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星を追う者たち  作者: 矢口
第六章 海の風、国境の炎
88/222

87:砂漠の砲声

『准尉! 動かないで下さい!』

 桜田の声が無線機に響いた。

 問題の物体まで残り百メートル程だが、相変わらず砂は細かく足が取られ易い。

 これだけ粒子の細かい土ならば水さえあれば良い農地になるだろうが、今は其の土の質が恨めしい。

 くるぶしまで軽く足がめり込む砂地を調査隊三名はノロノロと進んでいたのだ。


 其処にいきなり、桜田の声である。

 もしや、と誰もが考えた予想は見事に当たった。

『奴が動き始めました!』

 桜田の声に石岡がもう一発撃ち込むかと提案したが、少し遅かったようだ。

 

 砂地が爆発した。


 いや、サンドワームが砂を払って地表に姿を現したのだ。

 大きさは高層ビル程もあり、まるで巨大なウツボである。 


 顔の半分以上は口で占められ、ノコギリのような歯が円形に並ぶ様は、トンネル掘削用の『シールドドリル』を思い起こさせる。

 だが、土色の鱗を纏った表皮には漆黒の斑点のまだらが凶暴性を際だたせており、トンネル開通の希望を(うかが)わせるシールドマシンのような爽やかさなどは微塵も感じられない。


 地表に現れた今、グレネードを撃ち込んでも先程の様な効果は得られないだろう。

 下手をすれば、怒り狂わせてより凶暴化させるだけである。

 装甲貫通弾や焼夷鉄鋼弾を使って頭を吹き飛ばす事も考えるが、先程聴いた桐野の腕ではそれも難しい。

 石岡にOSVは扱えるかと訊くが、返事は「旧東側の装備は操作すらおぼつかない」であった。

 

