表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショート劇場「大好きって言うんだ。」

作者: MOZUKU

大好きって言うんだ。

「だ、だだだ・・・・僕と付き合ってくれませんか?」

・・・言えなかった。

「喜んで♪」

でも付き合えた。笑った彼女の顔が可愛い♪



大好きって言うんだ。

今ここで言わなければ、もう言うチャンスが無いだろう。

「だ、だだだ、だい・・・結婚して下さい。」

また言えなかった。プロポーズはちゃんと出来たのに。

「喜んで♪」

やっぱり笑顔が可愛いな♪



大好きって言うんだ。

花束もプレゼントも用意した。絶好の大好きチャンス。

「だ、だだだだだだだ、ダイズ!!」

「大豆がどうかしたの?」

大豆じゃなくて!!大好きと言うんだよ!!

「・・・け、結婚一周年だね。あはは。」

「えぇ♪」

言えなかった。これは不味いなぁ。



今日は彼女が頑張ってくれた。

これは言わねば、男が廃る。

「だいす・・・」

「あら♪お父さん元気な女の子ですよ♪」

い、いや看護婦さん、ちょっと邪魔しないで。

「アナタ、抱いてあげて下さい♪」

「あっ、はい。」

ダメだ。今回は言えないわ。てか愛娘メチャクチャ可愛い♪よしよし♪



子供たちも巣立った。二人だけの生活。ここだ、ここで言っておこう。

「だい・・・」

「お父さん、じゃがいもの皮剥いてくださる?」

「はい、喜んで。」

あれ?意外と言う暇無いな。



もう最後だ。思えば今まで言おうとして一度も言えなかった。

これが最後のチャンス、だが言えるだろうか?

「君のことが大好きだ。」

おぉ、すんなり言えた。これで心残りは無い。



「お婆ちゃん、おじいちゃん最後になんて言ったの?」

中学生になった孫娘が突然家に遊びに来たと思ったら、そんな事を聞いてきました。

「お婆ちゃんのこと大好きって、そう言ってくれたのよ。」

「あーやっぱり♪私の予想通りだよ♪」

「分かってたの?」

「へへん♪そりゃ分かるよ♪だってお爺ちゃんがお婆ちゃんのこと大好きだって、見てたら分かるもん♪」

そうね、あの人は言葉よりも仕草や態度で私に愛を示してくれたもの。

アナタ、私もあなたのこと大好きでしたよ。

心無しか、あの人の遺影の写真がいつもより嬉しそうに笑っている様な気がした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