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第2話 ぽんこつ召喚士かよ


 俺たちは少女の家で話すことになった。木造一階建ての住宅がぽつぽつとあるゲームで見るような最初の村って感じ。日本と比べると文明レベルに差がある。でも召喚魔法なんてもんがあるんだから、意外な発展をしてるのかも。でも、まずは話だ。話をしなくちゃ。


「俺は増田ますだだ。君は?」


「わ、私はミュウです。召喚獣さん」


 認めたくはないが、どうやらこの娘が俺を召喚したらしい。おどおどしながらミュウが答えた。召喚された覚えはないんだが、いちいち否定しても話が進まなそうだ。それに召喚したってことは元の世界に送り返す術を持ってる可能性もある。とりあえず悪い印象を与えないようにして、今は情報収集でもするか。


「色々話を聞きたいんだけど、まず初めに俺たちはなんで普通に話せてるんだ? 俺は自分の国の言葉で話してるし、ミュウの言葉も違う言語に聞こえる。それなのに、ちゃんと意味が分かる。ミュウが何かしたのか?」


「は、はい。それが召喚術ですから。召喚獣は言葉を発せられる種族とはかぎらないので、意志疎通ができるように魂をつなげて意志が伝わるようにしているんです」


「ふうん。なるほどね。じゃあ、どうして俺を召喚したんだ?」


「と、特定の誰かを狙って召喚することはできません。無念の死を遂げた生物が召喚に応じてこの世界に来るみたいです。詳しいことは分かりません」


「俺は死んでないし、応じたつもりもないぞ?」


 酔っぱらってはいたが、そんなに飲んでたわけでもない。死ぬような事故があったとは思えない。……いや、あったぞ。ちょうどいい。ミュウに聞いてもらうか。


「聞いてくれ。俺はバイトの飲み会に参加していた。隣には、憧れのさやかちゃんがいた。すっかり出来上がっていた俺は調子に乗って告白したんだ。そしたら急に、さやかちゃんが泣き崩れたんだ。俺はそれを嬉しくて泣いたのかと思った。ところがどうやら様子が違ってて。女子がさやかちゃんとのところに集まってなぐさめ始めて、俺のことを責めたんだ。なんでいきなり告白したんだって。そんな俺を見て、あ、こいつ死んだなって遠くで笑う男がいて……。つまりはそういうことかよ! そんなとこにいるくらいなら、この世界に召喚してやるぜってことなのかよ!」 


「えっ、ええ!? よく分からないけど、たぶんそうだと思います」


「ちくしょう、そうだったのかよ。そんな俺を救ってやろうとこの世界に召喚したってのかよ……。ありがたい話じゃないかよ。でも俺はそんなことじゃ負けねえぞ。今はちょっとメンタル傷ついてるけど、すぐに復活して元の世界に戻ってやる! 召喚魔法があるんだ。そういうのだってあるんだよな!?」


 ミュウが目をそらしながら呟く。


「は、はい。あります。送還魔法っていうんですけど……」


 ミュウはそこまで言って泣き崩れた。


「でも召喚した召喚士じゃないと元の世界には戻せないんです。ごめんなさい。頭が悪くて……私がバカで覚えられないんです。バカでごめんなさい……」


「バカ! そんなことで泣くんじゃない! できないなら、できるように努力すればいいんだ!」


「うわーん。バカって言われたー」


 こ、こいつ、自分で言うのはよくても、人から言われるのは駄目なのかよ。なんてめんど……繊細せんさいな奴なんだ。俺もそうだけど!

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