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蓬莱若菜との会合(雑談)

閲覧いただきありがとうございます。

 4月2日(火) 13時00分


「今日もうまかった」


 高級レストランかと間違うほど美味しい学食を完食する。

 毎日こんな食事ができるなんて、この学園に来て本当に良かったぜ。


 俺はスマホのアプリについて調べるために自室に戻ろうとする。

 すると後ろから可愛らしい声で名前を呼ばれる。


「築山くん、ちょっといいかな?」


 声の主は教室で隣の席に座っていた少女、蓬莱若菜だった。


「蓬莱か、何の用だ?」


「少し2人で話したいんだけど、今から私の部屋に来てくれる?」


「積極的な女は嫌いじゃない、行こうか」


 入学早々にこんなイベントが待ち受けてるとはな。

 日頃の行いかな。


「この人に声を掛けたのは失敗だったかな」


「そういうのは心の中だけに留めておいてくれませんかね?」


 毒を吐かれながら学食をあとにし、嫌な顔を向けてくる蓬莱の部屋に向かう。



 ---移動中--- 食堂→寄宿エリア



 俺たちの住んでいる寮に到着する。

 蓬莱の部屋は俺の部屋と同じ建物ではあるが、上の階は女子専用となっており行くことがない。


「上の階は初めてだ。共用廊下の時点でいい匂いがするな」


「横からは犯罪の臭いがするよ」


 部屋の前に着き、蓬莱が部屋の鍵を開ける。


「どうぞ。散らかってるけど」


 中に入ると女の子の部屋という言葉がよく似合う。

 そんな雰囲気の部屋が広がっていた。


「かわいい部屋だな」


 俺が入ったことのある女子の部屋は葵くらいた。

 葵の部屋は会議室かよってくらい広いし何も無い。

 その点、蓬莱の部屋はぬいぐるみや小物などが所々にあり実に可愛らしい。


「ありがとう、あまり片付いてなくてごめんね」


「そんなことないぞ。俺よりはちゃんと片付けていると思う。洗濯もしてるし」


「築山くん洗濯してないの? というか人の洗濯物じろじろ見ないでくれるかな。片付けるから少し待ってて」


 部屋には下着などが干してあった。

 スマホなら目が悪くなりそうな距離で観察していたら、じっくり見られるのが不満なのかタンスにしまい始めた。


「気にしないでくれ。俺の部屋との違いが気になっただけだ、他意はない」


「下着を凝視してたよね。男の子だから気になるとは思うけど……そんなに見るのはよくないよ?」


「チラチラと見る分には構わなかったのか。それは惜しいことをした」


「そういう意味じゃない」


 どうやら変態と思われたらしい。

 弁明しなければ。


「干してある下着なんかただの布だろ? 本当に気になっただけだ」


「何考えながら見てたの?」


「おとなしい顔して普段はこんなもの履いてるのかと想像してた」


「そんな際どいのじゃないよね?普通だよ」


 弁明に失敗してしまった。

 正直者のつらいところだな。

 早く次の言い訳を用意しないと。


「現在進行系で履いているパンツ以外に価値なんかないだろ?」


「じゃあ私が今履いてるパンツ見たい?」


「見たい!見せて!」


「変態」


 上手く誘導されてしまった。

 くそぅ!


「『パンツ見たい?』とか聞くほうが悪いと思うぞ? さてはお前、変態だな?」


「変態に変態と言われるのが、こんなにイラつくとは思わなかったよ」


「変態とは心外だな。俺は前を歩いてる女子のスカートが短くても、その子のパンツを見ようとしないぞ」


 なんせ俺は紳士だからな。

 階段を登るときは、目のやり場に困っている。


「その話が本当なら、築山くんは誠実かもしれないね。普通の男子はパンツに飢えてるもん」


「そうだ。俺はスカートの下に何も履いてないかもと想像すると興奮してしまうだけだ!」


「前言撤回。こいつを早く捕まえてくれ」


「俺はこの現象をシュレディンガーのおパンツと呼んでいる」


「警察は何をしているの?職務怠慢だよ」


「俺の父親は警察官だ」


「これが癒着か。日本の闇が見えるよ」


 話が脱線してきたので戻そうと舵を切る。

 俺がここにいる理由を尋ねる。


「それで俺が呼ばれた理由はなんなんだ?」


「事情聴取に決まってるよね」


 残念ながら俺に操舵手の能力はないようだ。

 ジンベエに代わってもらおう。


「そんなもの1回しか受けたことないぞ」


「大半の人は受けたことないけどね。いつ受けたの?」


「小さいときに事故でな。父親の実家がある秋田に帰っていたときだな」


 懐かしいな。

 久しぶりに帰りたくなってきた。


「秋田……あぁ、あの毎週なまはげが来る所か」


「お前が秋田県のことが嫌いなのはよくわかった」


 およそ100万人の県民を敵に回しても構わないのだろうか。

 平均年齢は全国1位で50歳を超えており、戦闘力はかなり低いが。


「クリスマスはきりたんぽパーティーで、成人するとなまはげ一式セットが貰えるんだっけ?」


「夜道には気をつけろよ。秋田県民に刺されても文句は言えねぇからな」


「包丁もった秋田県民はもうなまはげだよね?」


 こいつのことは好きになれそうにない。

 田舎をすぐにバカにしやがる。


「お前、どこ出身だ?」


「東京」


「ナメた口利いてすみません」


 東京には勝てん。

 埼玉くらいならバカにできたが。


「いいよ。寛大な心で許してあげる」


「お前以上に優しい奴は見たことないぜ」


「当然。青森出身の両親が育ててくれたからね」


「お前も田舎モンじゃねぇか。青森から東京は吉幾三と同じだよ」


 何が東京出身だよ。

 大人しくりんご作っとけ。

 平均年齢が全国3位のくせに。


「一人称にオラなんか使う人と一緒にしないでくれるかな?」


「お前は世界を何度も救った、あの孫さんを敵に回すというのか?」


「ただの無職でしょ」


「野原家のしんのすけ君はどうなる」


「露出狂だよ? 相手にならないね」


 こいつは国民的アニメになんという暴言を吐くんだ。

 警察に捕まるぞ。


「はぁ、築山くんのせいで話が逸れちゃったよ」


「俺は戻そうとしたんだがな。それで本題はなんなんだ?」


「ホームルームでの話について」


「そうだろうとは思っていた」


 このタイミングで声を掛けるならそれくらいだろう。

 俺と友達になりたかっただけという説もあったが。


「配られたスマホの機能を確かめたいと思って。1人じゃ判らないことがいくつかあったから」


 そうなのか。

 部屋に戻ってから調べようと思っていたから知らなかったな。


「それは初耳だしかなり気になる話だ。誘ってくれて助かるよ、ありがとう」


「どういたしまして、お礼はMPでいいよ?」


「MP(行幸ポイント)でよければ」


「それはいらないかな」



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