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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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50.ややこしい事をするんじゃない!

 気持ちがいい寝覚めだった。

 寝心地が最高なんだよ。

 矢代家の僕のベッドも高級品だけど格が違う気がする。

 マットレスのスプリングとか工夫されているんだろうな。

 ベッドから降りてカーテンを開けると快晴だった。

 でもまだ朝早いみたい。

 スマホを見たら午前6時前。

 短期間だけどぐっすり眠ったから調子がいいのかも。

 昨日は心身共に疲れ果てたからなあ。

 宝神を卒業したと思ったら僕のお見合いの話を聞かされて。

 その後の懇親会と陰謀の話に続いてカラオケ大会、そして新居に連れてこられたかと思ったら要塞で。

 そして夕食後にまたカラオケ。

 これが酷くて結局僕はみんなとデュエットさせられたし。

 まあそれはいいんだけど、何やら女の戦いみたいなものを見せられたもんね。

 関わり合いになりたくないなあ。

(無理だ)

 判ってるよ!

 朝早くから無聊椰東湖(オッサン)のツッコミがあって気が削がれてしまった。

 でもたった一日でメチャクチャ色々あったような。

 ていうか僕、なし崩し的に引っ越してない?

 寝間着(トレーナー)のまま寝室を出て居間(リビング)と称する広大な空間に行く。

 カウンターのそばの戸棚から電気ポッドを出して水を入れ、お湯を沸かしながら朝の珈琲の準備をする。

 ビジネスホテルなんかに置いてある一人用の珈琲煎れパックがあるんだよね。

 さすがに本格的なコーヒーメーカーには敵わないけどかなり美味しい珈琲だ。

 まあ、僕も豆からゴリゴリ削るほどの珈琲通じゃないから別にいいんだけど。

 お湯が沸くまで間、トイレに行ってから思いついて寝室の隣のドアを開けてみた。

 やっぱり。

 僕のデスクトツプPCが設置されているよ!

 それどころか宝神のタブレットまで置いてある。

 洗いざらい持ってきたみたい。

 いや、でもないか。

 デジタル関係の備品は揃っているけど小物はなかった。

 例えば僕専用のコーヒーメーカーとか。

 そういうのは僕が自分で持ってこなきゃならないんだろうな。

 でもデスクトップPCがあるってことはここで仕事したりネットサーフィンしたりは出来るのか。

 まあいいや。

 とりあえず居間(リビング)に戻って珈琲をマグカップに煎れてソファーに座る。

 リモコンがあったので点けてみたら壁に掛かっている巨大な液晶テレビが明るくなった。

 画面が精密だから4Kだろうな。

 こんなのは僕の部屋にはなかったからこの部屋の備品だろうね。

(この部屋のじゃなくて矢代大地(ガキ)所有物(もの)だろう。

 矢代大地(ガキ)はこの屋敷の所有者(オーナー)だからな)

 思い出させないでよ!

 テレビをザッピングしてみたけど特に目新しいニュースはなかった。

 スマホを忘れた事に気がついて寝室に取りに行こうとしたらいきなり声がした。

『お早うございます、大地さん。

 ただいまの時刻は午前6時23分です』

 どこから?

 監視されてる?

 ていうか。

「碧さんなの?」

『大地さんの専任秘書の碧です。

 スマートスピーカーで話しています』

 どこからともなく響いてくる声。

 聞き慣れているけど不気味だ。

「スピーカーってこの部屋の?」

『正確に言えば矢代邸全体に張り巡らされた対人用音声応答機構(コミュニケーター)です。

 警戒警報システムを兼ねています。

 碧はこれを使用出来ます』

 何それ?

 つまり屋敷全体が碧さんの監視下にあるってこと?

『違います。

 覗き(デバガメ)ではありません。

 決して大地さんの寝姿を一晩中記録していたようなことは』

 それやってるよね(怒)?

 ということはスピーカーやマイクだけじゃなくて監視カメラもあると見た。

 スマホいらないじゃん!

『はい。

 矢代邸の中ならどこにいても普通に話していただければ』

 とんでもない話だった(泣)。

 矢代警備の変態的な技術力はここまで来ているのか。

 ていうかむしろ技術的には可能でも普通はそんな事、お金かけてまでやらないよね。

 でも矢代興業はやってしまうんだろう。

 お金なんかいくらでも沸いてくるから。

 未来人(あいつら)、何てことをしてくれたんだ!(逆恨み)

 まあいいか。

「どこでもって外でも大丈夫なの?」

『室内だけです。

 庭に出たり外出時はスマホを携帯して下さい。

 ただし非常時にはこちらから外部拡声器(スピーカー)で通知します』

(なるほど。

 プールで遊んでいる時に敵襲があればあっちからコンタクトしてくるわけか)

 無聊椰東湖(オッサン)、納得してるんじゃないよ!

 益々持って僕の家が怖い。

 これじゃあ常時盗聴や監視されているようなもんじゃないか。

「トイレやお風呂にもカメラやマイクがあるの?」

 聞いてしまった。

『共用部分にはあります。

 個人用スペースはマイクとスピーカーだけです』

 あるのかよ!

「プライバシーの侵害でしょうそれ」

『セキュリティの都合上不可欠です。

 ご容赦下さい』

 さいですか。

 今気づいたけど碧さんの口調が他人行儀なんだよね。

 僕が知っている碧さんじゃない?

「君は誰だ?」

 言ってみた。

 アニメなんかで主人公がよく知っている人になりすました誰かに言う台詞だ。

 大抵は見分けがつかないくらいそっくりの姿や口調で話すんだけど主人公は本人とそいつとの微妙なやり取りで気がつくという。

 少し沈黙した後、声が言った。

『さすがは大地さん。

 よく気がつきましたね』

 やっぱしか!

 そんなアニメみたいな事が本当にあるとは(泣)。

『でも残念。

 私は碧ですよ。

 今の口調は矢代邸のセキュリティシステムを通しているからです。

 声は碧ですが』

 こいつ!

 遊んでやがった。

「つまり話しているのはそのセキュリティシステムだけど碧さんが制御していると」

『そうですね。

 音声合成システムは碧のプログラムを使用しています。

 つまりですね。

 碧が元々のスマートシステムの定型応答システムの問答パターンを碧の声で再生しているわけで』

 ややこしい事をするんじゃない!

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