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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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71.いや、ご免(泣)。

 観てみたいアニメはたくさんありそうだけどまず分野を絞る。

 とりあえず劇場版一択だ。

 テレビシリーズなんか観てたら最低でも5時間くらいかかるからね。

 いや一気観というのもいつかはやってみたいけど。

 でも今回は駄目だ。

 メイドさんが渡してくれたタブレットにアニメのリストを出してスクロールさせてみたら凄かった。

 今までに公開された劇場アニメが全部揃っている?

「全ての配信業者とぉ契約してますぅ。

 回線もぉ最高速度ですぅ」

 何という贅沢さ。

 金持ちってハンパないなあ。

矢代大地(ガキ)がそうだ)

 自覚ないんだから勘弁してよ!

 でも僕が払うんじゃなくて矢代興業だか矢代財団だかの経費で落ちそうだよね。

 気にしないことにする。

 しかしこれ、多すぎて絞れそうにもないなあ。

 検索も難しそうだし。

 僕の好みをズバリ探せるようなツールはないもんだろうか。

矢代大地(ガキ)なら探すより自分で作ってしまえばいいんじゃないか?)

 また無聊椰東湖(オッサン)が口を出してきた。

 自分で作るって(笑)。

(もちろん矢代大地(ガキ)が絵を描いたり監督したりするんじゃない。

 出資して……いやよく考えたら矢代芸能だか矢代映像だかに作らせてしまえばいいじゃないか。

 発注して)

 それ、シャルさんがやってるから(笑)。

 金髪美少女騎士が主人公(ヒロイン)のシリーズがテレビアニメで放映された後、劇場版で公開されている。

 スマホゲームや舞台劇化もしたみたい。

 シャルさん、ひょっとしたらアレが目的で働いているのかも。

 ていうか僕にそんな趣味はないし、そもそも今の目的はアニメを探すことだから。

(判っている。

 からかっただけだ)

 さいですか。

 無聊椰東湖(オッサン)のスイッチを切りたい(怒)。

 僕の怒気にびびったのか無聊椰東湖(オッサン)が静かになったので画面に集中する。

 駄目だ。

 多すぎて絞るどころじゃない。

 それに僕、アニメの内容知らないじゃないか!

 いや知っているアニメもあるけどそれは観たくないし。

 そうか。

 僕はタブレットに向かって言った。

「碧さん」

『はい!

 ダイチさんの秘書の碧です』

 一瞬でタブレットの画面がCG美少女に変わった。

 やっぱり。

「居るんなら言ってよ」

『碧はダイチさんの要請で出来るだけ顕現しないことになっています』

 何だよその「顕現」って。

 まあいいや。

「判っているだろうけどアニメ探しを手伝って……絞ってくれない?」

『了解であります!』

 敬礼するCG美少女。

 まあ、これくらいふざけている方が気が楽かもしれない。

 変に真面目だと疲れるものね。

「それじゃあ条件は」

 僕が適当に並べると碧さんはフンフン言いながら聞いていて、話し終わった瞬間に画面が変わった。

『条件に合うのはこの4つです』

 早すぎる!

 AIと人間を比べても仕方がないけど。

『サムネをタップするとPV動画が流れます』

「判った。

 ありがとう」

『どういたしまして。

 ダイチさんの秘書の碧でした!』

 タブレットの画面の隅の方に映っていた碧さんが敬礼して消えた。

 疲れる(泣)。

「相変わらず有能ですね。

 少々元気が良すぎますが」

 隣の比和さんが苦笑した。

「もう慣れたけどね。

 僕はトロいから碧さんはあれくらいでいいんだよ」

「ダイチ様はお優しいですね。

 私は無理です」

 うーん。

 比和さんの秘書(ガイドシステム)は外見も口調も比和さんそっくりの凜々しい美女だもんね。

 最初は美少女だったんだけど、いつの間にか成長していたりして。

 CGも育つの?

 まあいいけど。

 さて。

 候補が4つなら簡単だ。

「これにしたいけど、いい?」

 比和さんと信楽さんに聞いてみる。

 二人とも席を立って両側から覗き込んできた。

 言い忘れていたけど、この劇場室(シアタールーム)の席って旅客機のビジネスシート並に豪華だ。

 席を立たないと隣に近寄れない。

 そこがいいんだけど。

 映画鑑賞中に何かあったらヤバいから(泣)。

「私ぃは観たいですぅ」

「ダイチ様のお好みなら何でも」

 まあ判っていたけど。

「じゃあこれで行くから」

 僕は目的のタイトルをタップした。

 途端に明るくなるスクリーン。

 反応が早いな。

 比和さんと信楽さんが席に戻る間もなく映画が始まった。

 僕が選んだのはオリジナルアニメだ。

 原作はラノベでミステリ仕立ての侵略もの。

 主人公は社会人で、ある日同僚の美女と一緒に不可解な事態に巻き込まれる。

 その途中で知り合った謎めいた天才美少女を加えた3人で日常の綻びや違和感を調べながら次第に真相に迫っていくという。

 僕、原作は読んでないんだよね。

 噂は聞いていたけどストーリーやラストはよく判らない。

 テレビやネットで断片的なビジュアルを観ただけだ。

 でもスマッシュヒットしたらしいから面白いのではないかと。

 ポップコーンを食べつつコークを飲みながら僕は物語(ストーリー)に引き込まれていった。

 次第に明らかになってくる「敵」の正体。

 それと同時に変質していく日常。

 仲間であるはずの美女や天才美少女にも疑いが生まれ、何より主人公本人にも謎が。

 面白い。

 でもこの主人公、ていうか同僚の美女もサラリーマンにしては暇過ぎない?

 いつ仕事してるんだよ。

 僕なんか来る日も来る日もデスクトップPC漬けなのに!

 とてもじゃないけど日中に仕事放り出して駆け回ったり出来ないよ。

 そんな体力もない。

 大体、休日でもないのに無断欠勤して山奥の山荘や湾岸の倉庫街で大立ち回りした挙げ句、翌日平然と出勤して上司に何も言われないって何なの?

 まあ、そういう非日常感もこのアニメのテーマなんだけど。

 でも僕なんか厨二病患者が出る度に世話を押しつけられてドサ回りさせられるんだからね!

 厨二病と関係なく仕事は押し寄せて来るし。

矢代大地(ガキ)の仕事なんざ碧ちゃんに言われるままにデジタル捺印してるだけだろ)

 無聊椰東湖(オッサン)、あんたは判ってない!

 作業自体はチープでも責任というものがあって。

 はっと気がつくと左右から美女と美少女に揺すぶられていた。

「矢代先輩ぃ。

 映画終わったですぅ」

「集中なさっておられるのでは。

 お邪魔しては」

 いや、ご免(泣)。

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