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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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67.早いね?

 何か不穏な方向に話が進んでしまったので打ち切ることにする。

 身体も休まったしまた泳ぐか。

 僕はプールに潜ったりクロールで泳いだりした。

 信楽さんは延々と平泳ぎを続けている。

 この人の場合、泳ぎも「作業」という印象(イメージ)なんだよね。

 それで楽しいのか聞いてみたら「楽しい」ということだった。

 いつも多方面の問題を臨機応変に処理しているので、たまにはこういう単純作業が心地よいとか。

 やっぱ作業だった!

 まあ本人が楽しいんならいいけど。

 30分くらい泳いだらもういいやという気分になったので切り上げる。

 信楽さんは「20往復したですぅ」とか言いながらプールから上がった。

 よく体力が続くね?

「実はぁ自分の部屋でぇちょっと体操してるですぅ」

「そんなことしてたんだ」

「矢代先輩にぃ無理するなと言われましたのでぇ。

 ならば普段のお仕事がぁ無理じゃなくなるまで体力をつけようとぉ」

 斜め上の解決策だった!

 確かに体力がつけばその分無理しないで働けるけど。

 ていうか無理になるまでの耐久力が上がるというか。

 それにしても信楽さん、いつの間にか体育少女になっていたらしい。

 体形とか雰囲気(ムード)が全然変わってないから気がつかなかった。

「その点はぁ一番気をつけましたぁ。

 体脂肪を筋肉に置き換えたのでぇ体形もぉ体重もぉ変化してないですぅ」

 いやそれはおかしいんじゃない?

 体重が同じならむしろ痩せると思うけど。

 まあいいや。

 僕の周りは厨二病のせいで物理法則を無視したり変な状態なのに正常だったりする例で溢れているからね。

 いちいち気にしていたらやっていられない。

 メイドさんに切り上げる旨を告げると「かしこまりました」と返された。

 召使い(サーヴァント)化してる?

 このままでは駄目になりそうだけど、どうしようもない。

「慣れますぅ」

 信楽さんが疲れたようにボソッと呟いた。

 まあ、四六時中メイドさんにつきまとわれているからね。

 とっくに貴族令嬢化していたか。

 僕?

 貴族令息なんかぞっとする。

「違いますぅ。

 矢代先輩はぁ貴族家当主ですぅ」

 サトリの信楽さんに言われてしまった。

 信楽さんと別れて更衣室に入ると無聊椰東湖(オッサン)が言ってきた。

(確かにな。

 今の矢代大地(ガキ)は貴族そのものだ。

 自分の手を汚さずに贅沢を)

 してないって!

 いやそれはもちろん豪邸に住んで使用人とかいるみたいだけど。

(貴族だろ。

 もっとも領地はないから法衣貴族という奴か。

 だが王政府とかに仕えているわけじゃないからな)

 ラノベに出てくる法衣貴族って何やってるのかよく判らないもんね。

 普通の貴族だと領地の管理とかしているみたいだけど。

(それも違う。

 貴族は自分で土地や領民を管理したりしないぞ。

 全部配下にやらせて報告を受けるだけだ)

 無聊椰東湖(オッサン)、何か変に饒舌じゃない?

 言葉に棘があるし。

(当たり前だ!

 自分がどれだけ恵まれているのか気づかんのか。

 大学出たてで豪邸に住んでメイドがいるんだぞ)

 そういえぱそうか。

 僕、大学出たばかりなんだよね。

 まだ3月だから普通の新卒社員なら入社してないけど。

 今頃はアパートに引っ越したり出社の準備したり忙しいはずだ。

 でも。

 僕、高校時代から働いてきた気がするんですが(泣)。

(そんなもんは普通の学生でもやっている。

 バイト三昧な人も多いはずだ)

 そんなこと言われてもね。

 もういいよ。

 脳内での罵倒を無視して黙々と着替える。

 屋内プールの出口で信楽さんと落ち合って、さて。

「これからどうする?

 まだ夕食には早いし」

「まったりするですぅ」

 確かに。

 泳いだせいで疲れているし、ここは休憩だな。

 というわけで居間(リビング)に移動。

 僕たちの部屋じゃなくて公共? のスペースだ。

 高級なクラブ臭が凄いけど大画面液晶テレビとかもあってかろうじて居間(リビング)だと思える部屋だ。

 僕たちはソファーにゆったり落ち着いて雑談することにした。

 その前にこれからの予定を確認する。

「夕食が済んだら映画だったっけ」

「はいですぅ。

 ポップコーンが楽しみですぅ」

 食い過ぎないようにしよう。

「他のみんなはどうかな」

「相沢先輩はぁ明日からのツアーの準備で来られないそうですぅ。

 あと比和先輩はぁ仕事が詰まっているとぉ連絡が入ってますぅ。

 でも絶対帰ってくるとぉ」

 なら待ってるしかない。

(エン)さんや静村さんは?」

「未定ですぅ。

 というよりはぁ連絡がないですぅ。

 あのお二人はぁ自由(フリー)なのでぇ」

 別に自由形しか泳がないんじゃなくて、どう動くか予測出来ないということだろうな。

 それぞれ別の理由で。

 (エン)さんは末長家の公務? に縛られてるからなあ。

「そういえばパティちゃんは?」

「シャーロット先輩にぃ捕まったみたいですぅ。

 今日はぁ帰れないとぉ」

 気の毒に。

 パティちゃんってまだ年齢的には中学生なんだけど矢代グループ内である意味(かなめ)の位置にいるんだよ。

 ロンズデール家のお嬢様で御大やグループ企業に顔が利くし、宇宙人の代表たるロンズデール姉妹の妹でもある。

 メイドの総帥たる比和さんの直弟子でエンタメ事業を仕切るシャルさんが名目上の保護者。

 静村さんたち依代(神様)魔王(ぬらりひょん)とも親しい。

 そして何より信楽さん(支配者)の助手であり副官だもんね。

 凄いコネだ。

 そしてその全てが(おおやけ)になってないというか裏の繋がりだったりして。

 さすがは精神生命体(ヴァイトン)

 関係ないか(笑)。

「だとすると僕たちは比和さん待ちかな」

「はいですぅ。

 帰ってくるまではぁ映画を観ていればいいですぅ」

 比和さんの事だから超特急で仕事を終わらせて戻ってきそうな気がする。

 僕と信楽さんが二人でビリヤードやったりプールで泳いだりした事を知ったら絶対に同じ事をしたがるもんね。

 まあそれは後日ということでいいけど、問題はいつ頃戻るかだなあ。

 下手したら徹夜で待機とかになったりして。

 まあいいか。

 そう思った瞬間、居間(リビング)に誰かが駆け込んできた。

「ダイチ様!

 ただ今戻りました!」

 早いね?

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