雨の日
この小説は完全に空いた時間などに暇潰しとして更新しています。
なので、不定期です。申し訳ありません。
――――夢を見た。
それはどれだけ願っても手には入らなかった。
いつしか願うことをやめていた。
今では何を求め、願っていたのかすらわからない。
ただ、ただ、何も叶わなかったことだけは、はっきり覚えていた。
灰色の空は、天の滴を落とす準備をしているかのようにどんよりと濁っていた。
しばらくすると、ポツポツと雨が降ってきた。
顔の右側に雨が当たるたび、ジクジクしたもどかしい痛みが走る。
先程、松明で殴られたせいで火傷をしているということが改めて分かる。
――――――疲れたな……
ふと、何の拍子もなく口にしてしまうのはただ動くだけの人形ではないと自分に言い聞かせるためかもしれない。
灰色の空は、今も濁っており、その隙間から滴を落とす。
いつしかやめた願い事は、雨が止みますように、だったかもしれない。
――――――…………
カコーン、カコーン、タイミングよくツルハシが石を叩く音がする。
あまりの一定のリズムの良さに、もはやこれを人間がやっているとは思えない。
そう、一定のリズムで無心に、本当に無心なのかも知れない。
ひたすら振り続ける彼は、いったいいつからここにいるのだろう。
薄暗い洞窟の中、見えるのは彼の服がお世辞にも服とは言い難い、ただの汚れた布切れになっていること、それと酷い臭いだ。
ここには、そんな人間がたくさんいる。
僕もまた、その一人。