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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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61.違うわ!

 ちょっと考えて諦めた。

 胡堂くんはご免だけどメイドさんが近寄って来ない以上、後は男しかいない。

 ムキムキとか髭もじゃとかの男に世話されるなんて死んでも嫌だ。

 だったらまだ外見が美少女の胡堂くんの方がマシ?

 あの口調はアレだけど。

「どうしても嫌ならぁ」

「いや、しょうがないからいいよ。

 それに僕、あまりつきっきりでお世話される気はないし」

 そうなんだよ。

 よく考えたら僕は別に貴族の御曹司とかじゃない。

 自分の事は自分でやるのが当たり前の庶民だから本当言えばお世話係なんかいらないくらいだ。

 そう言ったら断られた。

「近接護衛はぁ必要ですぅ。

 基本的にはぁ矢代家の誰かがぁ一緒にいれば大丈夫なのですがぁ」

「まあ、そうもいかないよね。

 みんな女の子だし」

「はいですぅ。

 例えばぉお風呂はまだ無理ですぅ」

 「まだ」って言ったよね?

 やっぱ将来的にはハーレム展開なの?

 うーん。

 僕、もう22歳なんだけど。

 ラノベの登場人物(キャラ)としては歳食いすぎてない?

 もっとも最近のラノベはおじさんが主人公(ヒーロー)の話も多いからなあ。

 サラリーマンが女子高生拾ったり。

 デスマーチの最中のサラリーマンが異世界転移したり。

 でも大学出たての(ガキ)が現実世界でハーレム作るとかいう日常系はさすがにない気がする。

「とりあえずぅよろしくですぅ」

 信楽さんが意味不明な事を言ったけどスルーしておく。

 さて。

「これからどうするの?」

 聞いてみた。

接触(コンタクト)待ちですぅ」

「その、謎の相手からの?」

「はいですぅ。

 矢代先輩とぉ私ぃは休暇中ですぅ。

 なのでぇ矢代邸(ここ)に籠もってぇ休暇を満喫しますぅ」

「そういう建前で引きこもると」

「休暇も本当ですぅ。

 この際ぃ、遊ぶですぅ」

 なるほど。

 仕事の虫(ワークホリック)である信楽さんもそういう口実で休むと。

 もっとも信楽さんの場合、矢代邸(ここ)に閉じこもっていても働けるんだけどね。

 元々あまり人と会ったりする仕事はしてないからネット経由で会議したり事業運営したりは普通に可能だ。

 僕も。

 僕の場合は何もしてないんだけど(泣)。

 今の僕の仕事って宝神総合大学心理歴史学講座の教授がメインなんだよね。

 矢代財団の理事長は定期的に開かれる理事会に出席しているだけだし、それは矢代興業の取締役会も同じ。

 両方ともテレビ会議に出るだけだから矢代邸(ここ)から外出する必要もない。

 宝神の来年度新学期が始まったら心理歴史学講座の開講とかで行く必要があるけど、まだ数週間は先だ。

 その時までに決着がつけばいいけど。

「いつまでやるの?」

「解決するまでですぅ。

 一年でも二年でもぉ引きこもりますぅ」

 淡々と言い放つ信楽さん。

 やっぱり本土決戦か。

 よし判った。

 だったら僕も引きこもろうじゃないの。

「納得した。

 なら仕事しようか」

「はいですぅ」

 結論はそれだった。

 一日中遊んでいるわけにもいかないからね。

 休暇っていうのは終わりがあるから休暇だ。

 いつ終わるか判らないんだったらそれはもう日常なんだよ。

 だったら仕事しないと。

 信楽さんも仕事を完全に投げ出すわけじゃないだろう。

 僕だってやろうと思えば仕事自体はいくらでもある。

 増して環境が整っているんだもんね。

 僕は信楽さんと別れて自分の部屋に戻った。

 居間(リビング)で一息入れた後、ラフな格好に着替えて寝室の隣の部屋に入る。

 そこは仕事部屋になっていた。

 矢代ホームサービスっていい仕事するなあ。

 矢代家にあった僕の部屋の設備が完璧に移動してきていて、それ以外にも色々と増えている。

 例えばPC机の上にあるディスプレイは高精度大画面(ゲーミング)用に変わっていた。

 今までのディスプレイも結構なものだったけどスペースの関係であんまり大きなものは持ち込めなかったんだよね。

 PC机自体も随分大きくて高級そうなものになっていた。

 椅子に座ってPCの電源を入れる。

 パソコン自体は変わってないな。

 元々最高級品だし。

 振り返ってみたらレーザープリンタやスキャナ兼用のコピー機もあった。

 備品や消耗品が入っているらしい戸棚(ロッカー)も。

 どこのSOHO(Small Office/Home Office)だよ!

 まあいいけど。

 ちょっとネットサーフィンしてから思いついて部屋の隅に置いてある小型の冷蔵庫を開けて見たらペットボトルが満載だった。

 アイスコーヒーとかコークなんかがメインで僕の趣味を熟知している人が用意したらしい。

 やっぱ仕事させる気じゃん!

 戸棚を探すと僕のタブレットがあったので宝神のサーバにアクセスしてみたらあっさり繋がった。

 どうも矢代邸(ここ)はネットワーク的には宝神の構内と見做されているらしい。

 つまり理事長室にいるのと同じレベルで仕事が出来ると。

 うーん。

 僕、マジで引きこもってしまいそう(笑)。

 それから僕は「仕事」した。

 メールやメッセージ、通知のたぐいを何処にでも出てくる碧さんに手伝って貰って処理する。

 サインが必要な書類? にデジタル署名して決裁。

 判子なんかとっくに廃止してます(笑)。

 そもそも宝神はもちろん矢代興業も随分昔から積極的にテレワークを推進してきたからね。

 メイドさんや警備なんかのお仕事は別にして、事務部門はほぼテレワーク化してしまっている。

 矢代興業の碧さんたちガイドシステムネットワークは業界内での最先端業務ツールとして経済誌で何度も特集が組まれているほどなんだよ。

 もちろん碧さんたちの真の性能は伏せたままなんだけど、それでも広域業務支援システムとしての評価はぶっちぎりで高い。

 そのことで加原くんの所(技術部門)が物凄い引き抜き攻勢に遭ったという話も聞いている。

 幹部技術者が高額報酬に釣られて何人も去ったそうだ。

 でも本当の幹部技術者は全員が厨二病(前世持ち)だからね。

 その人たちは誰一人として引き抜きに応じなかった。

 それはそうだよ。

 厨二病患者(前世持ち)が矢代興業を離れて生きていけるわけがない。

 厨二病に魂を売り渡した後だ。

(やっぱり悪の組織か)

 違うわ!

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