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その5

イエティの屋台は、全て氷で出来ていた。おそらく、氷系の魔法を使っているみたいで、気温は高いのに一切溶ける事はない。


「すいませーん。レモンアイス2つとバニラとチョコ1つずつ下さい!」フィーダが元気に注文する。


「レモンアイス2つとバニラとチョコ1つずつね。」

重低音な声と共に、店の奥から真っ白な毛で覆われた人型のモフモフした巨体が現れた。


私達は一瞬固まった。

なにこれ!イエティ(雪男)って本当にいるんだ…


推定、3メートルもある人間には、生まれてこの方出会った事がない我々は度肝を抜かれた。


「今日は、暑いからアイスクリームはきっとおいしいよ。ん!?匂いが似た匂いだから君達は兄妹だね。仲良くお食べよ。」


ガタイの割に非常に優しいイエティのおじさんは、コーン型の氷ににアイスをたっぷり入れてくれた。


「氷のコーンは、手で触っても溶けないし、触ってもちょうどいい冷たさにしているから冷たくて持てなくなる事はないよ。味もソーダ味にしているから食べても美味しいよ!」


そういって、一人一人に手渡してくれた。


レモン味のアイスは、一口食べると冷たさとレモンのすっぱさと程よい甘さで思わず


「おいしーい」と叫んでしまう程、超絶においしい!


私達は、アイスを食べながら屋台を見て回る事にした。

「レモン味のアイス超うまい!ライン、バニラ味一口、俺にちょうだい!」


「いいよ」


「こら、フィーダ!お前の一口は大きいぞ!」


「いいのよ。クラス兄様、ラルー姉様も食べてみて。おいしいから」


「じゃあライン私のレモン味も食べてみて。スッゴくおいしいよ!クラスもどうぞ!でもチョコ味も一口くれる?」


「んん!バニラうま!クラス俺もチョコ味を一口ちょうだい!」


「フィーダ私が先だから!」


「ラルー、フィーダ喧嘩しない!ラルーが先でフィーダは後だよ!」


貧乏暮らしが長かったので、回し食いが身についている私達…

でも、これも楽しいんだよね。

和気あいあいとアイスを回し食いしていると声が聞こえた。


「うわぁ何あれ?」

「貧乏くさい…。有り得ないな。気持ち悪い」


前方からの声に気がつきアイスから顔を上げると、そこには顔立ちが似ている男の子と女の子のエルフの子供が立っていた。おそらく兄妹だろう。

二人ともプラチナブロンドに緑の目をして年齢的に私達と同じくらいだ。


嫌な感じ!身なりがいいから、おそらく貴族だろう。金持ちって嫌な奴が多いわ。

人間の町にいた時もそうだった。しかし、ここで金持ち相手に喧嘩をするのは、得策ではない。ひとまず、聞こえない振りをするのが絶対にベター。


気づかない振りをして通り過ぎようとすると


「あいつら、半分人間の匂いがするから、きっとハーフエルフだよ。しかもあの女の髪見てみろよ。赤毛だぜ!気持ちわる!血みたいだ」


き、貴様ら、一番コンプレックスな髪の色を非難したか…。しかも気持ち悪いと!

しかーし、ここは、が、我慢…。


「私、赤毛って初めて見るわ。本当に赤いのね。女の子なのにかわいそー(笑)」


堪忍袋の尾が切れた。


「私の髪の色が何か貴方達に迷惑かけた?」


ニッコリ笑いながらバカ兄妹に近づく。


すると兄貴と思われる方が私を睨みつけ「ハーフエルフの分際で俺達に話し掛けるな!」


ほざけ、バカ男。言うに事欠いて、話し掛けるなだと?!

怒鳴りつけようとして口を開いた瞬間にニッコリ笑ったフィーダが割って入ってきた。


「なぁ、お前らがどのくらい偉いんだよ?人を髪や目の色や種族で判断するしか脳がないアホな奴らに俺の大切な姉貴の事を臭い口で批判しないでくれるかな?」


するとクラスは、更にフィーダとバカ兄貴の間に割って入ってきた。


「赤は、綺麗な色なのに君達の目には血の色に見えるなんて、君達は、親から虐待されてるんだね。かわいそうに。

しかも、エルフの狭い世界しか知らないのに人間を蔑みハーフエルフを蔑む事で必死に自分の地位を確立しようとあがいているなんて…。かわいそうの一言につきるよ。

これから先も蔑みながらの人生をまっとうしなければきっと生きてるって自覚が持てないんだね。なんて…、なんて、かわいそうな人達なんだろう。」


クラス。毒舌過ぎ…昔からクラスは兄妹達がイジメられると心臓をえぐるような言葉を相手に突き付けていたが、ここに来てもまだその習性が抜けていないようだ。


「兄様、姉様、もう行きましょ。これ以上、次元の低い人達相手にするのは、時間がもったいないわ。

バカは死ななきゃ治らないってこの前先生から教えて貰ったの。だから、この人達に費やしている私達の時間が刻一刻と過ぎるのが本当にもったいないわ。」


笑顔でラインが私達を促す。ライーン…。あんたまでも…。


いずれにせよ我々は怒ると母様に似て笑顔でキレる。

血は、争えない。


我々兄妹の笑顔毒舌攻撃にビビったエルフ兄妹は、コソコソと人込みの中へ消えて行った。


ビバ兄妹プレー!

まぁ、悲しいかな私達兄妹は、(カルはまだ片言しか話せないので別ですが…)母様に似ている部分があるんです。


血の気が多いのは、きっと遺伝です。

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