星神と鬼神 6
油性のマーカーペンで書かれたのたうつ文字と奇妙な─不格好な怪物か鬼のような顔。安物の紙の繊維に滲んだインクが手作り感を醸しだしていた。
天津甕星は手に取ると、「呪符にしてはヘタクソだね」と酷評した。
「呪符?を知っているんだ」
「まあねえ。これは神文字だね?見たことないパターンだけどさぁ」
「反呪法とかいうヤツの御札…呪符らしいよ。そうそう!返呪詛祟符だった」
返呪詛祟符──難しい言葉を必死に覚えたかいがあった。
図書館のPCで不正アクセスの如くたどり着いた怪しいサイトから拝借したものだった。返呪詛祟符の正しい読み方など分からないけれども、メモと写真を撮って見よう見まねで書いた努力の結晶だった。
「……ぷ、ぷはは!あははは!」
笑いだした天津甕星に嫌な気持ちになるが、彼は「おもしろ〜〜い!気に入ったよ!鬼神に会いに行ったげる!」
「マジ?!うれしい!」
飛び跳ねて喜んだ辰美に天津甕星はさらに大笑いした。
「やっぱ辰美ちゃんおもしろ!これって結界を壊そうって魂胆でしょ?コレが効くか是非試したいなあー!」
呪符をお気に入りのおもちゃのように握りしめると、スクッと立ち上がる。
「ほらほら、行くよ!」
「ちょ、ちょっと!?」
駆け下りていった子供の慌てて後を追う。サンダルで走るのは無理があったが、身軽な少女を必死に追いかけるしかなかった。
返呪詛祟符 一体なんて読むんだ




