煙
この世界には裏の世界が存在する。裏の世界ではいろんな組織が暗躍している。煙もその一つだ。その組織のボスがこの俺、柳雪なのだ。ただ裏の世界で本名を出して動けるほど生易しくはない。俺は裏の世界では火炎という名で動いている。煙は大きく二つに分かれている。表の世界で活動する白煙、裏の世界で活動する黒煙。そして今来た黒虎は黒煙所属の1人だ。
「何の用だ。」
「主様、白煙が運営している拍白社が創影から狙われているとの情報が入りました。」
「創影からか…」
創影とは裏世界の組織の一つである。煙とは仲が悪く、たまに戦闘が起こることがある。
「何故創影が拍白社を狙っているんだ?」
「創影は最近ランドフール社と手を組んだそうで、ランドフールは拍白を邪魔に思っているそうで、創影に依頼したそうです。創影も信頼を得るために動くと思っています。」
「そうか。これには誰か動いているのか?」
「はい。黒糖と黒味様が動いておられます。」
「黒味が動いているのか?」
黒味は黒煙でも上位の実力者で立場もかなり上のためそう簡単には動くことは出来ない。
「はい。なんでも今回動いているであろう創影のメンバーに一人宿敵がいるそうで。」
「あぁ…あいつか…」
創影メンバー《ライル》。創影内でもかなりの立場を有している。ライルと黒味は立場が似ていることもあってか戦うことが多い。そして現在ライルと黒味の実力差はないに等しい状況だ。故に黒味はライルをライバル視している。向こうはどう思っているのかは知らないが…
「主様はどうされますか?」
「まあ黒味が動くなら問題ないだろう。ないか起きたら黒炎に言ってくれ。」
「わかりました。それでは失礼します。」
そう言って黒虎は消えていった。
「さて、どうなることやら…」
・・・
「ライル様!」
「どうしたのかしら。」
「拍白社が我々に勘づき黒煙を雇ったそうです。」
「ふむ。じゃあ黒煙から誰が来るのか調べなさい。」
「わかりました。現時点で来るのが判明しているのは黒味と黒糖です。」
「黒味…わかりました。下がっていいですよ。また何かあれば報告に来てください。」
「わかりました。失礼します。」
「黒味…待っていなさい。今回こそあなたを殺すわ。」
・・・
「黒味様。本当にライルをおひとりで相手されるおつもりですか?私がいうのも何ですがライルは強敵です。多人数で挑んだ方が確実だと思います。それに黒炎様も今回動員する黒煙メンバーを増やしてくださいましたし…」
「大丈夫よ。今回で彼女の息の根を止めるつもりなの。それを誰にも邪魔されたくない。他の子たちにも伝えてくれないかしら。ライルは私が殺す。他は任せるって。」
「…わかりました。無理はしないでください。」
「わかっているわ。危険だと感じたらすぐに呼ぶわ。」
・・・
数日後俺は拍白社本部を別のビルの屋上から見ていた。
『今日だよな。創影が拍白社に攻めてくるのって。』
日時すらわかっており圧倒的有利な状況。ただ相手の人数などは具体的にはわかっておらず、その情報すらわざと流したブラフの可能性もある。
「さて、どうなるかな。」
すでに時間は真夜中。辺りは寝静まり、明かりがついている場所も少なくなっていた。
・・・
私たちは準備をしていた。
『情報通りならもうそろそろ来るはず』
私がそう思っていた瞬間足音が聞こえてくる。
「全員戦闘準備」
私は足音を聞いた瞬間全員に伝える。全員が戦闘態勢に入る。真夜中なこともあって相手の姿を見ることが出来ない。足音に注意していた時、足に違和感が走る。
「な!?」
足元をみると徐々に凍っていっていた。
「させない!」
そう言って黒糖が炎の魔法で氷を一瞬で溶かす。だが私の氷が溶けた瞬間私はものすごい勢いで迫ってくる人物に蹴られて後ろの飛ばされた。すぐに体勢を整えて相手の方を見る。さっきの炎のおかげで相手の姿がよく見えるようになっていた。私はさっき蹴って来た人物に言う。
「やっぱりあなただったのね。ライル。」
「そうよ。あなたは私が殺してあげる。」
「それはこっちのセリフよ。いつまでもあなたに負けていたら部下に示しがつかないわ。」
そう言って私は電撃をライルに向けて放つ。ライルはそれを余裕の表情で避ける。
「「さあ、決着をつけましょうか。」」