物だとは、そのときは始めてスレイはその恐ろしさを目の当たりにした。

 その事実に戦々恐々していると、今度は左右から突き刺さるような視線を向けられた。


「お兄さんもやっぱり大きいお胸がいいんですか?」

「……スレイ、さっきからユフィとリーフのおっぱいばっかり、おっぱいここにもある」


 別に大きいのが好きというわけではない。小さくてもそれはそれで至高だとは思うスレイだったが、そんなことを言ってもノクトとライアには関係ないかもしれない、というよりも、そろそろ何でこんなことをしたのか聞きたいと思ったスレイは、誠にいかんなことではあったが転移魔法で反対側に逃げると、ユフィたちからそろってブーイング受けた。


「そ、そんなことより、なんでこんなことをしてるのかをそろそろ教えてもらいたいんだけど」

「あぁ、それですか………それに付きましてはライア殿からお願いします」

「……ん。わかった」


 まさか今回の発案はライアなのかと思ったスレイは、取り合えず話しを聞いてみることのしたのだが、次の瞬間とんでもない話がスレイの耳に飛び込んできた。


「……スレイ、私そろそろ発情期入るから何とかしてもらいたい」

「………………………………………………………………はっ?発情期?」

「……ん。そう」


 聞き間違いではないらし、そもそも発情期ってあの動物が子孫を残すためになるアレのことであり、そもそもの話しなんで人間に発情期があるんだろうか、そう考えながらスレイは衝撃的な告白のお陰で頭の中が妙にスッキリしたため、ライアの話しを冷静に受け止められるようになったは良いのだが、今度はライアの言っている意味が良くわからなくなった。


「ん?ちょっと待って、発情期ってなんで?ライアさんもしかして人間じゃなくて魔物や動物の類いなの?」

「……違う、私竜人族」


 聞きたいのはそう言うことではないっとスレイは声を大にして言いたかったが、取り合えずその辺りについてしっかり説明してもらいたいスレイは、ユフィたちの方に視線を向ける。


「ユフィ、ノクト、リーフ、取り合えずもう少し詳しい説明よろしくお願いします」

「えっとねぇ~、私も聞いた話でしかないんだけど、獣人族って夫婦になる人が出来ると年に一回、そう言うことがしたくなる季節があるらしいんだって~」

「それでですね、どうも竜人族もそう言う時期が合ったそうでして、身体に流れる竜の本能と言いますか、それが段々と刺激されているようでして………なんとかしてもらいたいとずっと相談を受けていました」

「ちなみに今回のこれを企画したのはわたしとライアさんです!」


 最後のノクトの情報は要らなかったが、取り合えず理解は出来たのだが、今のユフィとリーフの説明からするともしかすると、多祥なりとも竜の因子を持っているスレイにも、その発情期と言うものがあるのかもしれない、その事をライアに訪ねる。


「……スレイは無いと思う。だって、発情してたら今頃私たち全員襲われててもおかしくないから」

「なにそれ怖いんだけど!?って、ユフィたちはなに期待の眼差しを向けてくるの!?」


 ユフィたちから向けられる期待の眼差しを見て、スレイは少しだけ引いていた。そこまでしてヤりたいのか!?っと思ったが、そもそもの話し目の前にその前兆が来ているライアがいるのでヤバいと感じた。


「まさかとは思いますが………ここでするとかはないよな?」

「うぅ~ん、それもいっかなぁ~って思ってるんだけど」


 惚けた笑みを浮かべ舌で唇舐めるユフィ、いまこの状況でそんなことやられるとマジで本気のしてしまいそうだったが、こんなところでするというのが非常識という理性はちゃんと持ち合わせていたようで、ユフィたちからは冗談だと言われた。


「………それで、ボクはいったいどうしろと言うんですか?」

「そうだねぇ~、スレイくん。私たちのこと抱いて?」

「いや無理」


 間髪いれずにスレイが断りをいれた。


「えぇ~なんで~」

「スレイ殿………酷いです」

「もしかして、わたしたちそんなに魅力ないですか?」

「……スレイの鈍感、意気地無し、ヘタレ」

「そこまで言われる必要ないは!」


 スレイが強い口調でそう告げてから、大きく息を吐いてからユフィたちにどうしてか、その理由を話すことにした。


「そもそも、いまのボクって住所不定、ハッキリ言って家がないでしょ?」

「……必要ない、ヤるだけなら外でも出来る、ねっノクト」

「ライアさん?さすがにそんな初体験わたしイヤですからね?」


 どうやら発情期が近いせいか、変な思考に陥っているらしいライアがノクトに同意を求めてきたが、さすがにそれについてはドン引きしたらしく、少しだけ距離を取っていた。


「あのさぁ、話しの腰折らないでもらっていいかな?あと、外でなんてボクも嫌だ」

「あっ、ごめんね続けて続けて」

「それで、もし子供ができたらどこで育てるって話しになるでしょ?それならちゃんと育てれる場所を探さなくちゃならなくなる。だから、それが出来るまではそう言うことをしません」

「……スレイ殿、ちゃんとそう言うことを考えておいでなんですね」

「当たり前だ。それと、ノクトの両親には挨拶に行かないといけないし、まさか挨拶する前に子供連れてなんてしたら確実に殺されるって」


 そうでなくても今のルーレシア神聖国はいろいろとおかしいと、ノクトから聞かされているスレイはそこに更なる戦乱の火種を落とすようなことはしたくなかった。


「ふむふむ、それじゃあスレイくんはお家がアレばいいんだ」

「うん。話しが大幅にはしょられちゃってるけど、言ってしまえばそう言うことだね」

「それじゃあマルグリット魔法王国でお家買っちゃおうよ!」

「待て待て、なんでそうなった!?」


 スレイがユフィの言ったことにツッコミを入れると、今度はリーフたちも同調してきた。


「いいですねユフィ殿!」

「賛成です!出来ることなら大きいお家が良いです!子供たっくさん欲しいですから!」

「……ん。広い庭も、子供には遊ばせてあげる場所が必要」


 四人で勝手に盛り上がっているのをよそに、スレイはのぼせぎみなのともうどうにでもなれ、っと半ばやけくそぎみに思い始めてしまった。


「もう好きにしてください」


 今どうこうというわけではなく、確実にあと数日のうちにそう言うことをすることになりそうだなっと想いながらスレイは脱衣場で着替えを済ましたのだが。


「ユフィお姉さん、またお胸大きくなってませんか?」

「そんなことないよ~、それにノクトちゃんだってもうすぐ大きくなるよ」

「……リーフのショーツもかわいい、もしかして勝負下着?」

「そんなことは良いですから、自分の下着を返してくださいライア殿!」


 ユフィ、ノクト、リーフ、ライアの四人がのんきにそんな会話をしている横で、必死に目を隠してさらには耳をふさいで視覚と聴覚を封じ隅で丸くなっているスレイだが、少しだけ聞こえてくるのは、服を切るときに聞こえる布の擦れるような音、風呂に入っているときににユフィとリーフの胸に視線が行ったときよりも、今の方が背徳感がヤバいと思ったスレイは、そろそろいろいろと限界なので


「もうなんでもいいから早く服着て魔法といてくれぇえええ――――――――――――っ!!」


 ついそう叫んでしまっていた。


 余談ではあるが、この日スレイは悶々とした夜を過ごしたせいで一睡も出来ませんでした。

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