1/6
【第1章】俺、創れないのに透明性を語る
透明性が流行ったのは、AIアートが流行った翌週くらいだ。
絵師も小説家も、みんな口を揃えて言った。
「これからの時代は、“創造のプロセス”が信用だ!」
……いや、完成させてから言え。
人類は気づいてしまったのだ。
描けなくても語れる。
作れなくても批評できる。
創造力ゼロでも、「透明性」を叫べば有識者の仲間入り。
そして、俺もその波に乗った。
俺は未来から来た。
本来なら技術を教え、文明を進歩させる立場だ。
だがこの時代に来て最初に学んだのは──
「創れない奴ほど、声がデカい」という現象だった。
だから俺も言ってみた。
「創造の信頼性は、履歴に宿る!」
会場は湧いた。SNSは炎上した。俺のアカウントはバズった。
結果、なぜか**“創造透明性システム”**を作る羽目になった。
いや、俺も何言ってるかわからん。
でも、勢いで作った。
ブロックチェーンに制作履歴を自動で刻み、
使ったソフト、触った秒数、筆圧の変化、
ついでに脳波まで記録する、完璧な監査装置。
「これで創造は守られる!」
そう豪語した瞬間、
隣の学生が俺の作品をAIで描き直してNFTにした。
──五分で。
……うん、未来、だいぶ終わってんな。




