星神と鬼神 3
「はははっ!魔に化かされて幻影でも見てるんじゃないか?」
転げまわって大笑いする勢いで彼は否定した。
「ホントだもんっ!」
「かの天津甕星なる神が君のような少しだけ変わった起点を持つ雑魚の前に現れると思うかね?」
「あ、会ったらわかるよ!ちょっと…ていうか、かなり変わってるヒトだけどさ…」
偉大なる神であるとは到底思えない有り体の少女だ。魔物である方がしっくりくる。
「ほう、私に見定めろと?大きく出たな」
鬼神は小馬鹿にした笑みを貼り付けて、しかし少し興味を持ったようだ。辰美は不思議になる。
どうしてそこまで頑なに居ないと決めつけているのだろう?
「連れてきたまえ」
「う、うんっ──そういえば消えかけてるって聞いたけど…」
黄緑色と赤の瞳が陰り、諦めた寂しそうな顔をした。
「時空から見捨てられてしまったのだ。理に従い淘汰されようとしている」
「そんなのアリなの?」
時空から見捨てられるとはいかなる事なのか?辰美は他人事に切なくなった。
「ああ、そんなものだ。ところでそれをどこで知ったんだ?」
「巫女式神…かな」
すると彼は難しい顔をした。
「巫女式神とまだつるんでいるのかい?彼は味方とは限らないじゃないか。あまりよろしくないな」
「うん。そうだよね」
馴れ馴れしくすり寄ってくる巫女式神に対して完全に気を許してはいない。それよりも人ならざる者はどこか信じてはいけない気がして。
(私の味方って…)
緑と見水はこの先何があろうとも味方になってくれるだろうか?
人ならざる者だけではない、人間に対しても信用できはしなかった。悲しい世の中に辰美は沈んだ。
とても暑い日が続いていたので、涼しくなると執筆しないと焦ってしまいます。
良くないとは分かっているのですが…