表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/383

69.部屋のムードに全然合ってないよ!

 嫌な事は忘れる事にして、僕はちょっと早いけど食堂に行った。

 またあの無駄に広い大テーブルを使うのかと思ったけど案内されたのは小部屋だった。

 高級なレストランなんかにある個室という奴ね。

 重厚なテーブルに豪華な椅子が4つ。

 少人数での会食用か。

「少々お待ち下さい」

 ウェイトレスさんが席を引いてくれた。

 胡堂くんだった。

「どこにでも出てくるんだね」

「しょうがないだろう。

 矢代と女を二人きりに出来ないんだから。

 かといって護衛兵を連れてくるわけにもいかないし」

 なるほど。

 今、矢代邸(ここ)には比和さんがいるんだよ。

 メイドさんたちにとってみたら大首領が見ているようなもんだからね。

 ピリピリしても仕方がない。

「胡堂くんがウェイトレスやってくれるの?」

「いや。

 俺は代役(ピンチヒッター)だ。

 信楽様か比和様が来たら引っ込む」

 胡堂くんから見たら信楽さんと比和さんは「様」付け対象なのか。

 まあ、両方とも矢代興業の役員だもんね。

 普通の社員から見たら雲の上の人だし。

 でもだったらどうして同じ役員の僕にはタメ口なの?

「矢代はそれでいいんだ」

 よくないけどしょうがない。

 スルーすることにする。

 ウェイトレスさん(胡堂くん)はナプキンや水のグラスなどをセットすると消えた。

 仕事はきちんとやるんだよね。

 多分、会社員(サラリーマン)というか人間としては優秀なんだろうな。

 外見が美少女でさえなかったらバリバリ仕事して出世しているかもしれない。

 でも見た目も雰囲気(ムード)も女の子。

 何か厨二病そのものという気がする。

(違うだろう。

 だが葛藤はあるはずだ)

 無聊椰東湖(オッサン)がしみじみと言った。

 どういうこと?

(俺の見たところ、胡堂とやらは生粋の真面目人間だ。

 普通、あの容姿で男だったら露骨に歪むはずだが、そんなこともなさそうだからな)

 なるほど。

 真面目というよりは強靱なのかもしれない。

 あれだけの美少女っぷりだったらユーチューバーだろうがコスプレイヤーだろうが、いくらでも稼げる道はあるだろうに。

 でも男だ(泣)。

 しかもトランスジェンダーというわけでもない。

 なのにちゃんと? 仕事しているんだから凄いよね。

(まあ、矢代大地(ガキ)が及ぶ世界じゃ無いよな。

 というよりは近寄らん方がいい)

 でも胡堂くんの方から近寄ってくるんだよ(泣)。

 気にしないようにするしかないなあ。

「お待たせして申し訳ありません。

 ダイチ様」

 ウェイトレスさんに案内されて比和さんが入って来た。

 ラフな格好だ。

 ゆったりとしたワンピースに小さなバッグを持っているだけ。

 服にポケットがないからバッグが必要なのか。

 足元はスリッパだ。

「僕も来た所だから。

 もっとゆっくりでも良かったのに」

「そんなわけには参りません。

 ダイチ様」

 僕の向かい側に座って微笑む黒髪巨乳の美女。

 洗い髪がまだ少し濡れていて匂うようだ。

 このままグラビア撮影とかいけるんじゃないの?

 周り中が美女や美少女なもんでつい忘れているけど比和さんも相当な美形なんだよね。

 でも普段は姿形の前に強烈な個性というか圧力を発散していて目立たない。

 王者の威風って奴?

 矢代興業役員は伊達じゃない。

 配下企業を含めると部下はもう5桁いっているんじゃないかな。

 でも今の比和さんは退社後のOLみたいだった。

 気を抜いている。

 これって結構レアかも。

 その証拠に比和さんの後ろに控えているウェイトレスさんが目を丸くしていた。

 止めといた方がいいよ?

「……失礼します」

 ウェイトレスさんがちょっと足をもつれさせながら去ると比和さんは一瞬経営者の顔を見せた。

「あの者たちはちゃんと仕事していたでしょうか。

 何分、この矢代邸に慣れていないようなので」

 心配です、ダイチ様に失礼があったのではないかとと呟く比和さん。

 こんな所で査定?

「ちゃんとやってくれてたよ。

 一流ホテルのメイドさん並に」

「だったらよろしいのですが」

 怖い怖い。

 うっかり何か言ったら誰かの首が飛びそうだ。

 比和さんってもう、そういう世界で生きているんだよなあ。

 ていうか前世もそうだったみたいだけど。

 地球(こっち)は命のやり取りがない分、まだ楽なのかもしれない。

 そういう妄想(設定)でみんな動いているんだよね。

 信楽さんなんかむしろ穏健派かも。

 あの人はずっと日本で中学生やってたみたいだし。

 でも前世で何度も死んだそうだしな。

 考えるのはよそう。

「遅れたですぅ」

 信楽さんが来た。

「僕らも来たばかりだから」

「もっとゆっくりされてもよろしかったですのに」

 比和さん、ちょっと私情が混じってない?

 信楽さんも私服? で帰宅後の女子高生みたいだった。

 シンプルなシャツに木綿のスカートか。

 部屋の豪華さに合ってないけど、そんなことを言い出したら僕もだしね。

 さすがにトレーナーとかは無理なのでハーフパンツにサマーセーターだ。

 だって足元がスリッパだし。

 自分の部屋でゲームとかやるには最適。

 いや、食事の後映画観るから。

 ウェイトレスさんに椅子を引いて貰って席に着くと信楽さんが言った。

「それではぁ」

「かしこまりました」

 ウェイトレスさんが頭を下げる。

 ここは信楽さんが仕切っているのか。

 比和さんはメイドの(おさ)ではあるけど、この屋敷の業務を請け負った側だからね。

 現場の指揮権は信楽さんにあると。

(そうじゃなくて、単にお嬢ちゃんがお客さんだからだろう。

 メイドさんは仕事しているだけだ)

 だよね。

 さて、何が出てくるのかと思っていたらウェイトレスさん、というよりはもうメイドさんたちが運んできたのは何と鍋だった。

 カセット焜炉がテーブルの上にセットされてお湯が注がれる。

 そしてでかいお皿の上には白い四角形の塊が。

「今日のディナーはぁ湯豆腐ですぅ。

 敢えて外してみましたぁ」

 淡々と言う信楽さん。

 確かに。

 部屋のムードに全然合ってないよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