ERROR《ひとりぼっちの女神の誕生》
──仙名 麗羅。まだ終わってはダメだ。
見車の呼び声がした気がした。
麗羅はぐにゃりと混沌とした闇の中でさまよっていた。暗闇─無に囚われていた。
漂いながら、麗羅は前を見すえる。上も下もない混沌の最中を眺める。もがくのもやめてただ宙を。
(私は、負けたのね。)
竹虎と魚子の顏が脳裏をよぎる。記憶、会話。情景。
ゲームオーバー。
(終わらせられなかった。ああ!私は、負けた。)
──視点が、変わってしまった。
また変えなきゃ。
負けて、異なる世界へ飛ばされてしまった。飛ばされた?本当に?誰に飛ばされた?
自分は今どこにいる?
(でも今の世界は──)
(あの子と初めて会った瞬間やそれから壊れていった時間もこの世界とは、大いに違う。)
混沌を彷徨い、麗羅は正解にたどり着けるかと模索する。
混沌の世界。始まりの、原始の世界。何も無くて全て存在する。
「……。」
天地開闢の世界を麗羅は連想した。世界中に存在する世界の始まり。人類の共通する神話。神から万物が生まれ、または作り─……空想は好きだった。様々な世界を、ストーリーを脳内で作るのが好きだった。(そっか。)
──神様はチャンスをくれたに違いない。
チャンスなのか、見捨てられたのかは自分が決める。麗羅はまず、自分から自分を切り離した。
「佐賀島 辰美。──辰美ちゃん、自分を認識してみて。」