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31/39

その31

約小1時間程で無事目的地のリキン山脈の麓に着いた。


目指すは、山頂近くにある崖に生えているオペーク草だ!


「絨毯!行くわよ」そう言って絨毯を上まで飛ばすが山から吹き降りる風が強くて絨毯がぐらつく。


「絨毯、頑張って!」


必死で絨毯にしがみつきながら応援をすると絨毯も「ま、まかせて」と言ってくれているようにヨロヨロとだが着実に山頂を目指して飛んでくれた。


しかし目的の崖になんとか着くと、風が四方から吹き荒れ、とうとう絨毯ごと岩肌に叩き付けられた。

幸いにも人が1人ほど、立てられる岩があったため、そこへ擦り傷を作りながらも降り立つことができた。


「ハァハァ・・・。マジ死ぬかと思った。。つか、イッターーーーイ!つーの。はぁー。初心者じゃ、

しょうがないかぁ。絨毯、ありがとね。ここからは自力で登るわ!もし転げ落ちたら、助けてね」


私は、足場を慎重に探しながらに少しずつ崖を上っていった。


=登り初めて三分後=


…つ、辛い…


元々、運動は得意な方だが、人間界に行ってからは、研究に没頭する時間が長く、運動らしい事は何一つしなかったせいで体がなまりになまっていて、直ぐに手足が悲鳴をあげたようにわななく。


なんで普段から基礎体力付けとかなかったんだろう…


って今更嘆いても無駄よね…

とにかくちょっと休憩したいよ。あ、あそこに一人くらい乗れそうな岩が出ているからあそこまで登って一休みしよう。


数㎝先の岩に手をかけ足を体に引き寄せ、足場を探す。調度よさそうな窪みが見つかり、それを足掛かりに思いっきり体を伸ばす


ガリ、ガラガラ…ガクン


!!!!

足を窪みにかけた瞬間、窪みが崩れ落ち、全体重が両腕にかかる。


えー!えぇ!足場!足場は?つーか、腕がもぎ取れる…


足場、足場と足で岩肌を探すが足場が・・・ない。


「絨ー毯・・・助けて!!」


必死に絨毯に声をかける。すると風に煽られながらもヨタヨタと私に近付いてきてくれた。


よかった〜。

やっと絨毯に足が付いた。ゆるゆると体重を絨毯にかける。


ビリリリリー


え?マジで


虫食いがあるところから絨毯が裂け、私は絨毯を貫通した。


!!!!!!!!


死んだな。コレ

一瞬が凄い長く感じる。町の皆、マクロス医師、助けてあげられず、ごめんなさい。母様、おじーさま、おばーさま、クラス、フィーダ、ライン、カル元気で…皆の家族でいられて私幸せだったよ。シャラン…幸せになってね。…ベイル、最後にもう一回顔が見たかったな…。


走馬灯のように思いが駆け巡る中、私は、なんだかんだで幸せだった……そう思いながら目を閉じた。




ボス!

地面に叩き付けられると思っていたが、何かにすっぽりと包み込まれる感覚がした。

死ぬ時は、神様の思し召しで痛くないようにしてくれたのかな?


「ラルー、大丈夫か?」


聞き覚えのある声が聞こえた。

ゆっくり、目を開くとそこにベイルがいた。

「べ、ベイル?」


「はぁぁぁぁぁぁぁ。・・・・・・・・。間に合った・・・・。」

そう言ってギュッと抱きしめられる。

神様、これは天国のオプションですか?天国なら…何してもいいよね!

おずおずとベイルに腕を回し抱き着く。するとベイルが顔を上げてライオンみたいな激しいキスをされた。


「う!んんん…」

神様!!やり過ぎですよ!息できない上、心臓が爆発寸前です。・・・けど、素敵なオプションどうも、ありがとう!


ようやく唇が離れ、目と目があうと、今まで見た事ない怖い顔のベイルがいた。


「なんでこんな崖を一人で命綱すら付けずに登ったりしたんだ!俺が来なければ死んでたんだぞ!!

ラルーが落ちた瞬間、ラルーを失うと思って死ぬ程怖かった…」


日頃一人称が僕のベイルが珍しく俺って言ってる。どうなってるの?天国ってやたらワイルドになるのかな?


パチパチと目をしばたくと今度は優しい顔になった、ベイルが口を開く。

「ごめん…1番怖かったのは、ラルーだよね。思わず、素になってた。」そう言って今度は優しく抱きしめてくれた。


暖かい。この暖かさ、なんか凄いリアルなんですけど。ふと自分の下を見るとなんとペガサスに乗ったベイルに横抱きにされている事に気付いた。


・・・・・て、事は、私死んでない?

間一髪で、ベイルに助けて貰ったの??

「べ、ベイル?何でここに?」


「ラルーが二日前から部屋にこもって病原菌の研究をしてるって聞いてたんだ。ラルーの事だから、飲まず食わずで没頭してると思って、ラルーの好きな空味の飴を届けに行ったらオペーク草を取りにリンキ山脈の崖に行ったって聞かされて、急いで後を追って来たんだ。」


空味の飴玉。ベイルが最初に私にくれた物で、その後何度か一緒に屋台で買ったっけ。私が好きな事、まだ覚えててくれたんだ。


「ベイル…ありがとう。」


さっきまで、死にそうになってたのに、今は、ぼうっとする幸福感に包まれてベイルを抱きしめた。


「君が無事で本当に良かった…」

そう言って強く抱きしめ返された。

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