その14
私達は、泥のように寝むっていた為、朝になっても目を覚まさず、侍女さん達に起こされても中々起きれなかった。
「エルザお嬢様!クラス様!ラルー様!フィーダ様!ライン様!カル様!!!
もぅ、いい加減起きてくださいまし。旦那様と奥様が既に食堂にいらっしゃって皆様の事をお待ちですよ!」
何度呼んでも反応しない私達に痺れを切らした侍女さん達の大きな声で無理矢理起こされ、服を着させてもらい食堂まで連れていかれた。
寝ぼけ眼で食堂に着くと爽やかに微笑むおばーさまとちょっぴり不機嫌そうなおじーさまに出迎えられた
「あら、今日は皆、お寝坊さんね。早く席に着いて」
おばーさま…。昨日、あんなに忙しいそうにしていたのに、疲れ一つ見せないどころか、肌の艶が良くなっていて、神々しいくらいの美しさだ。きっと、自分の好きな事に夢中になると日頃のストレスも解消してしまうのだろうか。
「お母様のバケモノ…」
母様が小さな声で、呟いた。
母様が大仕立て大会から解放されたのは明け方近くになってからだという。
しかも、母様が自室に戻る時も、まだ、おばーさまは忙しいそうに働いていたらしい。
母様で無くても呟きたくなる気持ちはちょっぴりわかる。
「え?エルザ何か言ったかしら?」
穏やかな笑顔でおばーさまは母様に聞く。
「いいえ、なんでもないです。」とすかさず、母様も笑顔で返す。
おばーさまと母様って顔から性格まで本当に似ている。
「さぁ皆、ご飯を食べたら昨日作った服のフィッティングをして最後のチェックをしますよ!
その後、軽く昼食を食べてお風呂に入って新年のパーティーに行く支度をしましょうね!」
嬉しそうなおばーさまの声が響く。
「「「「「はぁーい…」」」」」」
私達はうなだれながら答えた。
そうこうしているうちに私達の元へ朝食が運ばれてきた。
「うまい!!いつもと同じメニューだけど、今日のは、スッゴくおいしい」
フィーダが目を細めてパンにかぶりついた。
「本当だ!凄いおいしい!」
クラスもそれに答える。
「そうかしら?いつもと同じ味だけど…」
母様が不思議な顔で答えた。そのやりとりを聞きながら、ふと思う。
「あれ…?私、昨日夕食って食べたっけ??なんか昨日の夕方から記憶がないわ…。お腹も凄い空いてるし……ラインは、覚えてる?」
「……。そういえば、私も思い出せないかも。食堂までの記憶はあるけど…クラス兄様は?」
「あれ?僕、パンを食べようとしたまでは、覚えてるけど食べたんだっけ?」
「俺も、席に着いた所までしか覚えてないな」
フィーダがモグモグと口を動かしながら答えた。
「あら?あんた達、お父様と一緒に夕飯食べたんじゃないの?お父様、この子達と一緒だったのよね?」
皆の視線が一気におじーさまに集まる。
「………。
あぁ…一緒に食べた…。」
「ほら!食べたんじゃない。
疲れて記憶が曖昧になってるだけよ!聞いてお母様、この子達ったら、凄いのよ!疲れ果てて、昨日の服のまま寝てたの(笑)」
母様がコロコロと笑った。
「あら、今日の方が忙しくなるから昨日よりも、もっと疲れてしまうかもね…。いっぱい食べなさいね」
おばーさまが明るく笑う向こうでおじーさまはどことなく居心地が悪そうにしていた。