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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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37.なりきってない?

 居間(リビングルーム)に戻って背広を脱ぎながら調べて見たらカウンターに隠れるような場所にドアがあった。

 ソファーテーブルの上に用意されていた普段着に着替えてスマホをポケットに入れる。

 背広(オーダーメード)を畳んでソファーにまとめて置いてから早速ドアを開けてみた。

 何と廊下だった。

 ドアが並んでいてトイレや風呂場みたい。

 突き当たりには洗濯乾燥機やロッカーがある。

 反対側は納戸になっていて、その一部がクローゼットだった。

 ガラガラだったけど。

 僕、あまり服持ってないんだよね。

 ジーパンやカッターシャツくらいで後は冬物の厚手のズボンやコートとか。

 それ全部合わせても衣装棚(クローゼット)の一部しか塞いでない。

『この部屋は汎用型ですので。

 女性用としても使えるようになっています』

 なるほど。

 女の人ならこのスペースでも小さいかもしれない。

 納戸自体はがらんとしていた。

 僕、あんまり物持ちじゃないからなあ。

 まあいいや。

 曇りガラスになっているドアを開けるとそこは洗面所兼脱衣場だった。

 服を脱いで籠に入れてから風呂場に入ると結構広い。

 ユニットバスかと思っていたけど四畳半くらいはありそう。

 お風呂に入っている時間はなさそうだったので手早くシャワーを浴びて風呂場から出る。

 目に付く所にバスタオル類が置いてあった。

 マジでホテルだよね。

 身体を拭いてからバスタオルを肩に掛けて歯を磨く。

 ついでに髭を剃ってみた。

 二十歳頃から何とか人並の男程度には髭が生えるようになったんだよ。

 でも口ひげとか揉上げとかは揃えられそうにもないショボいレベルだ。

 あんまり男性ホルモンが強くないんだろうなあ。

 僕の親父もマッチョというタイプじゃないからしょうがない。

 ていうか僕、別にムキムキとかモジャモジャになりたいわけじゃないから。

 洗濯物用の籠にバスタオルを入れてから居間(リビング)に戻る。

 窓のカーテンが開いたままだった!

 慌ててカーテンを閉めてから服を着る。

 これで準備完了か。

「何か持っていくものとかある?」

 聞いてみた。

『特にありません。

 スマホだけは携帯して下さい』

 碧さんに言われてしまった。

 確かに案内(ナビ)なしでは食堂にたどり着けないどころか遭難しそうだ。

 最後に電灯を消そうとしてスイッチが見当たらないことに気がついた。

 そういえば僕、部屋に入る時に電灯をつけた覚えがないような。

『自動感知でオンオフします。

 音声命令でも可能です』

 さいですか。

 ハイテクだなあ。

 スマートホームって奴?

 もっと進んでいそう。

 まあいいや。

 ドアを開けてから試しに「電灯消して」と言ったら本当に消えた。

 凄い。

「こういうのってコマンド登録とかしないでいいの?」

『大地さんの声で登録済みです。

 大抵の命令には従いますよ』

 怖っ。

 つまり予め僕の声でセットしてあるわけか。

 碧さんというかその元になっている人格情報データベースなら可能だろうな。

 比和さんの秘書(ガイドシステム)も比和さんそっくりの声と口調だったものね。

 音声合成技術もここに極めり。

 碧さんの案内(ナビ)で廊下を進み、階段を昇って右に曲がってちょっと行った所が食堂だった。

 食堂って2階にあるのか。

 ドアを開けて入るとそこはサロンに見えた。

 ゆったりとしてスペースに点在しているソファテーブル。

 いや、ここって食堂じゃないよね?

 奥の方か。

「ダイチ様。

 こちらです」

 比和さんに呼ばれていくと長い大テーブルにずらっと座ったみんなが迎えてくれた。

「大地殿。

 遅いぞ」

「真打ちは遅れて登場するものですよ」

「ここにどうぞ」

 僕が最後だったらしい。

 シャワーなんか浴びちゃったせいか。

 ご免ご免と謝りながら席につく。

 比和さんに誘導された僕の席は上座だった。

 テーブルの一番端でかつ一番奥ね。

 左斜め隣が信楽さんだったけど右斜め隣の席は空いている。

 つまりそこが比和さんの席と。

 肝心の比和さんの姿が見えないけど。

「比和先輩はぁどうしてもメイドをやりたいとぉ」

 さいですか。

 本人がやりたいと言っているんだからしょうがない。

 見回すと矢代家のみんなが思い思いの格好で座っている。

 ふと気がついた。

 この並び順ってひょっとしたら序列?

 僕の左隣は信楽さんだ。

 序列一位。

 確か日本の慣習では左が上なんだよね。

 右が下で。

 だから左大臣が右大臣より偉い。

 比和さんの席は僕の斜め右だから序列二位になる。

 信楽さんの隣は何とパティちゃんだった。

 これって序列三位?

 凄い出世(違)じゃないか!

 比和さんの隣が静村さんで、その隣はなぜか相沢さんだった。

 パティちゃんの隣は空いていて、そこは(エン)さんの席らしい。

 魔王(ぬらりひょん)が下位なのはいい(違)としても神様たちの序列が低すぎない?

「序列じゃないですぅ。

 指令系統順ですぅ」

 信楽さんの台詞に納得。

 実働戦力というか何かあった時の指揮系統順みたいなものらしい。

 信楽さんは当然トップで実戦力になる比和さんがその次か。

 パティちゃんは副司令官というか万一の場合の司令官代理だもんね。

 神様たちや魔王(ぬらりひょん)は居るだけということだ。

 ていうか居るだけで物凄い事になるんだけど(汗)。

「お待たせしました」

 比和さんと(エン)さんがワゴンを押して入って来た。

 比和さんがメイド服なのはいいとしても、(エン)さんはボーイみたいな黒服にエプロン着けてたりして。

 何か異様に似合っている。

 中性的なイケメンがそういう格好すると執事喫茶みたいな雰囲気になるんだよなあ。

 それにしても(エン)さん、魔王(ぬらりひょん)なのにやっぱり下働きか。

 パティちゃんが席を立とうとするのを押さえて比和さんが言った。

「本日は矢代邸にお集まり下さり、ありがとうございました。

 本食の台所(キッチン)を預かる比和でございます。

 つたない料理ではございますが、精一杯おもてなしさせて頂きますのでよろしくお願い致します」

 言い切って頭を下げる比和さん。

 なりきってない?

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