その37
=1週間後=
やっと監禁看護生活も終わり、晴れて、通常の生活に戻ることが許され、一人部屋でシャバの空気(?)を思いっ切り吸い込む
スゥゥゥ---ぷっはぁぁぁーー
んん!良いねー。誰にも監視されずにする深呼吸は、なんとも格別ですなぁ!
だって、この平穏無事に一人っきりで自分の部屋で過ごせるレベルになるまでの、あの辛い監視生活なんて軽く何かの修行かと思うほどの長い一週間だったの……
クラスの監視…もといクラスに看病をしてもらった次の日に、たまたまくしゃみをしただけで「ラルー!風邪かぁぁ!?まず体温めろ!」と叫びながらフィーダに布団を軽く20枚くらい掛けられ、重さで身動きが取れず、圧死されかけ、そのまま監視生活が延長された…。
更に、私に栄養をつけさせるために、クラスの素敵な包丁さばきで、色んな動物の形をしたフルーツのサファリパーク盛りが作成され、有無を言わさない笑顔で毎日、全て平らげさせられた…。(使った林檎の数10個、オレンジの数5個、葡萄6房、スイカ1個などなど…)
いかん、いかん、思い出すと、なぜだか、涙で視界が歪むわ。
すごく優しい家族だとは思うけど、優しさの方向性が一般的な家庭の斜め上をいっている気がする…。
゛トントン゛
「ラルー!ベイルだけど入っていい?」
辛い思い出に浸っていたところに控えめなノックとドアの外からベイルの低い穏やかな声が聞こえた。
え?マジっすか?
思いがけない人の訪問で涙が吹っ飛び、逆に焦りの生暖かい汗がダラダラと吹き出す
「えーと… 。
………………。
………………………。
………………………ど、どーぞー」
気まずさと、嬉しさがごちゃ混ぜになって、頭がフル回転するのに、うまく言葉が出ない中、何とか返事を返した