山の女神と越久夜町の昔日 7
(私と同じって事?私も天の犬になるの?)
緑の祖父の光路の末路と同じ道を辿る─なんと恐ろしいのだろうか。人でなくなるのは、とても恐怖を感じる。
「じゃ、じゃあ!それを緑さんに言った方がいいよねっ?」
「やめてくれ」とストップの仕草をして、彼は否定した。
「天の犬は世間一般に知られてはならないんだよ。坐視者もそうだ。」
「坐視者 …アンタも何かなのね」
「ああ、宇宙からきた地球外生命体さ。時の権力者や聖人、そいつらまたは歴史や人類に影響を与える者のそばにいて、記録する─それが俺らの存在理由だ。坐視者は人類に干渉してはならねーのだ。お前は例外だがな…」
──危険だ。坐視者に傾いてしまう。
鬼神がそう言って警告していたのがよみがえる。鬼神は坐視者を存じていたのだ。
「…。そう、じゃーさ。おじいさんは何を調べていたの?」
「それもいえない」
「なんで言えないのよ」
「どちらかに肩入れしてもいけないんだ。言ったろ、人類に干渉してはいけないってよ」
やれやれ、と彼は天井まで歩くとこちらを見下した。
「でも私は例外って」
「天の犬は全てを見渡せる。─お前も天の犬になるんだ。避けられそうにねーからそう言ってんだ。」
「やだ」むつれる辰美に犬人間─もとい天の犬はならば、と提案する。
「なら、巫女に気をつけるんだな」
「知っているんだ」
「ああ、天の犬だからね」
短めになりました。




