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山の女神と越久夜町の昔日 3

 ──神代の時代、いや、はるか昔に越久夜町は一度壊れそうになったのは確かだ。天津甕星なる神の行いによる。ちなみに天津甕星なる神話に登場する星の神の名ではあるが、それはあて名に過ぎない。話は戻るが、山の女神─最高神に背きムラを支配しようとしたのだ。


 ──天津甕星は怒り、村を支配していた神官たちの崇拝対象であった女神へ戦いを挑んだ。それには根本として、人の世界の怨恨が関係しているのではないだろうか?

 ──天津甕星の巫覡(ふげき)が関係していたようだ。それにはもっと町が『ムラ』であった時代の事柄を視なければ……


(やっぱり鬼神さんの話の通りだ)

 手記に書かれた文字を前に、二人はしばらく無言だった。

「ムラに居た神官…いつの時代なんですかね」

「…ね。おじいさんはその他に調べられなかったのかな?」

「見てみます」

 古っ茶けたページをパラパラとめくっていき、神官という文字を見つける。緑はページを開ききるとそっと文字をなぞった。


 ──◆神官と女神について。かつてこの町には山の女神を頂点としたヒエラルキーが生じていた。神官たちが女神の声を民に伝え、政を行っていたようだ。

 ──神の声を伝える巫女のような人物がいた。その者の地位はどのようだったか不明。接続できなかった。


「神の声を伝える巫女。町の史実には載っていない人物ですね」

「卑弥呼みたいな人、とか」

 夢に出てきたあの巫女は、実在していたのやもしれない。夢がみせた奇妙な物語ではなかった、というのか?

「そうかもしれません。…神代の、もっと前の時代ですから…日本書紀が作られた時代…古墳時代より前になりますね。町の史書をもう一度読んでみます」

「私も読むよ」


 膨大な量の書籍から古墳時代より前の、越久夜町の歴史が書かれた物を探す。辰美は印字が羅列された難しい書籍を読むのが苦手な辰美は、たどたどしいながらも巫女や神官の手がかりがないか調べた。


「ないな~」 

 発掘調査が詳細に記された本を片手に頭をかいていると、緑もたまらずため息をついた。

土器について詳細に記されたページを眺めるのも集中力が必要で、既に頭に入っていかない。麦茶でも飲んでから仮眠したいぐらいだ。

「つかれたあ、緑さん休もう」 

「一つ気になる事がありまして。縄文時代の調査報告書や文献が特に少なくありませんでした?」

「え、そうかなあ。分かんなかったや…」

 手当たり次第に読んでいたので返した書籍を記憶していなかった。


「他の時代はたくさんありましたよ。遺物も極端に少なかったです。隣の蛭間野町(ひるまのまち)の縄文時代の土器などは多く出土しているのに…」

「山奥だから、そんなに住んでなかったのかな?」

「まさか。山が多い長野県にも土偶や土器はあります。越久夜町にも人がいたはずです。神官や巫女がいたとなると、民の数も多かったに違いありません。…辰美さん、念の為に図書館に行きましょう」

「えっ、うん」

思い立ったが吉日。さっそく蔵を出る事にした。

連続に投稿なってしまった。

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