187:インティペンデンス・エフェクト
スゥエンに真の反意有り!
この報告は新首都ロンシャンを揺るがせた。
国境近くに現れた鳥使い達は、やはり新首都を刺激してしまったのである。
新首都ロンシャンのシナンガル議員達の間でもフェリシア侵攻は失政、いや政治的冒険に過ぎないのでは無いか、と疑義が出始めていた。
そこに来て新たな食糧生産地の喪失にも繋がりかねない此の言葉は衝撃的ですらあったのだ。
もしも一地方が本当に独立した場合、その反乱が他に広がらないという保障があるだろうか。
この国では中央による地方からの冨の収奪は大きい。
各議員達ですら互いに、
『自分の管理地から中央に税として上納される産物は、他議員の土地に比べて多めに見積もられているのではないか?』
と疑心暗鬼に陥るほどである。
その様な中、議会に続々と届く各地方での魔獣に対する苦戦の報告はスゥエン侵攻を思い留まらせるかに思えたのだが、戦場と兵士を知らぬ議員階級の多くは、これらの報告を軽んじる。
何より主席直下の『軍師』なる存在から、兵力補強の確約が取れた事は大きかった。
結果、スゥエンに対する懲罰派兵は決定したのである。
但し、ベルナールが第三次シエネ侵攻の為にと再編成を終えた東征軍五十五万は動かせない。
彼等は現在、ルーファンショイに駐留すると同時に周辺警備と共に南方を睨む事となり、一部の部隊などは既に魔獣と交戦状態に入っているためだ。
また新首都周辺も状況は似たものであり、地方からの報告を軽んじる姿勢に矛盾して自分たちの安全を優先する議員達の意識から、首都周辺での魔獣討伐へも多大な兵力を裂かざるを得ない。
いかに巨大なシナンガル軍と云えども国内警備を含めて一度に動員できる兵数は二百万を僅かに越える程度が限界である。
北部戦線での撤退敗残兵への補給問題も絡んだ今、その限界は疾うに越えていた。
その様な中、スゥエン懲罰軍の総指揮官に選ばれたのは、エーベルト・ベセラ将軍。
純兵力は育成要塞からの増援竜兵を含めて十八万と決定された。
また、これを支える輜重もほぼ同数になるため、総兵力三十三万である。
『軍師』からの援助も含めるならスゥエンの一都市を攻めるには過分とも言えた。
ベセラは中央軍序列第五位に当たるが、此は家柄から来るものであり、第六位でありながらも東征都督に選出されたテレンシオ・ベルナールに比して、“大軍を動かす才能は劣る”と言われている。
だが国内に於ける反乱、しかもシーアンと云う都市の規模から相手は最大三万にも満たないであろう事は確かであり、“問題なし”となったのである。
何より、序列の秩序を守る為の政治的決定とも言えた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「スゥエン反逆に真意あり!」
について頭を痛めているのはシナンガル本国だけでは無かった。
元々この分裂を企画した人物までもが、事態を楽観視していない。
企画した人物。
そう、巧自身だ。
巧がスゥエン独立について大きな読み違いをした事は二つある。
まず、第一に偽装にしても領土をあれ程広大に設定する等とは思わなかった。
国土の狭い島国の人間としてのスケールの小ささを今更ながらに思い知らされる。
洋上の排他的経済水域まで含めれば領域面積世界第九位の国の尉官としては見事失格であろう。
正規の士官教育を受けていない彼の弱点が露わになった事態と言えた。
巧達の国の領土は現在約三十八万平方キロメートル。
世界でも上位に当たる六十一位とは言うが、その七割は山岳地帯である。
国土を背骨のように貫く長い山脈によって水資源には恵まれているが、その分、農耕処か居住可能な土地は狭く、島国であるが故に離島も多い。
人口の首都圏集中も二十年ほど前をピークに、現在は緩やかに下り坂に入りつつあり、人々は中規模都市に分散している。
反面、地方の過疎化は凄まじい。
それだけで国防の妨げになる程に、だ。
