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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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87.誤解された(泣)?

 気になったので身体を動かしてみたけど異常はなかった。

 筋肉痛もない。

 よし、コントロール出来ているな。

 ついでだからということで、僕はそのまま居間(リビング)で運動を始めた。

 腕立て伏せと上体起こしとスクワットを十回ずつ。

 いいんだよ!

 ワンパ○マンになりたいわけじゃないから!

 いや正直言うと、これを始めてしばらくたった頃に回数を増やそうとしたらダウンした。

 基本性能(スペック)が低いから続かない。

 もちろん根気よく繰り返せば慣れてくるかもしれないけど単調な運動は飽きる。

 僕にはそれぞれ十回が限界だ。

 精神的に。

 というわけで細マッチョは無理だけどちょっと泳いだくらいでは問題無いところまで持ってきている。

 それでいいのだ。

 運動? を終えて洗面所で顔を洗ったら身体が汗臭いことに気がついた。

 お風呂(温泉)に行く?

 でもまだ午前中だもんなあ。

 それに一人で部屋を出ると胡堂くんがついてくる恐れがある。

 いくら外見美少女でも男はちょっと。

 というわけで僕は浴室で簡単にシャワーを浴びてから仕事部屋に籠もった。

 信楽さんと比和さんには部屋に居るから何かあったら声をかけるようにとメッセージを送っておく。

 パティちゃんはいいや。

 何か徹夜明けだったみたいだし。

 お昼まで仕事していたけど、どこからも連絡は来なかった。

 仕事の手を止めて聞いてみる。

「碧さん」

『何でしょうか。

 大地さん』

 どこからともなく聞こえてくる悪霊? の声。

 スマホの電源は切れているみたいだから部屋自体のモニターでチェックしているんだろうな。

 怪しいけど。

「ええと、他のみんなは何してる?」

 曖昧な聞き方になってしまった。

『信楽様はまだご就寝中です。

 途中でトイレに起きられましたがまたベッドへ』

 かなり厳しい状態のようだ。

『比和様は既に起床されてキッチンに籠もっておられます。

 コックは追い出されました』

 あちゃー。

 最強のキッチンメイドだからな。

 休暇なのをいい事にメイドに徹するつもりか。

「パティちゃんは?」

『就寝中です。

 起きるまで起こすなと』

 それはそうだろうな。

 まあいいや。

 僕はスマホの電源を入れて比和さんに電話した。

『……はい!

 ダイチ様』

「比和さんお早う。

 台所(キッチン)にいるんだって?」

 ここは単刀直入に。

『あ、はい。

 ダイ……皆様の昼食をご用意しようと』

「それは嬉しいな。

 そろそろ食べたいけど大丈夫?」

『いつでも!』

 用意は出来ているみたい。

 僕はすぐに行くと言って電話を切った。

 格好は……これでいいか。

 スマホだけ持って部屋を出たけど恐れていた胡堂くんの姿はなかった。

 何がなんでもくっついてくるわけじゃないみたい。

矢代大地(ガキ)使用人(メイド)を使う時だけだろう。

 廊下を歩くくらいじゃ出て来んさ)

 無聊椰東湖(オッサン)の言う通りかも。

 でも、だとすればこのまま食堂に行ったらウェイトレスとして胡堂くんが来そうだ。

 困りはしないけどちょっとね。

 僕は立ち止まって電話した。

「もしもし?」

『ダイチ様!

 何でしょうか!』

 テンション高いなあ。

 舞い上がっているのか。

「ご飯だけど食堂(レストラン)じゃなくてテラスとかでは駄目かな。

 まだ寒いからオープンじゃなくてもいい」

 無茶振りをしてみる。

 比和さんは「少しお待ち下さい」と言って誰かと話していたけどすぐに応えてくれた。

『大丈夫です。

 ご用意出来ます』

「じゃあそれで。

 お昼のメニューは何?」

『ビーフシチューとサンドイッチです。

 勝手に決めて申し訳ありません』

 確かに比和さんらしくないけど何か理由があるんだろうな。

「大好物だからそれでいいよ。

 贅沢を言えばサンドイッチにはタマゴとツナがあれば」

『あります』

 やっぱり。

 何せ4年も一緒に暮らしたし比和さんが料理を作った事も多いからね。

 僕の好みなんか知り尽くしているはずだ。

「それじゃ行くから」

 電話を切って進む。

 そのテラスとやらの行き方はスマホの表面に表示されていた。

 碧さんに隙はない。

「ここ、どういう場所か判る?」

 聞いてみた。

『中庭に面したカフェ風の食堂だった場所です。

 暖かい季節には扉を開放しますが今はもちろん閉め切ってあります。

 でも全面ガラス戸なので』

 それは開放感がありそう。

 この屋敷が温泉旅館だか何だかだった時にカフェがあった場所だろうね。

 ホテルや旅館には食堂が用途別に複数あるのが普通だもんな。

 お客も朝食なんかは開放的な場所で摂りたいだろうし。

 廊下を延々と歩いて着いたその場所は明るかった。

 正面が丸々ガラス戸なんだよ。

 その向こうに見えるのは中庭か。

 結構広い空き地で所々に木が生えている。

 空が蒼い。

 いつの間にか晴れていたみたい。

「ダイチ様!

 こちらです」

 比和さんが呼びかけてきた。

 やっぱりメイド服だった(泣)。

 この人の場合、もう仕事というよりは完全に趣味だもんね。

 腕は超一流(プロ)だけど。

「お早う、かな。

 比和さんだけ?」

「皆様、まだ寝ていらっしゃるみたいで。

 ダイチ様と二人ですね」

 メイドさんたちの事を聞いたつもりなんだけど誤解された。

 つまり比和さんはメイドを追い払って自分で準備したわけか。

「どうぞ」

「ありがとう」

 窓際というかガラス戸のそばのテーブルに食事の用意がしてあった。

 お皿やナプキン、スプーン。

 そしてワゴンに載っているビーフシチューの寸胴とサンドイッチが入った籠。

 美味そうだ。

「お代わりは自由です。

 何杯でも」

 メイドに徹そうとする比和さん。

 そうはいかない。

「比和さんも一緒に食べようよ。

 メイドしながらでもいいからさ」

「……よろしいのですか?」

 使用人のふりをしたって駄目だよ?

 メイド服着ていても支配者の威厳が溢れているし。

「比和さんは僕の大事な人だし」

「……はい!」

(馬鹿)

 誤解された(泣)?

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