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第16話 自信があれば少女は輝く


 仕事をさぼってバトルを挑んできたシャイラと別れ、俺たちは今日の宿に向かった。その途中、戦いを振り返ることにした。


「俺は油断したつもりはなかった。それでも負けた。完敗だった」


「……そうですね」


「でもそれは現時点での話だ」


「えっ?」


「俺たちはまだ会って二日、コンビを組んでたった十数時間しかたってない。あの二人に比べたら雲泥の差だ。ある意味、負けは当然のことと言える。問題はその後だ。このまま負け犬で終わるのか、それとも立ち上がって別の何かになるか」


「はい、そうですね……」





 正直なところ、俺の慰めは全く役に立たなかった。敗北はカメに心揺さぶられた俺自身の責任でもある以上強く言えなかったし、やはり言葉だけでは限界がある。ライバルに負けた事実から立ち直るには時間が必要だ。


 俺たちは何日か食堂で働いた後で召喚士の登録者講習を受けることになった。シャイラはその後どうするのか聞いていないが、できれば出発前にもう一度戦って勝利を掴みたい。そのためにもミュウの自信回復は絶対条件。だから、なんとかして立ち直らせようと考えていたんだけど、何故か初日の仕事を終えて合流したミュウは、朝と違って元気いっぱいだった。


 カラ元気でもないよりマシ。そう思ったが、どうやら本当に復活しているようだった。単純なのはミュウのいいところだが、何があったのか気にはなる。そこで我々取材班は仕事現場でミュウにいったい何が起きたのか調査することにした。


 俺とミュウは同じ職場で働いている。ミュウが食堂のホールで給仕として、俺は玄関先で酔っぱらい対策みたいなセキュリティとして。昼頃になり、どんどんお客さんが入ってくる。それが一旦落ち着くと、俺は食堂の中を覗き見ることにした。扉を少しだけ開いて確認する。そこには衝撃な事実が隠されていた。


「…………な、なんてことだ。ミュウが……ミュウがおじさんたちにチヤホヤされている!」


 ミュウは満面の笑みで接客している。今までで一番の笑顔だ。顔見知りなのだろうか、時折ふざけてお客さんを叩いたりしている。叩かれたお客さんも嬉しそうだ。セクハラしようとしてくるお客さんを軽くあしらう姿からは熟練のスキルを感じた。普段からこんな感じだったなら、そりゃあ自分のことを可愛いって恥ずかしげもなく言えるはずだよ。


 ……そうか、そういうことだったのかよ。


 ミュウはシャイラとの戦闘に負けて自信を失ってしまった。だが食堂でお客さんたちにチヤホヤされることで女として自信を取り戻したんだ。


 俺がやるべきだったのは説教とか作戦を考えることじゃなくて、普段からもっと褒めて自信を持たせることだったんだ!


 ……勝てる。


 今のミュウならシャイラに勝てるぞ!

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