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正義なる誤診 3

「我々は時空を記録して、皆で宇宙を守る。お前らの独善的でひとりよがり、加えて的はずれで押し付けがましい意見や命令とは異なるのだ。そう、それにお前らは勧誘活動が激しい。教祖を崇拝する異教のようだ」

「な、なに!貴様ァ!坐視者だって、ならなければならない状況下に追い込むくせに!宇宙狩猟の猟犬群だってそうだろう?無理やり組み入れて!」

「ふん。喚いていればいいさ」

 モガモガとネットと格闘している様をせせら笑うと、辰美へハイヒールを鳴らし、向かってきた。


 何をされるのだろう?

「ヒッ!」

 逃げる体勢をとった──が、マハスティは見惚れるほどの完璧なお辞儀をした。


「すいませんでした」


「い、いきなりどうしたの?!」

「そもそも私は見車 スミルノフの件について謝罪に来たのだ」

「あっ…リネンさん…」

 来家 リネン、もとい見車 スミルノフは坐視者だった。彼女は今どこで何をしているのだろう?


「殺害など、または手を下してならない──坐視者(そぞろみるもの)のルールには殺人罪は侵してはならないというのがある。見車 スミルノフは環境保護地区の地球生命体および民間人を殺害した。列記としたルール違反だ。こちらできちんと断罪する」

「わ、分かりました…」

 組織の頂点である最高司令官から謝罪されるなど最初で最後だろうか。

「お詫びの品にこれを」

 瞬時に辰美の手に『トウキョーひよこ』の箱が現れた。菓子折りという訳か。


「見車は二度と貴方には近寄らせない。約束する」

「ありがとうございます…」

「いや、こちらの管理体制の不祥事だ。感謝などいらない」




 マハスティ・アチャは菓子折りを渡してきたあと、忙しそうに宇宙に戻っていった。


(ネーハちゃん、蹴られて可哀想…)


『トウキョーひよこ』は東京の有名なお土産である。日本人の好みを考えて選んだのだろうか?やけに人間臭い謝罪の仕方に、どこか気が緩んだ。


「辰美さん…すまないがネットを外してくれないかい…」

「あ、ごめん。今外すね」

 ネットに捕獲されたネーハに近寄り、丁寧に絡まった網を外していく。


「アイツら…ふざけた真似を」

「まあまあ、謝罪してきただけでヨシとしようよ」

「はあ…」

 釈然としない彼に、お土産を差し出す。

「一緒に食べよう」

 呆れ半分、戦意を失ったようで頷いた。

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