魂呼ばいとあの世 1
事務所で秘密の集会が開かれていた。越久夜町の者たちからしたら"部外者"の集まりが。
「これより板橋区UMAハンターズの会議を始める」
「久しぶりの口上だなァ。シカシヨ。ここはオクヤマチだろ?」
ふんぞり返り、チョコミントアイスを食べる虎男。麗羅がいた時もこんな調子だったのだろうか。
「じゃあ、越久夜町UMAハンターズにしましょう」
「越久夜町レンジャーで」
「マジかよ?だっせ〜」
「うるさい!」
いつかのノリを噛み締め、竹虎が上機嫌にアイスをかきこむ。
「やっぱこのメンバーが一番やりやすいなァ」
「そういえば魚子はどこかしら?」
「人間に戻れないから来たくねェんだとさ」
この町ではグリズリーの容姿しか知らないが、彼女も苦悩しているみたいだ。
「さて、こうしてみたものの。私が今回提案する計画以外には進展はないのよね」
「辰美ちゃんは何か解決策はねーのかよ?」
「アタシ?な、ないなー」
「カァッ!使えねェっ 」
「あ?」
「二人ともふざけないで」
(ふざけてないし…)
「このままでは麗羅を救えないわ。以前、竹虎が言ったように彼女は自分の犯した罪を償おうとしている。無理よ。あの子にそんな芸当できるはずがない──ならば」
「ならば?」
首を傾げた一同に彼女はハッキリと口にする。
「一回、いえ、今回も運命に身を任せましょう」
「ハ?指くわえて次に期待するのかよ?」
「ええ、やり過ごしましょう。この空間なら多少の崩壊に耐えられる。死んだとしてもまたこの地に集まれば…」
「有屋さん…麗羅さんの苦しみや、理想を突破して、アタシとして──辰美としての落とし前をつけます」
「馬鹿なの?!貴方死ぬわよ?!」
「死ぬのは嫌です。でも麗羅さんは最後の正気と意識で私に、ハッピーエンドにして欲しいと頼んできたんです」
有屋はふがいなさと悔しさに涙をこらえた。
「吾妻さんにも会ったんです。だから、今回は絶対に前に進みましょう」
「吾妻が?!生きていたの?!」
「いいえ。月の子にチャンスをもらったと言っていました。夜の神になる代わりに、一度だけ」
「そう…なら、私が計画している作戦に賭けるしかないわね」
「まずその作戦とやらしか望みがネェしな」
他人事で爪楊枝をくわえる竹虎。緊張感に欠けるが、これでも必死に希望的観測をしているのだろう。
「佐賀島 辰美へ近づくには、この人界ではまず不可能。干渉者の力がないとまず親玉にはたどり着けないでしょうね」
「しかしよぅ。白痴の霧瘴の核に佐賀島 辰美がいるンかな?」
「そうでしょうね。私も直接見たことないけれど、大体、主体となる存在には核がある。どんな形であろうと、佐賀島 辰美はいる」
「で、異界でガツンと殴ってやるッてワケか」
「ええ」




