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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

友達だと思ってた女の子にドキドキしちゃう女の子の話。

作者: 小桜ここあ


 突然だけど私、雨宮(あまみや)梨奈(りな)には漫画家の友達がいる。

 それが星乃(ほしの)すみれ、通称すーちゃんだ。

 すーちゃんの漫画は探して読んだことがあるが、それは面白かった。

 なんというんだろう、程よくリアリティがあってキャラに共感や感情移入がしやすいのだ。

 

 そんなすーちゃんから私の元にメールが届いていた。


『突然だけど明日、うちに来てくれないかな? どうしても描けないシーンがあってさ、モデルしてほしいんだ』


 カメラでポーズ撮影するだけで、何時間もかかるわけじゃないから。と付け足されている。

 私はカレンダーを見て明日の予定を確認するが、特にこれと言ったものはない。

 要するに暇なのだ。

 

『オッケー。何時くらいに行けばいい?』


 すーちゃんの仕事場に興味があった私はそうメールを返していた。

 すぐに既読がついて返信も返ってくる。


『13時くらいでお願いできるかな』


 この返事に私は『了解』のスタンプを送ってメッセージアプリを閉じる。

 13時か。ってことはお昼ご飯食べたらすぐに家をでればちょうどいい時間に着けるかな。

 

 そんなことを思いながら私は適当にスマホで遊び始めた。




「お邪魔します」

「リナちゃんいらっしゃい!」


 12時58分。大体13時に私はすーちゃんの家に到着していた。

 2分くらい誤差の範囲だろう。


「それじゃあ、来ていきなりで悪いんだけどこっち来てもらえるかな」

「うん、分かった」

 

 そう言われて私はすーちゃんの部屋に案内される。

 初めて入るすーちゃんの部屋は思ったよりも女の子らしい部屋で、花の良い香りがする。

 机の上は大量の資料やら写真やらがあるのかと思えばそうでもなく、見やすく整えてられていた。


「とりあえずここの柱に寄りかかって……。あ、もっと力抜いて」

 

 すーちゃんが私に指示して、私はその通りにする。

 

「あ、そこ。いい感じ。私がいいって言うまで、そのまま動かないでね」

「うん、わかった」


 動くなと言われたので、そのまま止まっている。

 体制的にも辛い箇所はないし、静止してても問題はないだろう。

 

「……カメラよし。それじゃあ私も今からそっち行くね」

「ん、すーちゃんも来るの?」

「ああ、言ってなかったっけ? 2人登場人物がいるシーンが描けなくて。私もモデル」

「なるほど」

 

 カメラをセットし終わったすーちゃんが私の方に歩いてくる。


 ……いや、明らかに距離近くないですか……?

 

「このくらいの距離でいいかな」

「いや、すーちゃん……。近いって……!」

「恋愛物だからね」


 ……ちょっと納得させられてしまった。

 しかし、いくらなんでも近すぎる……。ちょっと恥ずかしい……。

 そんなことを思っていたらすーちゃんがいきなり思わぬ行動に出た。

 

 ドン!!

 

 突然壁ドンされる。

 これには私もドキっとしたし、さらに恥ずかしくもなる。


「私がいいって言うまで動かないでって言ったよね」

 

 耳元でそう(ささや)かれる。

 壁ドンされたときにビクっとしちゃったみたいだ。

 だけど、私の頭はそれどころじゃなかった。

  

 耳元で(ささや)くのダメ……! ぞわぞわする……!

 

 恥ずかしい話だが、私は割とガチ目に耳が弱かったりする。

 だから、私はこの耳元で(ささや)かれるのにも弱い。

 

 うぅ……、恥ずかしい……! 絶対顔赤いよ……。

 

「これ、なんのシーン……?」 

 

 私はせめてもの恥ずかしさを紛らわそうとすーちゃんに(たず)ねた。

 

「そういえば言ってなかったね。これはね、『ヒロインが主人公に壁ドンされて、そのままキスされちゃうシーン』だよ」


 またもや耳元で(ささや)かれる。

 ……って、キス!? 

 流石にキスまではしない……よね!?


「リナ、キス……するね。目、閉じて」


 本来ならば、拒むべき場面だろう。

 このままいけばファーストキスをすーちゃんにあげることになっちゃうし。


 でも、耳元で『キスする』なんで(ささや)かれたせいか、私の思考はまともに働いてなくて。

 

 気づいたら私は指示された通りに目を閉じていた。


 ぷにぃ


 そんな感触が私の唇を襲う。

 それと同時にすーちゃんの香りがして、私の頭は溶けてしまいそうになる。

  

 数秒するとすーちゃんはゆっくりと私から離れて、それに習うようにお互いの唇も離れる。


 ……気持ち、よかった……。

 

「ふふ。リナちゃん、今、すごく可愛い顔してるよ」

「ふぁぁ……」

「ありがとね。これで漫画の続き、描けそうだよ」

 

 そう言うとすーちゃんはカメラを止めに、部屋の隅っこの方に行ってしまう。

 

 ……物足りない。まだ、キスしたい。

 気持ちよくなりたい。

 

 そんなことを思うが、言えるはずもなく。

 私は黙ってその様子を眺めていた。

 

「せっかく来てくれたし、うちで遊んでく?」

「い、いや! すーちゃんの仕事邪魔しちゃ悪いし、今日はもう帰るね!」

 

 私はそういうと、すーちゃんの部屋から出ていた。

 もう一度キスしたいと思ったことが恥ずかしすぎのだ。

 そんなことを思ったことをすーちゃんは知らないし、黙って普段通りにすれば何も問題はないのだろうけど、あいにく私の精神はそこまで強くはない。

 

「り、リナ? 急にどうしたの?」

 

 すーちゃんが何か言っていたが、私は振り返らずに走っていた。

 その後の記憶はないが、気づいたら家のベッドに寝っ転がっていた。

 多分、あのまま逃げてきたのだろう。

 

 ……なんか、落ち着かないな……。

 

 そんなことを思いながら、私はゆっくりと眠りにつくのだった。

 




 あのキス事件から一ヶ月が過ぎようとしていた。

 事件直後は互いに(というより私が一方的に)ギクシャクしちゃったけど、また前みたいな関係に戻りつつあった。

 

 ……のだが、下手するとまたギクシャクしかねない文章が私の元に届いていた。

 

『ねえ、またモデルしてくれない? 今度は前よりも過激になっちゃうけど……』


 普通なら断るべきなのだろう。

 キスより過激って言われてるのだ。何されるか分かったもんじゃない。

 

 ……だけど、私の脳にはしっかりとあのときのキスの感覚が残っていた。 

 すーちゃんとは友達同士なのに、なぜか期待してしまう。

 

『いいよ。いつ家に行けばいい?』

 

 私は気づいたらモデルになることを承諾するメッセージを送っていた。

 

『いいの? ありがとう! 明日の14時くらいに来てくれると嬉しいな』

 

 明日の14時……!

 その時間にすーちゃんの家に行けば、またあの感覚が味わえる……よね。

 

 私はすーちゃんの言う過激なことが何なのか、まるでプレゼントの中身が何なのか考える子どものように、目を輝かせながら考えるのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


面白いと思っていただけたら幸いです!

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― 新着の感想 ―
[一言] 可愛らしい二人で読んでいてどきどきしました。 良かったです!
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