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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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65.許すって何を?

 天才の信楽さんだからといって何でも出来るというわけではない。

 ビリヤードは相応に下手だった。

 理論は判っても実際にそれが出来るかどうかは別の問題だもんね。

「難しいですぅ」

「焦ることないよ。

 仕事で煮詰まった時の気分転換にいいと思う。

 もっともビリヤードも結構頭使うけどね」

 プロの競技選手は一試合だけでも物凄いエネルギーを消耗するらしい。

 打つ度に瞬時に膨大な計算をしなければならないし、ゲームが終わらない限りそれがずっと続くんだよ。

 ある意味、信楽さんにぴったり?

「頭の使い方がぁ仕事と違う気がしますぅ。

 それにぃ立ちっぱなしなので身体も動かせますぅ。

 いい運動にぃなりそうですぅ。

 こんなにぃ面白いゲームがあったなんてぇ知らなかったですぅ」

 信楽さんはこれまでの百回近くの中学生生活(前世)で一度もビリヤードをやったことがなかったそうだ。

 まあ、普通の女子中学生はビリヤードなんか知らないよね。

 それに信楽さんの場合、天才で不思議ちゃんだったせいで友達がいなかった。

 つまり一緒にゲームしたりする人も皆無だったわけで。

 まるで僕のようだ(泣)。

 知るのが遅れた分、信楽さんはビリヤードに夢中になってしまった。

 メイドさんが呼びに来た時なんか残念そうだったりして。

「今日はこれくらいにしておこうよ。

 これからもあるし」

「はいですぅ。

 出来るだけ早くまたビリヤードしたいですぅ」

 これはまずったかも。

 猫にマタタビを与えてしまった。

 まあいいか。

 キューを棚に戻してから僕たちはメイドさんの案内で屋内プールに向かった。

 後始末は管理の人がやってくれるそうだ。

 益々ホテル感が増しているなあ。

 歩きながら会話する。

「そういえば水着とかは?」

「用意されているはずですぅ。

 備品なのでぇ」

 水着って備品だったのか(笑)。

 僕は別に水着にコダワリはないけど女の子たちは好みとかあるんじゃない?

 少なくとも信楽さんに関しては杞憂だった。

 屋内プール区画に入るとメイドさんが控え室に案内してくれた。

 そこで水着を選ばされた。

 僕はどうでもいいので適当に選んだんだけど、着替えてプールに行くと同時に信楽さんも現れた。

 スクール水着で(泣)。

 いや、似合ってるよ?

 別におかしくもない。

 紺色のワンピース水着である事には違いがないんだし。

「私ぃは水着というとぉこれしか知らないですぅ。

 ビキニなんかご免ですぅ」

 信楽さんはお冠だった。

 聞いてみたら用意されていたのが布面積が極小のビキニやハイレグ、あるいはフリル付きで原色の派手なものばかりだったそうだ。

 かろうじて容認出来るのがスクール水着だったと。

「何か勘違いしてるですぅ。

 水着はぁ男の気を引く道具じゃないですぅ」

 信楽さんはプリプリしていたけど矢代ホームサービスは勘違いしてないと思う。

 それに信楽さんが着ているスクール水着もある意味、(ヲタク)の気を引くためのアイテムと言えなくもないわけで。

 怖いから言わないけど。

 とにかく僕たちは律儀に準備体操をやってからプールに入った。

 まずは平泳ぎで一往復してみる。

 15メートルコースだからあっという間だ。

 水泳は得意でも苦手でもないんだよね。

 つまり人並みには泳げる。

 意外と言っては何だけど信楽さんも普通だった。

 淡々と平泳ぎで泳ぎ続けている。

 水遊びというよりは日課の練習のようだ。

 しばらく泳いでから上がって並んでいるビーチチェアに寝そべるとメイドさんがバスタオルを渡してくれた。

 メイドさんも水着なんだ。

 やっぱりワンピースタイプだけど。

 胸がないなあ。

 って、胡堂くん?!

「どうかしましたか」

 抑揚の無い声で聞いてくる胡堂くん。

 胸がない以外は露骨に美少女なんだけど。

「どうしたも何も。

 胡堂くんが何で?」

 うんざりしたような口調で応える胡堂くん。

「俺は矢代の近接護衛だぞ。

 プールみたいな危ない場所でついてないわけがないだろう」

 美少女の口から低い声でそういう事を言われてもね。

 ふと気づくと僕の近くには誰もいなかった。

 メイドさんたちは近寄ってこないみたい。

 そんなに比和さんが怖いのか(泣)。

「自分ちの屋内プールで危ないとかないと思うけど」

「足が攣って溺れたり濡れた床で転倒する可能性がある。

 全裸の暗殺者が襲ってくるかもしれないだろう」

 ないよ!

 まあいいや。

「それにしても何でワンピースなの?」

「……俺だって海パン履きたかったさ!」

 突然胡堂くんが激昂した。

「だが奴等(メイド)が背徳的だとか言いやがって。

 男が胸出して何がおかしい!」

 うーん。

 まあ、胡堂くんが言う方が正論だけど。

「何か言いたいのか」

「メイドさんたちの気持ちも判らなくもないかな、と」

「矢代、お前もか!」

 胡堂くんはブルータスに裏切られたシーザーみたいな口調で言うとプイと顔を背けた。

 でもねえ。

 胡堂くんって綺麗過ぎるんだよ。

 顔もそうだけど身体も露骨に女性的だ。

 筋肉ゴツゴツじゃないし、すらっとしてあちこちが丸みを帯びていたりして。

 胸は平らなんだけど、そういう女の人って別に珍しくないからね。

 結論として胡堂くんが海パンを履くと何か特殊な趣味層向けのAV(アダルトビデオ)の女優さんみたいに見えてしまいかねない。

 想像だけど。

 ひょっとしたら人気が出るかも。

「矢代先輩ぃ」

 助けが来てくれた。

 信楽さんを見た胡堂くんは頭を下げてから無言で離れる。

 やっぱ怖いのか。

「今のはぁ胡堂先輩ですかぁ」

「うん。

 メイドさんたちにワンピース着せられたみたい」

 すると信楽さんは深い溜息をついた。

「しょうがないですぅ。

 でもぉ胡堂先輩はぁ有能ですぅ。

 許してあげて欲しいですぅ」

 許すって何を?

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