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【第5章】ノイズ挿入計画
もう我慢できなかった。
透明性だの、純正だの、AI率だの。
そんな数字で創造を測ってる奴らを見てたら、
指先が勝手に震えた。
──ああ、これが摩擦か。
俺は決めた。
「創造力の証明」を壊す。
パソコンを起動して、
透明性システムの中枢にアクセス。
モニターに浮かぶ「JUDGECHAIN」のロゴを見て、
思わず笑ってしまった。
どこまでも整然としてやがる。
きっちりと、冷たい。
「お前に、ノイズを教えてやるよ。」
俺はコードを書き換え始めた。
制作ログに“乱数”を混ぜ、
プロンプトに“矛盾”を加え、
テンション波形に“ノイズ”を注入する。
“正確さ”が“曖昧さ”へと変わっていく。
誰が描いたのか分からない線、
AIが思い出せない生成経路、
筆圧とバグが混ざった奇跡の一筆。
それは破壊じゃなかった。
再生だった。
俺のモニターに、
久しく見なかった“揺らぎ”が映った。
完璧ではない。
だが、温度がある。
「完全な透明性は、死んだ創造だ。
ノイズこそ、生命の鼓動だ。」
システムはエラーを吐いた。
警告音が鳴り続ける。
でも、もう止められない。
俺は全てのノードに“混乱”を送信した。
JUDGECHAINは悲鳴を上げ、
世界中のNFTが微妙にズレ始める。
トレーサビリティは崩壊。
だが、その瞬間──
世界中の画面が光り出した。
数値じゃない熱が、
また、流れ始めた。




