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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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76.場が一挙に殺伐としてきたよ!

 比和さんはメイドアニメにハマッた臭い。

 だけどそれを見るためにすぐに居間(リビングルーム)を去る気はないらしかった。

(それはそうだろう。

 矢代大地(ガキ)の側に(はべ)れる機会を逃すメイドさんじゃない)

 確かに。

 メイドアニメは自分の部屋に戻ってからか。

 まあいいけど。

 僕たちはテレビをぼんやり観ながらリラックスしていた。

 適当に雑談する。

 何かの自然ドキュメンタリーを見ていて思い出した。

「そういえばウユニ塩湖だったっけ?

 地面と空の境界が判らなくなるっていう」

「あれはぁよほど条件が揃わないとぉ綺麗に見えないみたいですぅ。

 曇っているだけでもぉ汚く見えるそうでぇ」

 何でも知っている信楽さんが夢をぶち壊してくれる。

「そうなの」

「矢代先輩が見たのはぁ蒼い空とぉ白い雲のぉコントラストだと思いますぅ。

 地平線にぃ小さく人影があってぇ」

「うん、そんな感じの写真だった」

「あれを撮るのはぁ大変だそうですぅ。

 まずぅカメラマンがぁかなり遠くに行かないとぉ。

 更にぃ他の人たちに遠慮して貰う必要がありますぅ」

 なるほど。

 つまり普通の観光客がホイホイ撮れるような写真じゃなかったってことか。

「確かに綺麗な所だとは思いますが。

 他に何もない上に僻地なので行くのは大変だと聞いています」

 珍しく比和さんも参加してきた。

「比和さんも知ってるの?」

「伝聞程度にですが。

 経営者の間でも時々そういった観光資源は話題になります」

 なるほど。

 僕は比和さんをメイドとして認識しているからいつもは忘れてるけど、比和さんって既に世界的な経営者なんだよ。

 年に数回は外遊しているし、いつの間にか数カ国語がペラペラになっていた。

 英会話なんかもう僕より上手かったりして(泣)。

 ヒロインとモブの性能(スペック)差が露骨に出てるなあ。

「ということは観光地でもあるし観光客も行くんだよね」

「そうですね。

 ですがお金と時間がかかるそうです。

 経営者仲間(我々)にとってはお金は大した問題ではありませんが、行くだけで片道2日かかるような場所は鬼門ですので」

「逆にぃ時間がたっぷりある人にはぁ費用がかかりすぎますぅ。

 しかもぉ行ってもそれしかないですしぃ、季節によってはぁただの砂漠ですぅ」

 信楽さんが言うには塩湖なんだけど「湖」というには浅すぎるのだそうだ。

 むしろ水溜まり?

 だから雨が降らないと水が蒸発してしまって単なるだだっ広くて平らなだけの灰色の砂漠になってしまうとか。

 しかも条件が合っても曇っていたら台無し。

「ダイチ様なら簡単ですよ」

「でもぉ警備の問題がありますぅ。

 大規模なぁ派遣隊(キャラバン)になりそうですぅ」

「そうですね。

 私もご一緒しますし」

「私ぃもですぅ。

 下手するとぉ矢代財団でぇ遠征隊を組織する事になりますぅ」

 いやちょっと待って(汗)。

 何で軍事作戦みたいな話になってるの?

矢代大地(ガキ)が行くんだったら少なくともメイドさんとお嬢ちゃんは漏れなく付いてくると思うぞ。

 他にも色々と。

 特に聖女様が行きたいと言ったら)

 凄いことになるかも(泣)。

 例えば聖女様(相沢さん)がウユニ塩湖で歌うとか言い出したら世界が動きかねない。

 もう観光どころじゃなくなりそう。

 ていうか僕、別に行きたいとか言ってないから!

「……まあ、見るだけだったら現地に行く必要はないよね」

 さりげなく話を逸らせる。

「今はどこにいても動画が見られるし」

「はいですぅ。

 何ならぁVRヴァーチャルリアリティでも可能ですぅ。

 矢代先輩がぁウユニ塩湖に行きたいと言うのならぁ」

「いやそこまでは。

 ていうかこのスクリーンでも十分だと思うし」

 信楽さんって物凄くピーキーなレーシングカーみたいなものなんだよ。

 アクセルをちょっと踏むだけでぶっ飛びかねない。

 今の話もほっといたら矢代邸(うち)にVRルームが出来ていたりして。

 僕はそこまで望んでないから(泣)。

「見るだけではない体験、ということでしょうか」

 比和さんも明後日(あさって)の方向に加速した。

「例えば死海(デッドシー)などは体験しないと判らないと聞いています。

 浮かんだまま新聞を読む姿を証拠写真に撮るのがトレンドとか」

 死海か。

 イスラエルとヨルダンの国境になっている湖だけど、そんなことには関係なくアニメファンには常識な話題だ。

 そもそもは死海文書(しかいもんじょ)といういかにもな単語がアニメファンにウケたんだよね。

 何か冥府の秘密文書みたいで。

 でも僕が聞いた所だと、死海文書って単に死海(デッドシー)と呼ばれている湖の畔にある洞窟から発掘されたからそう命名されただけだったと。

 内容は紀元前後の聖書の写本で、つまり旧約だ。

 当時まだ新約聖書は書かれてない(笑)。

 別に魔神を封じたとか黄泉国に至る地図とかそういう話じゃまったくないんだけど、何せ「死海文書(デッドシースクロール)」だからね。

 アニメやゲーム制作者が飛びつかないわけがない。

「ダイチ様はどう思われます?」

 比和さんに聞かれて我に返る。

「えーと、何の話だったっけ」

「死海です。

 イスラエルとヨルダンの観光地で」

「そうだね。

 死ぬまでには一度は行きたい場所だよね」

 僕は別に旅行好きという事はないけど有名な観光地にはそれなりの興味はある。

 まあ、あんまり有名すぎて観光客で溢れかえっているような場所は嫌だけど。

 言ってみればエアーズロックには行きたいけどバチカンはそれほどでもないというレベルかな。

「ならばぁ」

「いや、今すぐ行きたいわけじゃないから。

 落ち着いて引退したらという所かな」

 念のために釘を刺しておく。

 ほっといた挙げ句に相沢さん(聖女様)のコンサートが死海で開かれたりしたら拙いでしょう。

 いや、むしろ妙案か?

 中東紛争が一挙に片付いたりして(笑)。

「それはそうですぅ。

 まずはぁ目の前のぉ問題の解決ですぅ。

 不安要素はぁ潰しておく必要がありますぅ」

「そうですね。

 ダイチ様に近づかんとする不逞の輩を叩き潰しておかねば」

 場が一挙に殺伐としてきたよ!

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