カグラのように、一瞬で転移可能な魔法陣という移動システムでもあれば“過疎地”などと云う概念すら地上から消え去るであろうが、地球の科学では未だその様な事は不可能である。
その為、巧は無意識のうちに跳躍魔法陣の存在を計算外にしてしまった。
つまり分断工作当時の人口が二百万を超えないスゥエンが独立を宣言するにせよ、その範囲は平地で百キロ四方程度だろうと考えていたのだ。
巧の予測通りならば、新生スゥエンの国土面積は北部山岳地帯を含めても三十万キロ平方前後。
平地だけなら十~十五万平方キロ程度となる。
それでも国民の数から考えた場合、その後の増加率を計算しても其れで充分な筈であり、国土の七割は水利に恵まれた肥沃な平野部である以上、その八割近くを農地化できる土地として計算できた。
処が驚く無かれ、彼等が主張した領土は山岳地を含めて約百六十万平方キロ。
地球でなら陸地面積順位十七位に当たるイラン共和国並みの広さである。
独立の正当性として奴隷解放を詠った以上、確かに土地が広くて困ることはない。
何より旧スゥエンはそれ以上の面積を誇っていたと云うのだから、異議も付けがたかった。
そして今や、それらの土地には個人所有の農地を求めた平民だけでなく、商人や技術者までもが大量の奴隷と共に移住したこともあって、僅か二年で人口は三千四百万人と爆発的な増加を見せている。
その為、スゥエンの兵士達の半数は地方行政の官僚としての責務に追われており、今や兵役処では無かった。
その結果、輜重兵を除いた常備兵力として数えられるのは六万程度と見るしかない。
そして、もうひとつ。
これは巧に責任が在るとは言い難いが、読みが甘かったと云われれば其れまでの事だ。
敵、つまりシナンガル軍の質的な増強である。
まず、敵の航空兵力である翼飛竜の大型化は補給力としては危険だが、今回に限って、それは無視しても良い。
シーアン周辺は山岳地が少ないため、敵の補給は森林部を隠れ蓑に地上を動くものになるだろう。
また戦闘力にしても翼飛竜など如何に大型化した処で、一度に四十以上も現れない限りは、現在三機保有する攻撃ヘリの敵でない事は北部の戦闘に於いて小西小隊が証明した。
小西の腕を差し引いて計算しても、敵の航空戦闘力としての危険性は数が揃わなければ問題は無い。
だが、数を揃えられた場合やシエネに現れた様な『高位魔獣』が現れるとなると話は大きく変わる。
それだけは実に拙いのだ。
仮にそれをマーシアが押さえる事ができるにせよ、彼女とて一日に動ける能力には限界がある。
八岐大蛇との戦いでは危うく魔力の暴走に飲み込まれかけた。
またラハルとの闘いでは、更に危険な事に彼女は一命を失い掛けた。
これはマリアンが内部に戻った処で甘く考えて良いことではない。
そして何よりの脅威は、あの鉄巨人と鉄兵士である。
あれは歴とした『歩兵』である。
それどころか、数に優る鉄巨人は平地での闘いに於いては大型魔獣以上に危険な存在かも知れない。
実は鉄巨人や鉄兵士のあまりの動きの良さは、“あれらは自律的な兵器である”という先入観を国防軍兵士に植え付けてしまっていた。
最終的に“遠隔操作”という方法に繋げられたのはシエネ城壁の倉庫に投げ込まれていた鉄兵士の残骸を平木准尉が調査し始めた事からだが、この秘密が明らかになるのは今暫く後の話である。
この戦場に於いては巧ですらも、直接の対抗手段は『破壊』のみに向けられていた。
また、“それ”に気づいた後も魔法に対する通信妨害工作にすぐさま入るとは行かなかった。
そのような前例がなかった為、方法が存在しなかったのだ
少なくとも巧の耳に入ったことはない。
ともあれ“戦闘の決着”とは最後の最後は『歩兵』で決まる。
つまる処、歩兵戦闘による勝利と、同じく歩兵による占領地の規律ある統治の成功こそ、最終的な勝敗、時には戦争目的の成否までも決定付ける事は珍しくない。
歩兵こそが『戦場の女王』と呼ばれる所以である。
