表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
347/349

開闢のミーディアム 2

「では蕃神(ばんしん)光者(こうじゃ)が来ているし、蕃神どもの真似でもするか」

「鬼神さんも蕃神の光者になったんだ!」

 彼は頷いてはにかんだ。「まぁね」


「さあ、仙名 麗羅よ。地球の審判員よ。お前は地球の中心を、公認を誰に任せる?」

 ユートゥーが改まり、白々しい咳払いをした後問うてきた。


「見水 佳幸。貴方に任せる」

 佳幸は終わりたくないと願っていた。そして光路と何か約束しているかのような口ぶりであった。

 彼女に地球を任せる。罰を下す訳では無いが、償いながらあの星を守って欲しい。


「では仙名 麗羅。お前はどうする?輪廻を巡るか、無明に還るか?」

「私…には…家族も家もない。見車 スミルノフによって作られた存在。けど、アタシは…仙名 麗羅は!」

 息を精一杯吸い込み、宣言した。

「この町で佐賀島 辰美として越久夜町に(かえ)る!」


 眩い月光が月の子の瞳孔から漏れ出てるやキラキラと瞬き、爆発した。


「アタシがハッピーエンドだと決めたら、アタシ自身はハッピーエンドを迎えられたんだ!」

「賛成する者は拍手を」

 鬼神とユートゥーが拍手してくれる。嬉しくて彼らにお礼を言う。

「あ、ありがとう」


「じゃあ」

 月光に包まれ、辰美は帰れると安堵した。しかし一人、宇宙兎は待ってと近寄ってきた。


「最後に、顧兎に、アルバエナワラ エベルムの魂をくれないか?」

 ユートゥーが笑みをなくし、陰鬱な様相で言ってきた。


「どうやって渡せばいいんですか?」

「手を握ってくれれば、こっちで何とかするよ」

「分かりました」

 半獣の不思議な手は暖かく、ウサギ特有の毛並みがふんわりとしていた。目をつぶりエベルムを脳裏に浮かべる。




「ティエン・ゴウだ!」

 ──俺は、変わってしまっタのか?




「アルバエナワラ エベルム」



「光を食べるバケモノ」

 ──自分は誰だ?確か■■■って名前だったはず…



 ──■■メ?思い出せナイ。

 彼はいつしか宇宙語で「アルバエナワラ エベルム」と呼ばれ、指名手配された。


 ──どこに行っても嫌われ者か。笑えるな。


 宇宙にいる生命体から「光を覆い、神を喰らうバケモノ」という意味で罵られた。

 なぜならば事の始まりは、エベルムはとある時空で顧兎(師匠)に近づくために月神を最初に食べたからだ。味を覚えたエベルムは──


 ──太陽神と月神がいる世界は完全な世界に近く、とてもおいしい。だから異常な執着を持っていた。


 ──頭の中が掻き回されるみたいだ。まともな思考ができない。俺はどうなるんだ。ユートゥー、お前に会う事はできるのか。


 ──ユートゥー。

「エベルム、いや、■■■。お前はもう、私を探さなくていいよ」

 苦悩していた天の犬は虹色の目を見開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきありがとうございます。

こちらもポチッとよろしくおねがいします♪


小説家になろう 勝手にランキング


ツギクルバナー


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