越久夜町の偽神話 7
「どこかってさぁ」
「じゃあ、考え直してくれ。まだ少し時間があるから」
「…なんで、私に頼むのよ。自分でやればいいじゃない」
「あたしは、今の状態だと直接は越久夜町に手を出せないんだ。もう、巫女式神ではないから」
「どういう事?」
「じゃあ!またな」
そういうと急ぎ早に巫女式神は部屋から出て行ってしまった。あっという間に暗闇に吸い込まれ、消えてしまう。
蒸し暑い部屋に夏の風だけが入り込み、辰美はため息と脱力した。
「疲れたわぁ〜」
巫女式神なのに、巫女式神ではないというのは如何なる事か。謎かけか何かか、と思考停止しつつも網戸を閉める。台所の窓は開いていたが部屋は蒸し部屋状態になっている。
コップを見つめて放心していたのは、傍から見たら怖いだろう。あれも前兆だったのだろうか。
畳に寝そべり、大家さんにもらった扇風機を出そうか考える。考えては忘れていたがさすがに暑い。
(越久夜町の神話…もどき?あれが本当なら最後はどうなったんだろう?)
そして山の女神に対抗できるほどの力を持つ剣がなぜあるのだろうか?
──分からない。
辰美はつらつらと考えて、まぶたを閉じる。暑いと眠気が襲ってくる。
(少しお昼寝しよう…)
今回は大変でしたが終わりです