スゥエンには、その歩兵の数が足りなさ過ぎであり、対してシナンガルには無尽蔵とも言える人的資源がある。
それだけでも劣勢だというのに、戦闘を恐れぬ歩兵など、『危険な存在』処の話では無い。
この様な中でハーケンはルースに、つまりはその代理人である巧に契約の履行を迫った。
要は安全保障に只乗りしよう、と言う訳である。
『こちらも全力を尽くしますが、自国の防衛は最後において自国で責を負うのが筋でしょう。
そちらが全力で闘うからこそ、我らの援護は約束されるのです』
シナンガルの侵攻が近いことを知らされた巧はハーケンにそう返したものの、確かにスゥエンが、いやシーアン市ですら陥落て貰っては困る。
バルコヌス半島と連携して、スゥエンには闘いを引き延ばして貰う。
シナンガル軍の殆どが魔獣対策に追われている今を置いて、バルコヌス決起の時は無いのだ。
ルースの決起に関しては王宮からはフリーハンドを貰った。
だが、いざ実戦となると派遣軍中央司令部では様々な意見がぶつかり合っている。
理由は作戦内容の「長所、短所」の問題ではない。
いずれを選んでも引き際が問題となる為、どの案が最も休戦合意を呼び込む方法に近いのか、という点がまるで見えないのだ。
また、こちらの休戦合意が成ることでルースに全兵力が向けられるのも困る。
「和平」は南北同時に、せめてバルコヌスの実質的な独立が成ってからが望ましい。
とは言え、これは理想論過ぎる考えであり、下手をすれば南北どちらも泥沼である。
出兵し、敵を排除し、帰還する。
それだけならば、別段難しくもないかもしれない。
しかし、それだけでは意味がない。
ルースの反乱に対してシナンガルが全力で対応出来ないように、火種を残した『休戦合意』を取り付けなくてはならないからだ。
戦争は人が思う様になど動いてはくれない。
だが、それでも今回もやらざるを得ない。
『奴隷制度の否定』
これがシナンガル全土に広がる事は、嘗ての“大陸の調停者”であったフェリシア王国としての悲願であり、また何よりはシナンガル内部の上層議員によるフェリシア侵攻に対して最後の正当性を失わせる大儀名分となるのだ。
時間だけが過ぎるに任せる訳には行かない。
情報の収集と分析が始まる。
その中で巧が目を付けた一つに、スゥエンの“ある資源”があった。
だが、その活用をハーケンに納得させる交渉は予想通り困難を極める。
ハーケンに考える時間を与えると共に、彼は一旦、シーアンへ戻る事となり、後は書記スズネことヴェレーネが引き継いだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
八月十八日:十三時二十二分
「爆撃直後に国境を越えて攻め入った、だと!」
戦闘はいきなり開始された、との報告に巧は思わず叫び声を上げた。
今では丘の上からも、地平線に重なるシーアン城壁に火の手が上がるのが見える。
その城壁の真上は一時的にだが飛び交う竜で覆われ、空が陰る程となった。
立ち昇る炎と黒煙、加えて南方に向けて飛び行く複数の竜影のコントラストが、遠目にも不吉さを際だたせる。
「敵の侵攻部隊は途中の村々で物資徴発を行っている筈じゃなかったのか!?」
今まで集まった情報では、新都ロンシャンを出立した軍団は道筋で国の直轄地となっている村々を襲い、軍事物資調達の名目で略奪と暴行を繰り返してシーアンからの返事を待ちながら、未だ三百キロ以上西の集落に留まった侭だという話であった。
この情報からの予定なら、後十日以上の余裕を持って敵兵を待ち受けられた筈だった。
また、条件次第だがカーンによる撤退交渉も有り得たのだ。
処が、いきなり現れた小型竜、約五十頭は空中哨戒中であった一機のAHを数の力で突破すると、シーアン上空で黒色火薬と魚油を詰め込んだ壺をばらまき、二キロ四方の市内数カ所を炎上させた。
