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サバイバーズシティ

サイバーシティ、それは世界で最大の都市の名前だ。


AIによって統治される管理句と、人が管理する自治区に別れている。言ってしまえば前者と後者の違いは金持ちが住むか、貧乏人が住むか。それくらいの違いしかない。


結局はどちらも都市政庁によって支配されているのだ。


此処は今でこそ最大都市の名を欲しいままにしているが、かつては別の名で呼ばれていた。


まるで人間の力の及ばない場所など許さないとばかりにインフラの維持も追いつかないほどに、周辺の街を都市の一部として取り込んでいくその姿を人は拡張都市と呼んだ。


得てして急激な成長には無理がつきもので、大きくなればなるほど都市が抱える問題というものは無視できないものへと変わっていく。


サイバーシティも例に漏れず、急激な都市拡張によって無人の街が生まれてしまうことがあった。


当時の都市政庁は年の拡張を何よりの至上命題としていたため、無人街の発生は放置されていた。


人が住まなければ、最低限の管理すらもされなくなるのは必然だった。大きくなりすぎた都市は、もはやすべてを人の手によって管理することなど不可能になっていた。


そして、いつしかそこに目をつけた人間たちが隠れてすみ始めるようになった。当然だが、そうした人々の殆どは無法者だった。


当時のサイバーシティの犯罪の検挙率は100%だった。罪を犯せば直ぐにでも厚生施設送りであり、例外はなかった。


しかしながら、街から無法者が滅びることはなかった。なぜなら、厚生施設送りになった人間の何割かは施設の生活に苦痛を感じるあまりに脱走をするからだ。



成功率は1%にも満たない。けれど、脱走に成功するものは確かに存在していた。



そんな彼らが、逃げ込むのが無人となった街であり、それこそが現在私達が隠れ潜む、生還者の街(サバイバーズシティ)の始まりだったと言われている。


生還者の街の住人は、先人が捜査当局から逃げ回るうちに蓄積したノウハウを用いてAIや警察の目を誤魔化しているらしい。


もともとサイバーシティで暮らしていた私からすれば驚異的という感想しかでてこないほどだ。


私達の所属している組織は都市の目を欺いて点在する生還者の街があってこそ活動を維持できるというわけだ。


________あの人たちとももうお別れか。


私はこの街で関わった人の顔を頭に浮かべた。



A35さえ手に入れることができれば私達の組織の最大目標は果たされるのだ。この街にとどまる理由はなくなると言っても良かった。


______それに、30分じゃお別れも言えないから。


意外にも生還者の街は広い。だから、そんな短い時間では世話になった人たちに挨拶をすることは無理だった。


感傷に浸りながら私は現在の滞在しているアジトから外の様子を監視している隊員のところへと向かった。



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