 取り敢えず、今は静かに様子を見る事しかできない。

 サンドワームはかなりの大型だ。 砂上に現れた高さだけでも四十メートルを越える。

 幅はレーザー測定でやはり十四,五メートル。

 (これ)が過去に現れた中で最大級のものと思われる。

 体高百メートルは無いにせよ、充分に巨体と言えた。 

 人間なら二十~三十人ぐらいは一飲みであろう。


 迂闊に動けない。


 ワームは頭の上下左右を円形に囲むような数カ所の穴から血を吹き出している。

 あれが全て耳なのであろうが、先程のスタングレネードはワームの聴覚を全て奪い取ってしまったようだ。


 だが、どの様にかして敵を探している事が伺える。

 頭をゆっくりとだがぐるりと動かすと、まずは丘の方を向いた。

 やはり目はなく、巨大な口の上に開いている一つの穴からも激しく血を吹き出している。

 地中の生物である以上は皮膚呼吸を行って居るはずだ。

 ならば、あれも聴覚器官かも知れないとも思う。


 その中央の穴を緩やかに振るわせているが、問題はその両横に並ぶ左右四つずつの窪みである。

 おそらくはピットだと考えられた。

 生物の熱を捉え、獲物との距離を測る自然界の赤外線センサーである。


 まずは石岡達が捕らえられた様だ。

 だが、直ぐさま其方への興味を失ったように砂上に頭を向ける。

 巧達に照準を合わせている。

「こっちが狙いですか」

 岡崎がそう言うと、四八式のセーフティを外した。

 カチッ、と云う小さな音。


 対しての山崎は、ゆっくりと片膝立ての姿勢に入っていく。

「引きつけますので、散開のポイントにして下さい」

 自殺と同義語の台詞である。 

 馬鹿な事を言うなと巧は言いたかったが、声は出さずに腕を捕まえて彼を立たせただけであった。

 仮に『それ』をやるなら自分の仕事である。 

 何よりそれほど追い詰められてもいない。


「別段、追い込まれちゃあいないよ。安心しろ」

 巧の一言で、二人とも落ち着きを取り戻した。

 対戦車ミサイル(ATM)二器は未だ使用しておらず、火力に余裕がある事に思い至ったのだ。


 そのATMだが、普通の指揮官なら此処でさっさと発射してしまうだろう。

 だが、どう動くか見極めてからでも遅くはない、と巧は思う。


 何より、あの巨体(デカブツ)が動き回っているお陰で桜田の集音マイクが使い物にならない。

 仲間を呼び込まれている可能性が有るなら其れに対抗しなくてはならないし、そうでなくともATMを使用した場合、次の安全策をどう取るかも考える必要があるのだ。

 総合火力の小さな分隊の苦しいところである。


 考えていると、サンドワームはいきなり頭を下に向けて砂に潜り始めた。

 三隊員の方向に向かうなら、どちらに向かうにせよ『スタン』をもう一発撃ち込むように石岡に指示を入れる。

 “了解”の復唱が聞こえてきたが、桜田の報告ではワームはそのまま北に向かって進んでいるという。

 随分と血を流していた様に思えたが、あの巨軀(きょく)からすれば大した出血では無かったのであろう。

 体力はまだ残っている様子であり、“かなりの速度で遠ざかっていく”との桜田からの報告に、一時は隊員全員の腰が抜けたようになった。




 取り敢えずの危機を脱した三人は再び砂に足を取られながらようやっとで『それ』に辿り着ついた。


 だが、物体を確認した山崎、岡崎は共に首を(かし)げる。


「あの~、准尉、これって?」

 山崎の言葉に巧は頷く。

「パラシュート、ではないですよね?」

 岡崎のその言葉にも、やはり巧は頷いた。


 此処まで来て良かった。そう思う。

 実際、先に岡崎が言った通り、手遅れになる前に全てが繋がったのだ。

 あの石の正体に確信はない。

 だが、巧の考えに間違いはないであろう。


「これ、気球ですよね?」

「これで国境を越えようって訳ですか?」

 二人ともあきれ顔だ。

 確かに、シナンガルの秘密兵器が気球では、それは気も抜けるという物だろう。

 この様なもの、幾つ飛ばしたところでAH-2Sスーパーコブラの良い餌である。


 ……普通に考えれば、の話なのだが。


「円盤型か円筒形の金属部品があるはずだ。蛇腹(じゃばら)の付いた奴の可能性が高い。

 探してくれ」

 部下に向ける巧の言葉に迷いはない。

 二人は不思議に思ったものの、気球の布をめくり上げては、()れらしきモノを探していく。

 そのうち、巧がナイフを取り出すと気球の布地を切り取り始めた。


 二人とも不思議に思ったのだが、巧に『部品』の捜索を促されて、慌てて作業に戻る。

 暫くすると、山崎が声を上げた。

「あっ! これですかね? 准尉!」

 そう言って山崎が巧に見せた物は中央が蛇腹になっている『円盤』であった。


「うん。それだ!」

 巧は満足そうに頷く。


「准尉は(これ)が何なのか分かっていたようですが、これ何なんですか?」

「無線を切れ!」

 岡崎の問いに”無線を切れば答える”と巧は言う。

 ルースに聴かれるのを恐れたのだ。

 来る時のように、簡単に秘密をばらすような事してはいけない。

 彼は良い男ではある。

 だが、互いに国家を背負っている部分で『なれ合い』は許されない。

 今更だが、その事を肝に銘じなくてはならなかったのだ。


 (いず)れは彼にも話す日が来るかも知れない、だが其れは少なくとも今日、明日の話ではないのだ。


 巧の話を聞いた二人は、真っ青になる。

「幾つぐらい、使われると思いますか?」

「三千、は下らないだろうね。この通り材質もしっかりしている」

 そう言って先に切り取った気球の素材を振って見せると、2人とも頷く。


「しかし、准尉の話なら『侵攻』そのものには使えませんよね?」


「何と組み合わせるか、どのタイミングで組み合わせるか、其処が問題だな」


 山崎の質問に答える巧は既にその方向に思考の舵を切り始めているのが分かる。

 ここに来て部下二人も今更にだが、我が上司が何故『参謀長』なのかを人に誇りたい気持ちになったが、それを見透かすかの様に巧は二人に短く命令を下した。


「分かっているとは思うが、秘匿(ひとく)事項だ! 以後、これを『F』と名称する」 

 巧の真剣な表情に二人は邪心を捨て、真剣な眼差しで再度頷いた。




 街道を振り向いた三名が無線を(つな)ごうとした、その時、ATMが発射された。

 巧達の頭上を通り過ぎ、砂漠の丘を越えて遙か彼方に姿を消す。

 石岡が発射したのだ。


「どうした!」

 巧の問い掛けに桜田が凄まじい剣幕で怒鳴ってくる。

『どうした?じゃありませんよ! そっちこそ無線を切ってどうしたんですか?

