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太陽と金星 4

「山の女神は──地球神にどこか似ている。例え最高神が地球の分身だとしても、瓜二つや酷似する事はありえない、分かるだろ?お前は純粋な地球神じゃねぇんだよ」

 天道 春木は地球の神である麗羅(らいら)にどことなく似ている。顔つきや髪型まで──まるで生き写しである。愛嬌を売りにしていた麗羅をスラリとさせ、険しくしたようだ。

 対して御厨底町(みずぞこちょう)の最高神である水分(みまくり) 羽之はまったく似ていない。


「偶然でしょう?」

「いいや。お前が地球神に擬態しているからだ」

「ふざけないで」

「ならばこれを見ろよ」

 摩訶不思議に、手のひらに構成されたのはこの前、辰美が渡した物だった。


「その髪飾り…」

「オレの魂を持っていた、童子式神の髪飾りさ」

 星が瞬く様を表した文様が施されたひし形の髪飾り。角髪を結く紐についていた。

「童子式神に感謝したいがねえ。お生憎いないもんで」

「申し訳ないけれども、その髪飾りと私たちの話に何か関係があるのかしら」


「これに夜の神がこの髪飾りに星神の情報を詰め込んでいた。USBメモリみたいなもんだ」

「前の代が?なぜ?」

 理解できぬと山の女神は眉をひそめた。

「越久夜町を壊れたままにしたくなかったんだろうよ」

 USBメモリの髪飾りを彼は彼女へ投げて渡した。

「大切な物なのを私に渡すなんて、愚行よ」

「バックアップは取ってある」

「…もらっても嬉しくないわよ」

「まあ、取っといてくれ。遺品代わりにさぁ」

「遺品?」

「なあ、前の最高神は本来、星を司っていたんだ。オレと同じ金星の神だった。まあ、宵の明星と明けの明星で属性は違うがねぇ。夜の神は太陽と金星の神話を既に知っていた。だから、オレを追い出しはしなかったんだと思う」

 その言葉に、春木は怪訝な顔をした。

「待ってちょうだい。前の代は星神なんて知らなかったし、その太陽と金星の…」


「月の子と太陽の子の天地分離の神話を知っているだろう?」

「ええ。月の世界と太陽の世界…その神話は知っているわ。神霊なら皆知らなければならないもの」

「ああ、太陽と金星の話もか?」

「いえ、それは初耳よ」


 遠い昔。宇宙が誕生し、地球が誕生し、オクヤマができた。

 オクヤマに()()()太陽神が誕生した時、太陽神は神々に生け贄を求めた。その事に腹を立てた双子の金星の神は、太陽神に向かって槍を放った。

 しかし、太陽神に槍を跳ね返され、自身の頭に刺さってしまう。その瞬間から干渉者になってしまったという。


「…太陽神。私も該当するの?」

「もちろん」

 彼女は苛立って、立ち上がった。

「越久夜町に生まれ、この状態になるまで生け贄など求めた事など一度もなかった!」

「だが、運命は避けられんぞ。お前は太陽神だ。時空は破壊する運命にある」

「いいえ!私は越久夜町の時空を必ず持続してみせる!それが前代が遺してくれた私の役割よ」


 双方の視線がぎらつき、拮抗する。

「オレは何度も越久夜町で太陽神を食らった。喰らわなかった時空もあったがね。必ず終わるんだ」

「貴方…!」

「夜の神から聞かなかったのか?」

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