その後は迫るAHを躱す様に分散した為、彼等が城壁に取り付くまでの大きな被害は無かったものの、消火活動と更なる警戒のために身動きが取れなくなったシーアンの城壁守備隊四千を尻目に、西街道北側の森から現れた一万程の侵攻軍は城壁を街道沿いに南へと迂回して、近隣の村々に襲い掛かっていると言うのだ。
また更に森から湧き出る後続の兵は先発した集団に続いて街道を攻め上がっており、最終的には三万を越えるのではないか、との報告である。
しかも、追い打ちを掛けるかのように南方国境を超えて別の飛行物体が大凡、百。
判り切った事だが大型竜であろう。
今では残り三十分ほどの距離に迫っていると無線兵が叫ぶ。
城塞南方の集落で城内に逃げ込めた者は殆どいなかった様だ。
恐らくは“皆殺し”であろう。
航空兵力と陸上部隊の連携による完全な奇襲、即ち『電撃戦』である。
大型竜の遅れを見るに完全な連携には失敗したのだろうが、仮に成功されていたなら、為す術もなくシーアンは陥落した事は間違い無い。
巧の背筋が一瞬だが凍った。
「見事に騙された様です」
シーアンでの副官代行である辻村曹長が苦々しげに報告して来る。
敵の本隊はどうしたものか、街道を使わずに城壁から二キロ地点の森の中から現れたと言う。
また爆撃を行った竜も、そこからほど近い南部方面の森林から飛び立ったと言うのだ。
「魔法陣だね」
声の主はマーシアである。
「あれだけの数を一度に、か!?」
驚く巧だが、マーシアは首を横に振る。
「多分だけど、かなり前から少しずつ送り込んできていたんだよ。
今更だけど、駅伝式魔法陣の設置をスゥエン独立宣言の直後から始めていたとしても驚かないな」
そう言って彼女は肩を竦めた。
その言葉に巧は自分の迂闊さを呪う。
だが、それにも追い打ちを掛けるようにマーシアの分析は続いていく。
「この辺りの森は樹木が酷く密集してる。
大軍でもキャンプを分散すれば、少しぐらいの煮炊きの煙は誤魔化せるだろうね。
それに、硬く焼き固めたパンって結構日持ちするんだよ。二十日ぐらいは持つかな。
後は乾し肉でもあれば、この気温だ。夜間に火が無くとも四~五日は問題無い」
そう言った彼女自身も遂には“ヘマをした”とばかりに息を吐くが、視線は既に巧の命令を待つものだ。
いや声に出して、はっきりと要求してきた。
「人は駄目でも竜なら良いんでしょ?」
「その竜にも人間は乗ってるんだがな、」
マーシアを闘わせたくない巧としては思わず嘆息するが、最早そうも言ってはいられない事態だ。
シエネからの増援百二十五名と共にスゥエン残留組三十六名が到着するまで、最短でも後一日は掛かる。
急いで貰うように要請は行うが、現在の処では兵士三十二名+クリール一体、オスプレイ一機、AH三機で何とかするしかない。
シーアンの城壁東側には幅四十メートル程の川が流れているが、敵は今日中には城壁から北側の川筋を押さえるつもりだろう。
そこからシーアンに向けて掘られた地下水道を探り当て、城内への水の供給を絶つ事が最も手早い攻略方法だからだ。
攻め上がる際に城塞北側へ廻らなかったのは重要施設がある分、防壁もしっかりしており、警備も厳しいためであろう。
だが、南から迂回して数で押せば、シーアンの守備兵相手なら突破は難しくはない。
更に問題が有る。
城門や地下水道を守り切る為に、当然だが兵士達はその場を動けない。
処が、川を渡って街道を東に数百メートルも進めば、人口五十名ほどの小さな集落がある。
魔獣の居る恐れがある北の森林や平原の多い南方には逃げられぬ以上、住民は街道沿いに東を目指すだろうが、迂回して川越を行っている部隊は全員が騎馬だと言う。
二時間の内には、これまた皆殺しは確実だ。
オスプレイが戻った事もあって、チヌークを補給の為にスゥエンに戻したのが悔やまれる。
あの機体も残していたなら、オスプレイと併せて一度に村民全員の後方輸送が可能だっただろうに。
巧は少し考えて副官の辻村に尋ねる。
「なあ、曹長。三万全てが戦闘員かな?