 さっき、奴が動き始めました。

 連絡が取れなかったので、先任権限で勝手に撃たせて貰いましたよ!』

 

「さっきの奴か?」

『多分そうです。北に向かったと見せかけてUターンしてきたんでしょうね。

 しかも、全体を砂上に出しています。 

 先程の様にグレネードは効きません。

 それに仮に効果があるにしても、准尉、今三人が()られる地点がランチャーの最大射程なんですよ!』


 桜田の言葉は、最大級の危機が迫っている事を示していた。

「ATMは?」

 石岡から返事が入った。

『あいつは熱が殆ど無いんです。視認誘導したんですが避けられました』


 現在国防軍で使われるATMはパッシブ誘導の『打ちっ放し』という奴であり、一旦ロックしてしまえば、後はミサイルが勝手に標的を追ってくれるものだ。

 だが、基本的に其れは相手の熱や画像を認識して行われる。


 ワームは今回出会ったばかりで画像データもなければ、熱も殆ど持っていない相手であったため、ロックオン後に射手の目で目標を追い続ける行為に合わせてミサイルも動きを変える方式、即ち『照準手誘導』を石岡は行った。


 しかし、此処(ここ)は広大な砂漠である。

 距離がありすぎると目標物と比較するものがないために、距離感が掴めないのだ。

 距離をミサイル本体に測定させると、今度は目標の熱を見失う。

 結果として一発目のATMは外れてしまった。


 桜田が音から距離を予測して連携(れんけい)したのだが、あと僅かという処で()けられた様だ。


 砂地で足を取られる中、遅々として三人は前に進まない。

 先程の砂中の速度には及ばないが、奴は後二十分程で三人に追いつくという。

 いや、相手の体格分の長さを入れるなら、十五分程であろう。

 更には街道まで首を伸ばして来る事も可能と考えた方が良い。

 三人は街道までの丘を登り、更にその上まで逃げなくてはならない。

 

 振り向くと三人の目に、鎌首を持ち上げた蛇のようなサンドワームが迫った。

 丘に向かって未だ五十メートルも走れていない。  

 街道まで残り三百八十メートルである。



 もう一発のATMがサンドワームの胴体に直撃する。

 凄まじい轟音と共に、サンドワームは半分に千切れて吹き飛んだ。


 が、やはり巧が恐れた以上に虫型魔獣の生命力は凄まじいものがあった。

 千切れた上部のみが身をよじらせ、再び巧達に迫ってきたのである。

 上体は後方に吹き飛ばされたため、一旦は三人との距離も出来たが体勢を整えると怒り狂ったかのように速度を上げて来る。


 四八式を振り向き(ざま)に乱射するが、相手は胴回りが四十メートル近くあり、全く効いているとは思えない。

 いや、皮膚は破け、肉片は飛び散っている。

 しかし、その突進は止まらない。

 先程、遠目に見たノコギリ状の円形の歯を持った口腔は、今や背中に届く勢いで、それ以外の背景を全て覆い隠し、視界には黒い穴だけが広がって三人に迫る。


 石岡はランチャーを使おうとしたのだが、ワームと三人との距離は今や三十メートルを切っており、とても正確に飛ばす自身はなかった。

 装甲車を相手にする形成弾の爆発に巻き込まれたなら、三人とも一巻の終わりである。


「昴、撃ちなさい!」

 桐野に叫びながら、桜田は側面に周り込むように砂漠と丘裾(おかすそ)との(さかい)を東に走り、三人を避けてサンドワームへの射線を得た。

 ありったけの弾を叩き付けるが、ワームの胴長は未だ五十メートル以上残っている。

 ()っていても砂地に現れた胴高は十二メートル以上あり、とても小銃で片が付くものでは無い。

 後は、OSV106の『装甲貫通弾』のみが頼りだ。

 あれなら三人の安全は確保してワームの頭だけを吹き飛ばせる。


「昴、何してるの! 撃ちなさい!」

 桜田の再度の叫び声! 


