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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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66.そこか!

 信楽さんと並んでビーチチェアに寝そべるとメイドさんが注文を取りに来た。

 胡堂くんじゃない本物(メイドさん)だ。

 やっぱり水着だけど(泣)。

 美人のメイドさんたちが水着になるってラノベにしてもあざとすぎるのでは。

 務めて気にしないふりをする。

「何があるの?」

 聞いたらメニューを差し出された。

 トロピカルドリンクしかないよね?

 幸いにして天窓から見える空は快晴で日光も差し込んでいる。

 屋内温水プールでも不自然じゃないか。

「じゃあこれで」

「私ぃも同じのをお願いしますぅ」

「かしこまりました」

 ひょっとしてハート型のストローとか一つのグラスに2本とか来るんじゃないかと恐れていたけどそんなことはなかった。

 でも派手な原色でフルーツが刺してあるドリンクって(泣)。

「仕方がないですぅ。

 こんな所で珈琲とか無理ですぅ」

 だよね。

 メイドさんたちは姿を消していた。

 どっか目に付かない所で待機してくれているんだろう。

 何もやることがないので信楽さんと適当に会話する。

 こういう機会はあんまりないから話が弾んでしまった。

「こうやって二人だけで話すのって久しぶりだよね」

「はいですぅ。

 前回のぉデート以来ですぅ」

 矢代家で開かれるパーティの目玉(イベント)であるプレゼント交換会は去年まで続いていた。

 そのうちにみんな忙しくなったり矢代家から出ていったりして自然消滅したんだけどね。

 でもみんなで一緒に住んでいた頃は誰かの誕生日とか理由があれば開いていた。

 もちろんお祝い目的なんだけど本命はプレゼント交換だ。

 僕はそのプレゼントを自分で用意したことがない。

 毎回プラチナチケットと称するデート券が勝手に用意されていたんだよ。

 パーティの終わりにじゃんけん大会をやって勝者? がそれを手にする。

 実際にはもっと複雑だけど似たようなものだ。

 チケットを手にした人は僕と丸一日デート出来る。

 もっともお互いの休日が合う時まで待たされるけど。

 そういうわけで僕は2ケ月に一度くらいのペースでデートしていた。

 でもねえ。

 僕たちの場合、駅前で待ち合わせて水族館に、というようなわけにはいかない。

 何せ公共の場に出たら、ただそれだけでパパラッチに追われるような人たちばかりなんだよ。

 実を言えば僕自身もそうだったりして(泣)。

 だから大抵は人里離れた場所でとか、何かの施設を借り切ってとかになってしまう。

 でも周り中に隠れた護衛兵がいたりして。

「ああ、信楽さん。

 前のデートの時はご免」

 思い出してしまった。

 信楽さんがデート券を当てて、さてどこに行こうかと考えたんだけど適当な場所を思いつかなくて。

 そもそも信楽さんが動くのは大変なんだよね。

 常に狙われているから。

 どこに行くにも護衛の一個小隊がついてくるし、その他にも近接護衛として秘書タイプのメイドさんが張り付くことになる。

 ずっと前の相沢さんの時みたいに離島に行って海水浴もいいけど冬だった。

 日帰りでハワイやフィリピン辺りにというのはちょっと。

 なので結局、宝神の構内で散策みたいなことになってしまったっけ。

 それは別に悪くはないんだけど、視界の隅に宝神構内にいる学生さんたち(パパラッチ)や常に完全武装の護衛隊がちらついていてイライラした。

 それでも宝神構内だからその程度で済んだと神薙さんに言われたっけ。

 まあ変装でもすれば遊園地くらいにはいけるかもしれないけど、それじゃあまり面白くないよね。

 やっぱり周り中に護衛がいるだろうし。

 あ、そうか。

「信楽さん、ひょっとしてこの矢代邸って一日中デート出来るようになってる?」

 聞いてみたら信楽さんが紅くなった。

 図星か。

「私だけのためじゃないですぅ。

 皆さんにも使って貰えばとぉ」

「うん、それは判る。

 よく考えたらここの設備ってリゾートホテル並だもんね」

「はいですぅ。

 この中でぇ一応何でも出来るようにしたですぅ」

 発想というかスケールが違うな。

 自分ちの中にリゾートホテルを作ってしまうってどこの大富豪だよ。

(大富豪だろ)

 そうでした(泣)。

 ひょっとしたら僕の個人資産でもこの矢代邸くらいは作れたりして。

 信楽さんの場合はもっと簡単だ。

 矢代興業の資金力は無限だからね。

 私物化?

 別にいいけど。

「まあ、リゾートにしては海岸とか山とかがないけどね。

 雄大な景色やカジノもないし」

「そういう拠点も作りますぅ。

 いずれはぁ矢代グループのぉリゾートネットワークに組み込む予定ですぅ」

 さいですか。

 僕が第三者だったらそんな話は頭のネジが飛んでいるとしか思わないだろうけど、僕は信楽さんを知っている。

 本気だ。

 やれてしまうんだよなあこの美少女(チート)は。

 もっとも信楽さんの場合、何かやるときの目的がひとつという事はない。

 この矢代邸もリゾートホテルであると同時に決戦用要塞でもあるんだろうな。

 他にも何かあるのかも知れない。

 ヘリポートはともかく緊急脱出用の設備をリゾートホテルに作ってどうする(笑)。

「だったら今日は信楽さんとのデートだね」

 つい言ってしまった。

「違いますぅ。

 私ぃはそんなつもりではぁ」

「いいんじゃない?

 まあ、デートと言ってしまったら他の人たちが怖いから休暇ということにしようか」

 比和さん辺りに知られたら絶対に同じ事を強要されるだろうな。

 比和さん流にアレンジして。

 一日中メイド服でご奉仕されるとか。

 それはいいというかむしろ嬉しいんだけど、そんなことになったら他のメンバーが黙ってるはずがない。

 あれ?

「そういえば矢代家のパーティって結構長い間開いてないね」

 静村さんや相沢さんがブレイクしたり(エン)さんが本家に戻ったりしていつの間にか集まらなくなったんだよね。

「はいですぅ。

 同居という言い訳がぁ出来なくなってぇ」

「そうだった」

 身内でのパーティという名目というか言い訳だったんだけど理由がなくなってしまったらしい。

 一緒に住んでない人でもいいんだったら参加したがる人が大量に出てくるのは間違いない。

 高巣さん(王女様)とか晶さん(将軍様)とか。

「これからは一応、みんなでここに住むんだからパーティも出来るようにならないかな」

「それはそうなのですがぁ」

 意外にも信楽さんが渋った。

 積極的に賛成するかと思ったのに何で?

「部屋数にはぁ余裕がありますぅ。

 我も我もとぉ押し入ってくる人たちがいそうですぅ」

 そこか!

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