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太陽と金星 5

 オクヤマに突如降って現れた、人・神食い─ティエン・ゴウ──干渉者。

 忌み嫌われた干渉者であった彼を、神々は恐れおののいた。


 あまりのエネルギーの強さから、あの干渉者(グリーフ)に適う者はいないと──腫れ物扱いで忌み嫌われていた。いつ追い出そうとも、神霊らは結託していた。

 忌み嫌われる事に慣れていた彼は、太陽神を血眼になって探す。

 喰らわなければならない。なのに太陽神はまだ居ない。


 困り果てた天津甕星は、最高神を務めている月神に出会う。


 月神はこの悪神に何故この時空に来たのか訳を話しなさいと、戦う意思はないと告げた。

 太陽神がいないのなら、この時空を去ると彼はいうも、月神はエネルギーが有余る天津甕星を排除せずに、越久夜町に存在していいとした。越久夜町の神々はあまりにもおぞましいと反対したが彼女は取り合わなかった。


「夜の神はオレを甲斐甲斐(かいがい)しく世話し始めた。地球での過ごし方、人への接し方、または祭事の行い方。まるで初めて地球に来た赤ん坊みてえにな」

「そう…貴方が祭事を行い始めたのも前代が?」

「ああ、人間の生態を知ってもらうようにな」


 かの最高神は(金星)の神であったが月神に変化してからは、不死、霊魂の永生と転生を司り、救済を体現する為にいた。そしてお節介で世話焼きだった。

 霊験は強いが体が弱かったため、創造神である"月の子"の衛星眷属であった顧兎(こと)が世話をしていた。


「顧兎は太陽神であるお前を危ぶんではいたがねえ。前代はむしろ育ててみせる気だったさ」

 その話を聞いて春木は瞼をつぶり、しばし黙った。

「状況整理をすると、天津甕星と私は双子だった…そして太陽の子から生まれた存在だった。バカみたい。身近な者同士で争っていたなんて皮肉ね」

 天津甕星はただだんまりとしていた。

「私は地球の神を真似て、時空に滑り込んだ。異物だったわけ」

「ああ」

「結局何を言いたいのかしら?」


「これだけは伝えたい。夜の神はお前も愛していたよ。別世界から来た太陽神であるのを知りながら、排除せずに成長させる道を選んだ。お前を最高神するかも悩んでいた」

「…そう。あの人は聖母のような人だった」


「そのUSBメモリにお前へのメッセージも入っていた。じっくり読むんだな」

 髪飾りを見つめると、ゆっくりと表面を指でなぞった。

「…思い出したわ」



 当初、春木は長い間、幼い姿のままであった。その弱さから現在のような太陽神ではなく、無名の神だと思われていた。

 幼く稚拙な言動しか出来ぬので、神々の中では相手にはされなかった。唯一、か弱い彼女を有屋がサポートしていた。

「有屋とよく夜の神が私を撫でてくれた。貴方は次期、大きな輝かしい神になると励ましてくれたの。…忘れるなど、ひどい事をしていたのね。むしろどこかで前代を憎んですらいた…」



「どうする?絶望して、これから越久夜町を破壊するか?」

「貴方には私の気持ち、言わないどく」

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