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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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78.静村さんはどうした?

 つまり信楽さんはずっと寝ていたにも関わらず、今回の作戦計画をほぼ完成させていたわけか。

 計画だけじゃなくて戦力配置や想定外の事態になった時の対処まで。

 信楽さんの凄い所ってここだよね。

 何かする前に終わっている。

 勝ちが決まってから動くというか。

 もちろん不測の事態に対する備えもしてあるんだろうな。

 そのために過剰な準備を整えると。

 大体、今の話からすると僕たちが矢代邸(ここ)で相手を迎える必要って全然ないもんね。

 それこそ矢代家(前の家)でも良かったはずだ。

 だけど信楽さんは矢代邸を選んだ。

 万一に備えたんだろうな。

 胡堂くんが言った事が納得出来た。

 味方にすれば最強で敵に回したらその時点で詰む。

 そもそも「敵に回す」というのはこっちの意志というよりは信楽さんに見切られたわけで。

 あー良かった。

 僕、見切られてなくて。

 信楽さんが何か言いたそうだけど黙っていた。

 もはや以心伝心?

 サトリの化物相手なら当たり前か。

「……それで、ダイチ様をつけ狙う不逞の輩とはどのような存在(もの)なのでしょうか」

 比和さんが抑揚のない口調で言った。

 怖っ!

「それはぁ会ってからのお楽しみですぅ」

 信楽さんは微塵も揺るがなかった。

 比和さん(フェアリー)の圧力をものともしない。

 腹の据わり方もハンパないなあ。

「だったらこの話はここまで」

 割って入らせて貰う。

 この二人に対立でもされたら即、僕が詰むからね。

「今は休暇だから忘れようよ。

 会うまでまだ時間があるんでしょう?」

「はいですぅ。

 少なくともぉ数日はぁ」

「なら」

 比和さんを見ると微笑んでくれた。

「はい、ダイチ様」

 良かった。

「信楽殿。

 その時には私もダイチ様のお側に侍らせて頂きます」

「当然ですぅ。

 私ぃも同席しますぅ」

 うーん。

 ブレないね二人とも。

 というわけで僕たちは当たり障りのない雑談に戻った。

 しばらくたつと信楽さんが欠伸(あくび)をし出したのでこれ幸いと解散を持ち出す。

「そうですね。

 今日は色々ありました」

「はいですぅ。

 休暇にしてはぁハードな一日でしたぁ」

 二人も同意見だったみたい。

 まあ色々やったからね。

 早く休みたい。

 比和さんは違うかもしれないけど(笑)。

「じゃあこれで。

 明日はどうする?」

 聞いてみた。

「何もないですぅ」

「私は……寝坊するかもしれません」

 珍しく比和さんが赤面していた。

 うんうん、メイドアニメね。

 あれは奥が深い上に結構たくさんあるからなあ。

 一日や二日では制覇できないと思うよ。

「ほどほどにね」

「はい、ダイチ様」

 まあ子供じゃないんだから大丈夫でしょう。

 そこで部屋に戻ることにしたけど、よく考えたらみんなの部屋は近いんだよ。

 前後をメイドさんたちに挟まれてゾロゾロ歩く。

「それでは」

「お休みなさいませ、ダイチ様」

「ゆっくり休むですぅ」

 長い廊下の途中でまず比和さんが自室に入った。

 僕の部屋はその隣だ。

 ドアを開けながら見ていると信楽さんは隣の部屋に入って行った。

 つまり僕、二人に挟まれていると(汗)。

 まあいいや。

 マンションと一緒でどの部屋に住んでいるのかなんて関係ないわけで。

 それでも部屋に戻ると溜息が出てしまった。

 あの様子だと相沢さんやパティちゃんたちの部屋も並びにありそうだな。

 別に繋がっているわけじゃないからいいんだけど長屋みたいなものだから裏庭の方からなら直接行けたりして。

 しないけど。

 僕はとりあえず部屋着に着替えてから珈琲を煎れてまったりした。

 居間(リビング)のソファーでテレビを観ながらのんびりする。

 あー、一人っていいなあ。

 僕はもともとボッチ体質で人と話さなくても気にならないタイプだ。

 別に人と話すのが嫌いとかじゃないんだけど、それなりに気を遣うからね。

 相手が女の子だと特に。

 比和さんと信楽さんは最高度に気を許せるレベルなんだけど、それでも話すとそれなりに疲れる。

 言ったら泣きそうだから絶対に言わないけど。

 しばらくすると眠くなってきた。

 僕も疲れているみたい。

 というわけで歯を磨いてからトレーナーに着替えて寝ました。

 起きたら朝だった。

 昨日はカーテンをしっかり閉めて眠ったので寝室は真っ暗だ。

 遮光カーテンって奴?

 マジで光を通さないみたい。

 スマホの時計を見たらまだ午前6時前だった。

 早寝早起きの習慣がついてしまった。

 若者としてこれでいいんだろうか?

 普通、大学生とか新卒社員だったらもっと深夜まで色々やることがありそうなんだけど。

 でも僕、もうゲームやらないしアニメも観ないし。

 ラノベすらほとんど読まなくなってしまった。

 興味が失せたというか。

 現実(リアル)の方がよっぽど波瀾万丈(ファンタジー)だもんね。

 何となく起きる気になれなくてベッドの上でスマホを弄っているといきなり画面が明るくなった。

『貴方の秘書の碧です。

 お悩みですか?』

 なぜか看護師姿でにっこりと笑う碧さん(AI)

「悩んでなどいない」

『それは重畳です。

 では退屈していると?』

「してないよ!」

 何が言いたいんだ碧さん。

 ていうかガイドシステムにしてはやり過ぎでしょ?

『まあまあ。

 碧は最近メンタルケア機能を実装しましたのでダイチさんの様子にビビッと来まして』

 なにだよその「ビビッ」って。

 こいつらどこまで進化するか判らないよね。

 既に矢代グループを裏から支配している臭いし。

 その首魁は信楽さんだけど。

「別にメンタルケアなんかいらないから」

『皆さんそうおっしゃいますが、精神的外傷(トラウマ)は知らないうちに侵食してくるものです。

 ダイチさんも気を付けて下さい。

 何かあればすぐにご用命を!

 碧でした』

 画面から消えるCG美少女。

 何かの宣伝みたい。

 益々変になって行くなあ。

 何か気が削がれてしまって僕はベッドから降りた。

 そのままカーテンを開ける。

 外は土砂降りだった。

 静村さんはどうした?

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