神鳴
室町時代ごろからとされているが、おそらくはさらに以前へとさかのぼることができるだろう。
岡山県砂賀町にある砂賀城、その鎮守として坐します、今では星観神社と称する神社で行われている神事だ。
これは春分の時間に合わせて行われている。
春分は太陽が春分点という黄道0度の地点を通過した瞬間のことをいう。
このときに、星観神社では神鳴と呼ばれる神事を斎行する。
神事は春分日の前日、つまり春分が属する日の前日からはじまる。
この日から神職は斎行のための品物を蔵から出してきて、それらを神社の中で清める。
清め方は水を3回かけ、祝詞をあげるというものだ。
ちなみにこの水は砂賀城の中にある井戸から、くみ上げてすぐの水をつかうことになっている。
そしてこの日はそのまま神職は神社の中で徹夜で神事を行う。
なお火元は神社の建物の中にあるろうそくだけとなる。
そして翌日、指定された時間までに神社の外へと神職は現れて、品物をそろえる。
このときには神職だけではなく、氏子総代などもそろう。
品物は神職がもつものもあれば、氏子総代などが持つものもある。
時間となる瞬間、神職が鶏鳴を告げる。
腹の底から出すようにして、「おおぉぉ……」と声を出す。
氏子総代たちは、それに合わせるようにして、清められた品物を用いて、定められた所作を行うことになっている。
あるものは手に持っていた絹をちぎり、あるものは持っていた板を叩く。
そしてこれ自身は1分ほど続いた後、終わる。
これが神鳴と呼ばれる、砂賀藩の春を告げる神事である。