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Okurimono

Shi wa seimei no owari de aru to douji ni, arata na hajimari ya saisei o shouchou suru to kangaeru hito mo imasu.

詩人が言葉を紡ぐとき、

彼の口からこぼれるのは、砕けた音。

誰にも聞き取れず、意味をなさない声が、

ただ宙に溶けていく。


楽師が旋律を奏でるとき、

耳をすませても、そこに音はない。

指が鍵盤を叩くたび、

響くのは空虚な振動だけ。


画家が色を求めるとき、

目の前の世界は霞んでいく。

絵具を混ぜても、指先に残るのは灰色だけ。

形は崩れ、光も影も消えていく。


料理人が味を探すとき、

舌に触れるのは無の感覚。

甘さも苦さも遠ざかり、

ただ冷たい金属の味だけが残る。


彫刻家が手を伸ばすとき、

その指先は温度を忘れる。

触れたものの輪郭は曖昧で、

彫るべき形さえわからない。


それでも、見えない何かが彼らを導く。

聞こえない音が、言葉を運び、

色のない世界が、静かな調和を描き出す。

感覚が消えたその先で、

彼らは何かに触れるのかもしれない。

似たようなものしか書けない

それでも書き続ける。

何度手を伸ばしても、掴めるのは崩れた言葉だけ。

どれほど叫んでも、響くのは沈黙のこだま。

私は違う景色を望みながら、

結局、同じ闇を何度も描き出してしまう。


新しい色を探しても、

指先に残るのは滲んだ灰色。

異なる旋律を奏でようとしても、

耳に届くのは途切れた音の断片。

変えたつもりの世界は、

ただ別の形をした絶望に過ぎない。


それでも祈る。

違う言葉を求め、違う感情を信じ、

救いを願いながら、また絶望を書き続ける。

私の声が届かないのなら、

せめてこの沈黙が、

誰かの心に触れることを願って

私はこの命を神に捧げる

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