 だが、桐野は応えられなかった。

 体の半分が千切れ跳んでも更に暴れ回る魔獣に恐怖し、固まってしまったのだ。

 何より相手は彼女の射撃能力の射程外なのである。


 体の機能を大きく失ったワームの進む速度と三人の進む速度はほぼ同じになった。

 つまり、三人が一瞬でも足を止めればその時は終わりだ。


「ルースさん。桜田を引っ張り上げてくれ!」

 巧が叫ぶ。

『駄目よ! ルースさん! 引き上げちゃあ駄目!』

 桜田も叫び返す。

 しかし、ルースは巧の言葉を優先した。


 一気に丘の上に引き上げられた桜田は繊維服のお陰で無傷であり、直ぐさま起き上がるとルースの前に走っていく。

 ルースも彼女の気持ちを分かっていたようだ。


 黙ってヘルメットを脱ぐと、その頬に桜田の平手が飛ぶ。


 そこから桜田は、振り向きもせずに桐野に駆け寄ると彼女のOSVを奪い取った。



     ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇



 桐野は中学、高校と虐められて育った。


 自分を上手に表現できず、(たま)に上手く言ったかと思えばオーバー過ぎる話しぶりで相手から気味悪がられた。


 家庭内が冷え込み、両親との会話が殆ど無かった事が原因だろう。

 虐待こそ受けなかったし、食事も服も小遣いもきちんと与えられた。


 だが、会話だけは無かった。

 何故、両親が離婚しなかったのかは分からない。

 世間体からだろうか?


 高校を卒業すると彼女は何処にも存在しない自分の居場所を探して軍に入った。

 強くなりたかった。


 何故かは分からないが、とにかく強くなりたかった。


『銃』が好きになった。自分に力を与えてくれる気がした。


 彼女の射撃の腕は決して悪くない。

 七,六二ミリ弾を使用しているM40等のロングレンジライフルなら千百メートルまでは必中であり、千五百メートル迄の命中率も初弾で八七パーセントを誇った。

 誰もが彼女に一目置いた。

 『過激派』という愛称も、オーバーアクションな喋り方を気味悪がられずに笑顔と共に受け入れられた結果の渾名(あだな)であった。


 気に入っていた。


 しかし、彼女は更に強い銃を求めた。

 それが『OSV106』

 だが、この銃を扱う事は、学生時代にオーバーアクションな喋り方をして気味悪がられたのと同じ結果しか生まなかった。


 巧の推測通り、あまりの反動を持て余していたのである。


 この銃は危険すぎる。

 白人男性、其れも骨格のしっかりしたロシア人向けに設計された銃である。

 真面(まとも)に撃って小柄な彼女が反動を体で受け止め続ければ、いずれは首や背中の骨に異常が出て一生苦しみ続ける事になるであろうことは最初に此の銃を撃った其の日から分かっていたのだ。

 

 それでもこの銃を手放せなかった。

 虐めに負けた自分に戻る気がしたのだ。


 怖かった。 



     ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇



 一旦は奪われたOSVであったが、銃床(ストック)が折りたたまれており桜田ではロックも外せない。

 彼女はそれでもあがき続ける。


 その姿を見ていた桐野は黙って桜田からOSVを取り戻すとストックを伸ばし、ニーリングと呼ばれる膝立うちの姿勢に入った。

 ストラップを左腕に掛けて三点で銃を固定する。


 肩に当たるストックからの銃と呼ぶには馬鹿げた反動が彼女を半身不随に悩ませる事になるかも知れない。

 逃げることと同じ程に其れが恐ろしくて、何時も反動を逃がす『ずれた』打ち方をしていた。


「先任……」

「何、早く! お願い!」

「大丈夫、まだ時間はあります。お礼言わせて下さいね。

 自分の身の(たけ)に合った事をまずは一生懸命やらなくっちゃいけないって事、教えて貰いました」

 妙に落ち着いた口調で喋る桐野に桜田は引き込まれる。


「体、動かなくなっても……。慧ちゃん、あたしの事相手にしてくれるかな?」

「危険な、銃、なのね……」

 桐野は黙って頷く。

「そうか! でも大丈夫! あいつが駄目でも、あたしが居るから!」

 桜田のその言葉はピントがズレ過ぎていた。


 こんな所に『同類』が居た、と思うと何故か可笑しい。

 

