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開闢のミーディアム ~人ならざる者が見える辰美の視点~  作者: 犬冠 雲映子
ツギハギの町と憐憫たるスナッチャー編
258/349

憐憫 7

 強引に二人を四ツ岩トンネルまで連れてくると、車を停めた。四ツ岩トンネルの外壁にはツタが絡まり、風化が始まっている。人の手が入らなくなった途端にこれだ。


「倭文神、有屋!久しぶりだな!」

 水分が立っていた。ダボダボのスウェットを着こなした、有屋 鳥子よりも若々しい田舎の金髪ギャルがそこにいる。

「…水分」

「倭文神、勝手に絶交されたの根に持ってんだぜ。なんだよ、あたしたちに何で言わなかったんだよ?あんたが越久夜町で除け者にされてたなんて」


「お前には分からない、お前は、力があって、最高神になる素質があった。でも私には特異な力はあっても、素質がない──脇役だった。その気持ちが分かる?!」



「は…?覚えてないのかよ、御厨底町へ亡命しようと持ちかけたじゃないか!」



「え?」

 彼女は呆然としていたが、やがて有屋を睨め付ける。「お前、まさか…」

「口止めされたのよ。新しい最高神に」

「な、なんで…」

 倭文神の幼い顔がみるみる内に真っ青になり、しまいには俯いた。


「倭文神。最高神なんて執着しなくても、あたしたちに助けを求めれば良かったんだ…邪険に扱わないで、普通に話せば──」

 意味のない慰めに、小さな神霊は目を伏せる。


「遅いよ」


「あ?」

「何で、それをもっと早く言ってくれなかったの…」

 涙がポタポタと流れ落ち、アスファルトに染みていく。それを辰美は為す術なく眺めているしかなかった。


(神さまが泣いてる…)

「憐憫」はこれにて完結しました。

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