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劣等騎士、追放ライフは剣精霊姫とともに  作者: たまねこ
学園編
2/38

クロエ、強制される2

 ☆



 大抵のギルドは拠点というものがある。

 ギルドを運営する費用もバカにならないからだ。

 王族や貴族、裕福な商人などのスポンサーの手助けがあってこそギルドは成り立つ。

 王族とつながりがあるリッカもその王国に土地や資金を提供してもらいギルドマスターとして成功することができた。

 ギルド【三大賢者】は少数精鋭だが、人数が少ないとこなす任務も限られてくる。

 その時は信頼できる実力がある冒険者に頼むわけだが、それにも資金がいる。

 スポンサーもなく特定の拠点を持たないギルドはきわめて少なかった。

 俗世でいうところの金があってこそのギルドだ。

 ある事情で若くしてギルド【ぜろ軌跡きせき】のギルドマスターになったクロエは非常に珍しいケースといえる。

 ギルド【ぜろ軌跡きせき】もその筋では有名だ。

 ギルド【ぜろ軌跡きせき】もギルド【三大賢者】と同じで人数が少なめだが少数精鋭というわけではない。

 そこのメンバーが特殊なのだ━━強さは関係なく。


 ギルド【ぜろ軌跡きせき】は決まった拠点はもっていないがある場所によく出入りをし、そこに依頼などで得た金の半分をあたえていた。


 そこにたどり着くには困難な場所に位置している施設。

 地図にも載ってないような場所でその施設の存在はあまり知られてない。

 施設【花のつぼみ】・・・・そこで暮らすのは家族に捨てられたり、迫害を受けたり、幼い劣等生だったり、様々な事情を抱えた者たち。

 その中には子供だけではなく大人もいて、施設とは名ばかりのちょっとした町のようなものだった。


 クロエもまたリッカとは別の王族とつながりがあるため誰も使用してない土地を提供してもらった。

 その王族関係者はスポンサーではなくクロエが気に入って力を貸しているだけ。

 しかもそれは施設だけでギルド【ぜろ軌跡きせき】には関与してない。



 ☆



「思ってもみなかったよね。クロエが家を追放したあとに力が発動したなんて」

「そのおかげで俺は世界を見れた」

「その中で私との出会いは大きい?」

「まあ、感謝している。リッカさんのおかげで俺は堕ちなくてすんだからな」

「そう言ってもらえるのは嬉しい」

「だが学園に入学が拒否する」

「仕事の責任はいつもギルドマスター代理である【彼女】に任せ、施設【花の蕾】は【シスター】がやっているからクロエはいつも暇でしょう」

「暇じゃないよ。俺は待機中なんだ。いつ呼び出されてもいいようにな」

「リリア・フォード様にか?」

「あぁ。俺はギルド【ぜろ軌跡きせき】のギルマス兼彼女の騎士━━みたいなもんだからな」



 リリア・フォード・・・・クロエがお世話になっているフォード王国の第二王女様だ。

 騎士とはリリアが勝手に決めたことなのだがクロエは彼女に何かあればすぐに駆けつけようと思っている。


 恋愛感情云々は別としてリッカ以外ではクロエのことをよく知る人物でもあった。



「それにギルマスはクロエじゃなくてあくまで【ゼロ】だからな」



 言ってクロエはキツネの面を取り出した。

 クロエはギルマスとして任務する時は偽名だ。

 そしてキツネの面をかぶって活動する。

 その正体を知っているのはほんのわずか。



「クロエ━━じゃなくてゼロね。

 ナンバーズになるつもりはない?今ナンバーズは空席があるんだけど」



 ナンバーズは最強と思われる十二人に与えられる称号。

 その中に転生者や転移者以外にこの世界の種族もいた。

 ナンバーズの求める強さは戦闘力だけではなく別の能力が突飛していてもいい。

 実績があれば申し分ない。

 しかしいくつか空席があったり行方不明だったり音信不通だったりでナンバーズすべてが顔を合わせることはなかった。



「私が推薦すれば即ナンバーズいり」

「いらん。断る。拒否する」

「少しは親孝行したらどうよ?」

「その見た目でお母さんと呼ばれたら嬉しいか?」

「嬉しいわ。ほら、お母さんと呼びなさい」

「ハズイ」

「ハズイ言うな!」



 リッカが叫んだと同時にクロエの眼前で小さな爆発が起こった。

 彼女は最強の一人であると同時に不完全な存在である。

 感情が高ぶると魔力が暴発する。



「息子ならお母さんお母さんと甘えるものでしょう?」

「はた目だと兄妹だろう?」

「まあ、否定はしないけどさー」



 リッカは拗ねた。



「クロエは老け顔だから」

「はたき倒すぞ?」

「まあ、ナンバーズの話はおいといて学園に通うのは考えて。というか、強制」



 リッカはクロエに人差し指を突きつけた。



「何でクロエは学園行きを拒むわけ?」

「理由は簡単。そこに俺の幼馴染みたち━━知り合いがいるからだ。ついでに姉妹きょうだいもな。絶対に会いたくない」


 クロエは吐き捨てる。


「彼女らは俺と違って優秀だった。転移者と転生者、で、大人に負けないほど力を開化させていた。バカ親父に俺は死んだと聞かされているはずだから、姿を見せたら驚く」

「それなら大丈夫。オルバがクロエの生存を告げているみたいだから」

「余計なことを」



 クロエは舌打ちした。


「俺はあのジイサンがいるから全力で拒否したいんだ」

「聞いているわよ。子供の時はジイサマジイサマって言ってたらしいわね」

「忘れたい過去だ。あの学園はジイサンが運営しているから嫌なんだ。まさかジイサンの差し金か、リッカさんは?」

「私とあれは旧知の仲。そして同じギルドに属していてあれは元ナンバーズ第四位。かつて世界を救った英雄でもあるわね」

「認めたくないがあのジイサンはリッカ以外で俺が知る最高の魔法師だ」



 クロエが苦虫を潰したような顔で言うとリッカは大きく頷いた。

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