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ポスト・アポカリプスと宇宙猟犬 4

 月世弥がやさぐれた様子で行儀悪い姿勢で椅子に座っていた。東京都の県境近くの、廃墟となったファミレスで休んでいた。


「わんちゃんってもっとお利口さんで、可愛くて、ほら、チワワみたいなぁ」

「私の時代の犬はそうじゃなかったけどね」

「そうですわよ。地球上にはまだオオカミもいる環境もありますし」

 日本だとオオカミが絶滅してしまいましたから、とチー・ヌーは付け足した。


「まずいのは総統に目をつけられた事かな」

「アレテー…さん?だったっけ?」

「野犬の群れはしつこいですよ」

「自らをアレテーと名乗ってんのも相当ヤバいよ」


 アレテーとは魂にそなわる優れた性質・魂の優秀性や徳──自らはそうだと言いたいのだろうか。


「問題はアレテーが東京都に出現している状態だろう。アレは本来宇宙にいる存在だ」

 月世弥は崩れかけ、なおも風化していく高層ビル群を眺めた。

「東京都は深淵に繋がっているのかもしれません。だからアレテーが牛耳っているのかも」

「深淵?あの、深淵をのぞく時…とかいうヤツ?」

 ──深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。そんなとても有名な名言がある。

 辰美は井戸の底をイメージした。あの暗い水底は異界だ。


「神々は深潭(しんたん)とも表していた。太虚より深い場所にある淀んだ世界だよ」

「ええ。わたくしも耳にした事があります。走り疲れた宇宙狩猟の猟犬群が眠る、地獄のような場所…または無明」

「東京が…その深淵に繋がっているのは、やっぱり麗羅さんが提案したUMAのせい?」

「かもね」


 坐視者(そぞろみるもの) を作り出した絶対神は日本では豊雲野神(とよくもののかみ)と呼ばれているらしい。天地開闢の際に現れた神であり、雲を神格化しているのだという。

 雲とはこもる──隠ると、こめる──籠めるを原語としているのではないか、とされる説がある。隠れる、ひそむ…彼らの性質を当てはめて絶対神を豊雲野神だとしたのかもしれない。


 その神は訳あって、宇宙世界で恐れられていた宇宙狩猟の猟犬群を取り込んだ。宇宙狩猟の猟犬群は深淵にいる無形に近い亡霊のような厄災だった。

 それを坐視者たちは賢威として使っているのだという。ならばあの場所は宇宙狩猟の猟犬群たちの密かな縄張りなのかもしれない。

 彼らから離れて、関わらない方が良さそうだ。

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