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僕の世界は厨二病 ~厨二病でも真っ当な社会人として生きていきたい。が無理のようです~  作者: 笛伊豆


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32.君は小学生で取ったんだよね?

 比和さんの後ろからパティちゃんが現れて笑って手を振ってくれたけどそれどころじゃない。

 比和さんが犬みたいに僕にひっついてくるので(エン)さんが慌てて席を譲ってくれた。

 ちなみに信楽さんは微動だにしなかった。

 力関係が判るなあ(泣)。

 まあ(エン)さんって比和さんに弱いからね。

 魔王(ぬらりひょん)の癖に妖精(フェアリー)に負けてどうする。

「ダイチ様もお変わりなく」

「うん、それは変わらないけど」

 なぜか自分の胸に手を当てて涙ぐむ比和さん。

 何が起こったんだろう。

「大丈夫ですぅ。

 比和先輩のぉお部屋もありますぅ」

「ありがとうございます!

 信楽さん!」

 信楽さんには判っているみたいだけどさっぱりだ。

 比和さんはそれで安心したのか立ち上がって相沢さんに話しかける。

 二人でカウンターの方に行ってしまった。

 その間に近寄って来たパティちゃんが挨拶してくれた。

「お久しぶりです」

 私服のパティちゃんは美人の女子大生に見えるけど年齢的にはまだ中学生のはずだ。

 日本語も変なところが抜けてネイティヴ並になっている。

 相変わらずチートくさいなあ。

「そうだね。

 一月ぶりくらい?」

 そういえばこのところパティちゃんを見なかった。

 普通なら週に一度くらいは夕食食べに来るのに。

「アメリカに戻ってました。

 向こうで手続きがあって」

「手続き?

 何の?」

「移籍ですぅ。

 パトリシアさんはぁ本国(アメリカ)の私立校に在籍してぇ日本に留学している形になっていたんですがぁ」

「今度、正式に日本(こちら)の学校に転校しました」

 そうなのか。

 ええとパティちゃんは確かアメリカの私立一貫校に在籍していたと思ったけど。

 アメリカの学校制度は結構柔軟性があるみたいで、日本みたいに義務教育制度をガチガチに守るということはないらしい。

 日本でも増えてきたけど小中高大一貫校みたいな学校もあったりして。

 お金持ちの子供はそこに在籍しながら別の学校に行ったり留学したり出来るそうだ。

 パティちゃんの場合、既に飛び級で大学入学資格も得ているので何でも出来ると聞いている。

「日本の中学校に入ったの?」

 すると信楽さんが言った。

「宝神のぉ付属一貫校ですぅ。

 そこの中等部にぃ」

「そんなのあったっけ?」

「学校法人をぉ買収しましたぁ。

 来年度からぁ宝神総合大学付属校になりますぅ」

 さいですか。

 僕、知らないんですが。

 宝神の理事長なのに(泣)。

 まあいいや。

「じゃあパティちゃんはこれで正式に留学、じゃなくて宝神に在籍していることになるわけ?」

「はいですぅ。

 ちなみにぃ元の学校とぉ提携しているのでぇ卒業すればぁ日本の大学進学資格がぁ取れますぅ」

「そうなんだ」

 何か凄い手間がかかる気がする。

 そもそもパティちゃんってそんなにしてまで日本の学校を卒業する必要ってあったっけ?

 アメリカの大学に入れるんだからそっちに行けばいいと思うけど。

「パトリシアさんはぁ正式にぃ日本にいる必要がありますぅ。

 正確に言えばぁ宝神にですぅ」

「どういうこと?」

「今のところぉ矢代グループでぇただ一人の精神生命体(ヴァイトン)なのでぇ」

 そっちか!

(つまりあれだ。

 お嬢ちゃんは総力戦を想定しているみたいだな。

 矢代大地(ガキ)の周りに全戦力を集めるつもりだ)

 いや無聊椰東湖(オッサン)まで何言ってるの。

 ていうか全戦力って何?

(判ってるだろう)

 うん(泣)。

 全戦力(厨二病)ね。

「ダイチ様」

 比和さんが相沢さんと一緒にワゴンに載せた何かを運んできた。

「おつまみですが」

「ありがとう」

「わ。

 これは美味しそうですね!」

「今食い過ぎると夕食が辛いぞ」

「珈琲のお代わり欲しいですぅ」

「ただいま!」

 たちまち団欒化する居間(サロン)

 この感じ、懐かしいな。

 みんなで矢代家に住んでいた頃みたいだ。

 同じ事を思ったのか比和さんが笑いかけてきた。

「前みたいですね」

「そうだね」

「それからはぁそれに近くなりますぅ」

 信楽さんは何でもないみたいに言ったけど、なぜか全員の私語が止まった。

「それは楽しいが……それだけじゃないんだろう?」

 静姫様が静かに言う。

「はいですぅ。

 後で話しますぅ」

「判った。

 ならば今は再会を祝うとしようか」

 静姫様って偉そうなんだけど不思議と横柄な感じはないんだよね。

 同じ依代(神様)でも相沢さんは全然偉そうな印象(イメージ)はないんだけど。

 むしろ下僕(したっぱ)臭が。

 でも本人はお嬢様どころかお姫様、いや女神なので違和感が酷いけど。

 それから僕たちはみんなで輪になって座って軽食を摂りながら雑談した。

 (エン)さんやパティちゃんとはしばらく会ってなかったので話が弾む。

「お兄さんたちはまだ日本に来たいと言ってるの?」

「はい。

 でも父に条件を出されて」

 パティちゃんのお兄さんたちは日本で言うとまだ高校生なんだけど、前に日本に来た時に味わったカレーライスとラーメンの食い放題とか大画面カラオケとかに夢中らしいんだよ。

 でもあれってロンズデール家の来日歓迎会でやったことなんだよね。

 どうもお兄さんたちの中であれが日本の基本(デフォルト)になってしまっているらしい。

 (パティちゃん)が一人だけ日本で楽しんでいるようにしか見えなくて、パティちゃんは帰省する度に絡まれているそうだ。

「条件って?」

「大学入学資格を取れば宝神に行って良いと言われたみたいです。

 私も姉たちもその条件で留学したので」

 そういえば宇宙人(双子)のロンズデール姉妹も飛び級して日本の如月高校に来たんだった。

 あの二人は今はアメリカに戻って宝神と提携したカレッジか何かにいるはずだ。

 学生としてじゃなくて教授で(泣)。

 宇宙人が集まってるらしくて何しているのか。

「でも取れないと」

大学入学資格(スキップ)は条件が色々あるので。

 そんなに簡単には取れないです」

 いやパティちゃん。

 君は小学生で取ったんだよね?

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