異世界召喚された巻き込まれは勇者御用達の鍛冶屋ではなく鍛冶屋のおかみさんやってます
異世界召喚されるなんて思ってませんでした。気がつけば結婚して子供までいます(困惑中)
あれは今から5年前、高校の卒業式の帰り道のこと。
ドラマの再放送を見るために急いでいた私は、T字路を曲がるとき人とぶつかり、次の瞬間見覚えのない薄暗い建物のなかにいた。
そこには、王様らしき人とそれに良く似た私と同年代が1人、どう見てもオカマなRPGゲームに良く出てそうな格好の魔法使いが1人と、胸は大きいがドジっ子っぽいラノベによく出てきそうな聖女が1人、脳みそまで筋肉っぽい騎士が1人とぶつかったイケメン。
どう見ても勇者召喚ですね、本当にありがとうございました。
勇者様の容姿を一言でいうと、スポーツ万能そうな爽やかイケメン。ただアニメや漫画によくいるような鈍感系のではなく、自分の容姿を把握し武器にしている腹黒系。
王様は不憫系苦労人の人のよい人で、その息子である王子様は中二病患者だが弓の腕前は国一、オカマな魔法使いは、彼氏が王国の騎士団にいるから国に留まっているだけの流浪の民で、聖女様は見た目とは裏腹な毒舌系女王様、脳筋騎士は頭脳派な副団長。
通訳して聞いただけでも疲れる面子だった。
その後はテンプレにテンプレが積み重なり、巻き込まれ(断定)らしいとわかったが、言葉が通じず勇者様の通訳と説得により牢屋行きは免れた。そして、
テンプレ標準装備の言語チートはない私は、テンプレの素養試験を受けて筆談なら可能とわかったけど、まともなギフトが鞘作りと鑑定しか無く、小料理修練中や家庭菜園見習いやら鍛冶屋のヨメ(未確定)とか主婦とかまともなものなんてなかった。
一方のイケメンは勇者の奇跡、言語チート、剣に愛されし剣豪、魔を討ち滅ぼせし者、聖女の下僕、主夫というギフトがあるらしい。
最後の2つ、突っ込みどころがありすぎて困る。
これらでわかるように、
この世界はギフトという技能で回っている世界らしい。
それから私は勇者達を魔獣王の退治に送り出し、城から紹介してもらった鍛冶屋組合の文献管理部(図書館の専門書のみバージョン)に就職して、組合の婚活パーティー(鍛冶屋の嫁、旦那のギフト持ちの)に参加して、運命の出会いを果たした。
その人は一言でいうと、くまさんだった。『熊』ではなく『くまさん』てのがポイント。
どこなのヤーさんのような風貌なのに円らな瞳で、体が大きいのに細かい作業が得意で、甘いもの大好き。
そんな彼の名前はハルジオン・ルティナ。
世界で勇者の剣を作れる数少ないお人であった。
筆談しかできなかった当時私と口下手だが筆談だと饒舌な彼はお互い甘いもの好きだったため、お菓子の話題で盛り上がり、そのため出会って手紙のやり取りを始めてから付き合うまでにそれほど時間を要さず、付き合い始めて2年後、この世界の言語を習得した時にプロポーズされた。
『鍛冶屋のヨメになってくれ』
と、見た目にそぐわずロマンチストな彼は、お得意様で友人であるセンチュリオン家のチヨさん所有の花畑を貸し切り、物語の王子様の様に跪いて言った。
この世界のプロポーズの返答はイエスなら自分の身につけているアクセサリーを渡す、ノーなら立ち去るというもので、イエスだった私は、初めてのデートの時のプレゼントであるネックレスを渡した。
渡した時の彼は、嬉しさのあまり号泣して、泣き止むまでかなり時間がかかった事はいい思いでで、誰にも言えない二人だけの秘密。
そうそう。勇者様は、トリップして丁度1年半立った日に魔王討伐を成し遂げて、聖女様の家に婿入りしたらしい。何でも聖女様に逆プロポーズ
されて。
勇者様は、ベタぼれだったからお揃いで買っていたタグ付きのチョーカーを差し出したらしい。
これは、その場面に遭遇したチヨさんの談。
話に何度か出てるチヨさんは転生者っぽくて(本人は日本人だったと気づいてあない)、チヨさんが冒険者だった頃からのうちの旦那の店の常連さん。メンテナンスの間の待ち時間によく話してた為仲良くなって、息子さんと娘さんがうちの息子と年が近いためママ友にもなっている。
魔王が倒されたのにまだここに居る理由は、地球に帰る手段がなくなったから。
召喚された時に使用された魔法陣は返還の際にも使えるはずのモノだったが、何者かに壊され使えなくなったらしい。
巻き込まれただけの一般人には詳しいことは聞くことが出来なかった。
地球にいる両親や友人たちにもう二度と会えないことが出来ないと聞いたときは悲しくて仕方がなかったけど、召喚されて5年立った今だから言えるし、地球にいる両親や友人たちに伝えたい。
幸せにしてもらってます、と。




