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その15

昼食を終え、只今お風呂タイムです。


こちらの屋敷には大理石でできた大きなお風呂があり、中央に噴水のようにお湯が湧き出ていて、不思議な事に湯舟の中にお湯が流れると青白くなる。なんでも、美容によいお湯になるような魔法をかけているんだとか。


今は、母様とラインとカルの4人でゆったりバスタイム!


お風呂は、ここに来て唯一最高と思える所だ!


考えて見れば、ちょっと前までは、夏は川で水浴び、冬はお湯を絞ったタオルで身体を拭くくらいしか出来ず、初めてお風呂を見た時には大きな水瓶かと思った程だ。


使用法を聞いた時には、なんて贅沢品なのかと驚いたが、今はお風呂無しでは生きていけない程こよなく愛している!きっとお風呂が人なら何もかも捨てて駆け落ちできるくらい好き!

ビバ金持ちライフ!



お湯に浸かりながらうっとりしているとラインがオドオドしながら聞いた。


「ねぇ母様、新年のパーティーってどんな感じなの?」


「うーん…。そうねぇ…。

予め言っておくけど、きっと私達にとっては、あまり楽しくないわね。

エルフ至上主義の貴族が殆どだから、人間と結婚した私やハーフエルフのあんた達が周りから何て言われるかは行かなくてもわかるわ。

でもね、中には本当にいい人もいたりするから、パーティーも良し悪しね」


苦笑しながら、母様は答えた。


「じゃあ、王族の人達も感じ悪いんだ」

ため息を付きながら聞いてみた。あのバカ親子みたいな人が国のトップと思うと、どんよりする。


「確かに王様は、厳格な人で何よりエルフの血を重んじる人だわ。

でも、王妃様はポヤっとした、かわいい感じのいい人よ。

まぁ、ポヤンとしてるかガツガツしてる者でないと王族なんてやってけないけどね」


遠い目をして母様は言った。


「私、行きたくないな…」

ラインが呟く。


「あら、パーティーに出て来る料理は、この国1番の職人が腕に寄りをかけた逸品よ!

しかも、見たこともない食材がズラリとならんで一口それを口にすると天にも登る程美味しいのよ!


し・か・も、催し物がいっぱいで豪華プレゼント付き!

パーティー中ずっと流れる音楽も最高なんだから!」


母様は、おどけた表情で大袈裟に身振り手振りを加えてなんとか私達がホッとするような話を繰り出してくれた。その熱演を見たラインは最後には「面白そう!」と笑った。


そうこうしている内にお風呂の扉の外からおばーさまの声が飛んで来る。


「ちょっと!貴方達いつまでのんびりお風呂入ってるの?クラスやフィーダが待ってるのだから早く出なさい!」


「あぁ…。今日は、頭のてっぺんから足の先までいじくり倒されてお母様の着せ替え人形にされるわよ。覚悟しなさいね」


母様がボソッと小声で私達に言った。



=3時間後=

母様の宣言通り私達は、生きる着せ替え人形となっていた。


昨日仕立てた私のドレスは、深いワイン色のベルベットのような生地で出来ており、所々に真珠が縫い付けてある。一体いくらするのこの服!


更に同じ生地に同じく真珠を縫い付けたリボンを使って両サイドの髪とリボンを編み混み、後ろで一つの長い三つ編みのような感じにされた。


顔にはうっすら化粧までされ、全て出来上がった自分の姿を鏡で見てビックリ!

こ、これが私ですか!?

お姫様みた〜い!!地味顔の私がここまで綺麗になれるなんて!何度も角度を変えて鏡を見ても、完璧にお姫様みたいだ!


嬉しくて、皆に綺麗になった私を見てもらおうとウキウキしながら居間への扉を開け、私は仰天した。



母様……!なんて綺麗なの!金髪に映える緑色のキラキラ輝く布で出来たドレスで歩く度にキラキラが飛び散って消える。


胸元は大きく開いているが、嫌らしさを感じさせず逆に上品さが漂う。


髪は横に流してエメラルドの髪飾りがまた似合う。



ラインも薄紅色の花柄のドレスに身を包みハイウエストの形が可愛らしくラインの雰囲気にピッタリだ!サイドの髪だけ結んで小さな薔薇で飾っている。


おばーさまなんて銀色のこれまた光り輝くドレスを纏い、髪はそのまま下ろしているが、銀の布に黒髪が映えて素敵な相乗効果を生み出している。


デコルテには、見たこともない綺麗な青い大きな石のペンダントが下がりおとぎの国の女王様みたいに美しい!


もちろん、クラス達だって絵から抜け出てきたような凜としたかっこよさだった。


私の顔でお姫様になれたんだから、元々美しい顔の人達が着飾れば、その姿は、神クラス……


身のほど知らずでした。私の自惚れた気持ちは、開始1分で跡形もなく砕け散った。


「ラルー見違えたね。いつも可愛らしいけど、今日はお姫様みたいだよ!」


「姉様!本当綺麗だわ!」


クラス、ラインやめて・・・。

本物の王子様&お姫様バリに美しい人達から褒められてもよけいに痛いから。


「あ、ありがとう。」私はヒクヒクしながら微笑んだ。


「皆、凄く似合っているわ!おばーさま霞んじゃうわね」


霞みませんって!私と並べば、むしろ引き立ちますって…


早くも私は、白目になりながら王宮に向かうべく馬車に乗った。


やばい、まだ新年会パーティーに行ってないのに、既に帰りたい……。

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