今までの例だと、三分の一か多ければ半数は輜重隊だったが?」
「一号ヘリからの報告ですと、荷駄は見当たりません。
殆ど全員が背嚢を背負っているそうです。
あと、騎兵以外の六割程度は槍を装備している、と」
辻村の報告に巧は思わず天を仰ぐ。
「先発隊と割り切った部隊か。厄介だな」
その言葉に、いつもの様に巧の側に居たクリールが同意して二度頷いたのが辻村の視界に入り、彼は笑いを堪えるのに苦労する。
だが続いてマーシアが問い掛けてきた事で、ようやく表情を引き締め直した。
「魔法兵はどれくらい居るか、分かるか?」
実はこの場ではマーシアが最も官位が高い少佐待遇であるため、側面的にではあるが作戦に口を出す権限を持つ。
また辻村自身がシエネでの闘い以来、マーシアに敬意を払っている事もあって直立不動で答えた。
「フードで判断するなら、今の段階では三千名程では無いかとの事です」
それから、『偵察中では有るが機体の武装は万全である。掃射を命じるか?』とふたりに問うて来たが、巧は首を横に振って辻村の案を却下する。
地上に気を取られて小型竜に包囲されては厄介だ。
また近付きつつある大型竜の数も多すぎる。
こうなった以上は全機発進させて、フォーメーションを組みながら守りに徹するしかない。
そうやって竜の滞空時間が切れるのを待つしか無いだろう。
十や二十なら兎も角、真逆という程の数である。
オスプレイを含めても僅か四機では後を取られかねない。
誰もが小西ほどの腕を持つ訳ではないのだ。
「ともかく急ごう。航空戦闘は石垣曹長に任せる。
陸戦隊は東の城門前で防衛線を張るぞ。
それと新田原曹長。
二十一名の降下終了と同時にオスプレイに誘導員を三名付けるから村へ廻してくれ、村民を少しでも遠くに避難させたい。
上空援護は攻撃隊の三機があれば充分だ!
それに、言っちゃあ悪いが確実に乱戦になる。
その中でAH隊に貴官の機体援護までは命じられんよ」
その言葉に輸送機長の新田原はやや戸惑いを見せる。
「どうした?」
そう問い掛けた巧だが、直ぐさま“あっ!”と声を上げた。
どうも焦っていたようだ。
「糞ッ、そうだな。この世界の農民がこんな鳥の化け物みたいな物をいきなり間近で見て、素直に乗り込むとも思えん、か……」
こめかみを押さえた巧に新田原がピントのずれた抗議をする。
「少尉! “化け物”とは酷い!
せめて、こう、もう少し格好良く“鳥の魔獣のような”とか言って下さい」
自分たちの操る機体に誇りを持つのは良いのだが、今はそんな話では無い。
巧としてはますます頭痛を感じざるを得ないが、この期に及んで全く緊張していない新田原はある意味で大物と言える。
日頃から空では彼に命を預けているのだが、今更の剛胆さに参る巧である。
だが、その脱力が良かったのだろうか。
ふと、ひとつの閃きが生まれ、ごく自然にマーシアを手招いた。
まずは、前回から激しく間が空いたことをお詫びします。
送れた理由について詳しくは、いずれ活動報告で書くこともあるかと思いますがまずは続きを投稿出来た事でご勘弁下さい。
サブタイトルはSF映画の名作「バタフライ・エフェクト」からですが、別に時間遡航には何の関連もありません。
巧が過去に策を弄した結果、現状で苦労している事に繋がりがあると言えば言えるでしょうか?
ともかく、ブックマークを切る事もなくお待ち下さった皆様に感謝致します。




