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開闢のミーディアム ~人ならざる者が見える辰美の視点~  作者: 犬冠 雲映子
ツギハギの町と憐憫たるスナッチャー編
234/349

アトラック・シンシア・チー・ヌーと辰美ちゃん 6

「きっと、そっちにいる方が幸せだよ」

 いきなり地響きが町を揺らした。ダムが決壊したのか?

「どういう事!?」



 どこからかあふれ出した濁流に呑まれ、辰美は息ができずに流された。そのままどこかへ連れていかれる。

 終着地はあの屋上だった。

 ある日、蘇った記憶の中にあるボーイッシュな少女がいた。


「──私が白痴の霧瘴、干渉者の始祖になった"真の辰美"に見えるのだろう」

 女子高生は、彼女は言う。

「真の、ホントの辰美…さんへ一体、自分自身は何をしたの?」と尋ねた。

「答えられない。自分は何も知らない。何も語ってはいけない。だが、この場は集合的無意識に近い場所だ。人の、人類のデータベースだ。だから私が出てきたんだ」

「貴方は──どこかで、会いましたか?」

「…。私を直視できていない以上、正体は明かせない。辰美、諦めてはいけないよ」


 戸惑う辰美に、彼女はかつてあった東京の街並みを眺める。

 久しぶりだった。この街並みがとても見たかった。涙が出そうなほど懐かしかった。


「人が栄えていた時代もあったのを、私が住んでいた世界を、人々は忘れない」

 どことなく誰かに似ている少女が、静かに言う。


 宇宙から飛来した人類の系譜がホモ・サピエンスまで続いている。

 絶望や苦しみの星から落ちてきたと言われている。文明社会を築き、大量発生するのが特徴。何度も滅びかけるが何度でも繁栄する。

 人類とはそんなものだ。


 鬼神が振り返り、こちらを見た。


「ハッ!」

 バスタオルをはぎ飛ばし、辰美はこれまでの会話や景色は夢だと悟った。

「鬼神さん…また話したいよ…」

この回は完結しました。ありがとうございます。

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