 それから少しの笑みと共に桐野はトリガーにゆっくりと指をかける。

 自分の呼吸音が今までになくはっきりと聞こえたが、それも一瞬の事で彼女の周りの全ての音が消えてゆく。


 直後、マガジンに装填された装甲貫通弾五発の銃声は、砲撃音の如く連続して響き渡った。



      ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇



「とんでもない……、化け物、だったな……」

 街道まで這い上がった巧達は、完全に息が上がっていた。

 斜面の下の砂漠のふち。そこから二百メートル前後の地点に頭だった部分と胴体の半分を完全に無くしたサンドワームが転がっている。

 長さはそれでも四十メートルは在るだろう。


 桐野は丘の上から見て三百メートル以上の距離となる一点集弾射撃を見事に成功させていた。



「あれに食われてたら成仏仕切れませんでしたよ……」

「俺、最後は二人を犠牲にしてでも逃げ切るつもりでしたよ」

 山崎の台詞は兎も角、最後の岡崎の台詞に全員がギョッっとなった。


 仲間を見捨てる、(など)と言う冗談は、軍では大勢の人間が居る前ではそうそう使う奴は居ない。

 此の様な時なら、尚更である。


 巧としては当然その真意を確かめたくなる。

 尋ねた処、岡崎はその垂れ目に似合わず、ニヤリと笑って、

「だってね。目の前で彼女が泣いてるんですよ! 

 どうあっても生き延びなくちゃあならんでしょ?」


 そう言って実際に泣いていた桐野の頭を引き寄せると軽く抱いた。


「お前等、熱いから別の馬車に隔離するわ!」

「ですな!」

「ほんとよねぇ」

「賛成です」

「もうスーツ脱いで良いか。ホント、熱いんだよ」


 ルースの締めで皆が笑った。



 取り敢えずは生き延びた。しかし、本番は此処からだ。

 巧は帰路を急がなくてはならない。

 砂糖、鉱石、芋、全て繋がった。

 だがあとひとつ、場合によってはラキオシアとの戦争にすら成りかねないものを手に入れてしまったのだ。


 オベルンを()め上げるか、引っかけるかする必要がある。




サブタイトルは、デューン『砂漠の惑星』からです。

映画では「砂の惑星」というタイトルだったかな?


さて今回はOSV106という架空の銃が使われますが、現実に存在するOSV96という銃の進化版という設定です。

能力は、現実のOSV96と何ら変わりませんので、その威力が分かる資料を貼り付けておきます。

まず下の図1をご覧下さい。

【図1】

挿絵(By みてみん)


まず10が単3乾電池程度と思って下さい(長さは少し長いです)

 4が正式拳銃の9mm弾です。(32年式拳銃と表記する事が多いです)

11がコルトパイソン357マグナム弾。 3m、500kg前後の熊を相手に出来ます。

(1トンの牛を倒した記録もあります)

12がAK-47の7.62mm弾

13がNATO基準の5.56mm弾です。

薬莢の大きさから12と13の火薬量には相当の差があることが分かって頂けるかと思います。

(弾頭の重さも加わって当然、打撃破壊力が違ってきます)

ハインミュラー氏の使うKar98kの弾は7.96mmですので12よりやや大きめですね。

14は同じ7.62m弾ですがM-40等のロングレンジライフル用です。

火薬量も弾頭の重さも違いますので1.5kmぐらいは有効射程(一撃で殺せる距離)です。


さて、それでは今度は、図2を見てもらいます。

【図2】

挿絵(By みてみん)


上の左がAKー47の7.62mmより僅かに火薬量が多く、やや太めの弾(正確には薬莢が太い)です。

で一番右端のでかい奴が、12.7mmでM-2機関銃などに使われています。(12,7×99)

よく戦車の上に着いているあの機関銃です。

岩国がヘルムボアを倒したのも基本的にはこれですが、戦闘機に積んで在っただけあって、あれは弾薬の種類と弾頭の重さがかなり違います。


で、問題のOSV96(OSV106)の弾ですが、この一番右より一回り大きいのです。

正確に言うなら【図1】の12と14ぐらいの差があるんです。


どうでしょうか、OSVの恐ろしさ、分かって頂けましたでしょうか?


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