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開闢のミーディアム ~人ならざる者が見える辰美の視点~  作者: 犬冠 雲映子
ツギハギの町と憐憫たるスナッチャー編
265/349

ユートゥー・ノーモースター・スアヲルシィとかわいそうな迷子の犬 3

 月世弥のヤジに子供は怒った。自分の所属にとても誇りを持っているようだ。

「いいかい、人間さん。地球では"世界"が五回創造されたと伝えられておる。既に超古代文明は四回滅びているのだ。五回目がホモ・サピエンス─今の人間の世界でね」

 それは「第五の月」と呼ばれ月は"世界"であり時空を指すのだという。


「エベルムは"第一の世界"を崩壊させた事柄に深く関わっているのだ。その際にユートゥーを殺めたと勘違いしている」

「え、あの、初耳なんですけど」


「アヤツの執着はおぞましい。絶対に話してはいけぬぞ」

「う、うん」

 秘密に、と唇に人差し指を当てるジェスチャーをされ、その動作がまた子供らしい。だが中身は人でない。見た目に惑わされてはダメだ。

「ほれ、帰れ!」

「はいはい!わぁーったよ!行こう」

 巫女は雑に返事を返すと、来た道を歩き出した。

「じゃ、じゃあ!」

「ふぅん…あれが■■の佐賀島 辰美か。想像していたよりひよっこだな」

(えっ…?)

 ハッと振り返ると、マハスティ・アチャの姿はなかった。



 ──エベルムには絶対ユートゥーの話を絶対するな。アヤツは狂っておるのだ。


 エベルムは以前叶えたい事があると零していた。それは"顧兎(こと)"に会いたい、なのではないか。

 越久夜町とユートゥーに接点がないように見える。しかし月世弥はユートゥーと密談していた。一概に無関係とは言えない。


「よお。珍しく真面目な顔をしてるな?」

「うん。ユートゥーさんについて考えてるんだ」

「なんだって?!」


(あーっ!やっちゃった!)


「おい。その話、俺に聞かせろよ」

 凄みを効かせたエベルムに脅され、狼狽する。もし話してしまえば、あの最高司令官に叱られるかもしれない。

 だが、コイツに害されるのも嫌だ。


 そこで辰美は「秘密にしてくれるなら」とダメ元の口封じを命じた。

 魔筋の行き当たりでユートゥーに出会った事。辰美は会う資格がない事。秘密にしろと言われた事──

(アタシって口軽くない?)

 命拾いするための狡い処世術として正当化するしかなかった。


 辰美の話に、彼は通常のスカした態度ではなく、心底驚いた様子でこちらを見てきた。

「あんたの妄想じゃあないよな?」

「う、うん。本当だよ」

「あいつ、生きてたのかよ!」

 オーマイガーと、彼はオーバーなリアクションをした。


「間違いなく死んだって噂されていたのによ」

「死んだ?」

「太陽の世界の衛星眷属に殺められて、もう会えないと思っていたんだ」

「えいせいけんぞく?」

「ああ、ユートゥーみたいな奴だよ。確かに、"太陽の子"の炎に焼かれて。俺は見たんだ。焼失していくのを。月の子に連れてかれてそのまま…ああ、なんて事だ」


 クラクラした頭を気遣うように、手を添えて座り込んだ。

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